民事保全法 民事紛争最前線
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-7664-2193-4 C3032
奥付の初版発行年月:2014年12月 / 発売日:2014年12月下旬
民事保全の全体構造を理解する。
具体例に即し、簡潔・明快に解説するテキスト!
民事保全は民事訴訟へと続く民事紛争の最前線。
図解を使用し、読みやすく、理解しやすい、通読ができる唯一の教科書。
本書の基本コンセプト
新時代の法曹を目指して日々研鑽に励まれている法科大学院の学生の方々のために。
今後、企業法務や金融法務等に、あるいは公務員として、法律を活かして 活躍したいと考えている法学部の学生の方々のために。
法曹実務に携わり、現在、そして今後も、民事保全のなお一層の活用を必要とされている、とりわけ若手・中堅の法曹(裁判官、書記官、弁護士、司法書士)の方々のために、さらには司法修習中の方々のために。
今現実に企業法務や金融法務の現場で、あるいは公務員として、その第一線で保全実務に携わられている方々のために。
民事保全に関心があり、これを必要とされるすべての方々のために。
具体例に即して簡潔・明快に、民事保全法の「全体構造」を解説。通読が可能で全体構造を理解できる唯一の民事保全法テキスト。
民事保全は、民事紛争における喫緊の法的解決手段であり、実体法と手続法が交錯するヴィヴィッドな法領域。「当事者(使い手)のための民事保全法」という基本視点から、図解・具体例を使用して、そのイメージをつかみ、民事紛争における保全手段を理解する。
「読みやすく、理解しやすく」表記や記述を工夫。「具体的に(concrete)」、「簡潔に(concise)」、「明快に(clear)」という「3つのC」を意識した新たなテキスト!
斎藤 和夫(サイトウ カズオ)
慶應義塾大学名誉教授、明治学院大学大学院法務職研究科教授(民事手続法講座)、弁護士(宗田親彦法律事務所)
専攻は、民事手続法(民事執行法・民事保全法・民事訴訟法・倒産法・担保手続法)、民事実体法(民法・担保実体法)ドイツ法、金融法。
1946年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業(1969年)、同大学大学院法学研究科修士課程修了(1971年)、同大学大学院法学研究科博士課程単位取得(1974年)。慶應義塾大学法学部助手(1972年)、専任講師(1975年)、助教授(1980年)、教授(1988年)を経て、2012年から現職。
2004年弁護士登録(第一東京弁護士会)。
主要著作として、『ドイツ強制抵当権の法構造――「債務者」保護のプロイセン法理の確立』(慶應義塾大学法学研究会叢書71)(慶應義塾大学法学研究会・2003年)、『ドイツ強制抵当権とBGB編纂――ドイツ不動産強制執行法の理論的・歴史的・体系的構造』(慶應義塾大学法学研究会叢書81)(慶應義塾大学法学研究会・2011年)、『レーアブーフ民法Ⅱ(物権法)』(中央経済社・2007年)他多数。その他著作論文などについては、慶應義塾大学学術情報リポジトリ(KOARA)を参照。
目次
はしがき
本書を手にとっていただいた「読者」の方々のために
本書の「基本コンセプト」
プロローグ――金融再編と民事保全法の世界
1 総 説
1-1 民事保全の3類型
はじめに
Ⅰ 「仮差押え」(第1類型)
Ⅱ 「係争物」仮処分(第2類型)
1 係争物「明渡請求権」の保全の「占有移転」禁止の仮処分
2 係争物「登記手続請求権」の保全の「処分」禁止の仮処分
Ⅲ 「仮地位」仮処分(第3類型)
1-2 民事保全の概観
Ⅰ 民事保全とは何か
1 意義・機能
2 手続構造
3 命令・発令要件
4 「本案訴訟」との関係
Ⅱ 「保全命令」手続(発令手続)
1 申立て
2 管 轄
3 審 理
4 裁 判
5 立担保
Ⅲ 「保全執行」手続
1 民執法上の諸規定の「大幅な準用」
2 「執行文付与」は不要――手続「特則」その1
3 債務者への送達「前」でも、保全執行が可能――手続「特則」そ
の2
4 「執行」申立書の提出不要の場合がある――手続「特則」その3
5 「執行期間」(行使期間)の制限
6 「執行期間」の徒過
2 仮差押え
2-1 総 説
Ⅰ 仮差押申立て事件の「管轄裁判所」はどこか
Ⅱ 仮差押「申立て」では、目的物の「特定」は必要か
Ⅲ 仮差押えの対象たり得る「動産・不動産・債権」とは何か(対象適
格論)
Ⅳ 仮差押命令が発令されるための要件(発令要件)は何か
Ⅴ 「被保全権利」(第1要件)論
1 「被保全権利」とは何か
2 申立てにおいて「被保全権利」を「特定」すべし
Ⅵ 「保全の必要性」(第2要件)論
1 「保全の必要性」とは何か
2 「保全の必要性」判断では、「各種の仮差押え」で違いがあるの
か
3 「保全の必要性」判断
Ⅶ 「同一の被保全権利」に基づいて「追加的」仮差押申立ては可能か
Ⅷ 「仮差押命令」の発令
Ⅸ 「仮差押解放金」論
1 「仮差押解放金」とは何か
2 「仮差押解放金」額はどのように定められるのか
3 「仮差押解放金」に伴う手続はどのようなものか
4 第三者による「仮差押解放金」供託は認められるか
Ⅹ 仮差押執行
1 方 法
2 仮差押執行はどのような「効力」をもつのか
3 時効中断の効力は、いつまで「継続する」のか、それともまった
く継続しないで「その時点限り」なのか
Ⅺ 本執行
1 「移執行」とは
2 本執行の「申立て」が必要
3 「仮差押え」の効力はどうなるのか
2-2 「不動産」仮差押え
Ⅰ 「不動産」仮差押執行はどのような「方法」でなされるのか
――仮差押債権者の「権能」
Ⅱ 仮差押執行の効力はどのようなものか
――仮差押債務者の「拘束」
Ⅲ 仮差押債権者は「他の債権者」とはどのような「法的地位」にある
のか
Ⅳ 「処分制限効」の「手続相対効」とは何か
――仮差押債務者の「拘束」
Ⅴ 債務者の処分行為の相手方たる「所有権取得者」
Ⅵ 債務者の処分行為の相手方たる「抵当権取得者」
Ⅶ 債務者の処分行為の相手方たる「借地権取得者」
2-3 「動産」仮差押え
Ⅰ 「動産」仮差押えの申立てでも目的物の「特定」は必要か
Ⅱ 「特定の動産」に狙いを付けて仮差押申立て(仮差押命令発令)で
きるのか
Ⅲ 「動産」仮差押執行はどのような「方法」(執行方法)で行われる
のか
Ⅳ 「動産」仮差押えでは、「仮差押禁止動産」がある
Ⅴ 執行官の「金銭」供託
Ⅵ 執行競合における処理
2-4 「債権」仮差押え
Ⅰ 「債権」仮差押執行はどのような「方法」により行われるのか
――債権者の「権能」
Ⅱ 仮差押命令 / 執行の効力は何か(処分制限効)
――債務者への「拘束」(負荷)
Ⅲ 第三債務者はどのような法的地位にあるのか
――第三債務者の供託
Ⅳ 処分制限効の内容
Ⅴ 第三債務者の弁済の効力
3 「係争物」仮処分
3-1 「占有移転」禁止の仮処分
Ⅰ 設 例
1 説例1
2 説例2
3 説例3
4 その他のケース
Ⅱ 仮処分の「3類型」
1 「債務者使用許諾」型(基本型)
2 「執行官保管」型(例外型)
3 「債権者使用許諾」型(例外型)
Ⅲ 発令要件
1 「被保全権利」論
2 「保全の必要性」論
Ⅳ 仮処分解放金
Ⅴ 「占有者未特定」の仮処分
Ⅵ 仮処分執行
Ⅶ 効力論
1 手続上の「当事者恒定効」とは何か
2 仮処分執行「後」の「第三者」に対する強制執行
3-2 「処分」禁止の仮処分
Ⅰ 第1類型論
――「処分」禁止の仮処分登記 / 「単独」型(「保全仮登記」非併用
型) / 「基本型」仮処分執行
Ⅱ 第2類型論
――「保全仮登記」併用型 / 「特殊型」仮処分執行
Ⅲ 第3類型論
――「建物収去 / 土地明渡請求権」保全型(建物「処分」禁止の仮処
分登記型) / 「特殊型」仮処分執行
Ⅳ 効力論
1 「処分」禁止の仮処分の効力
2 仮処分の「効力」の流用が認められるか
3 「抵触効」の範囲とは何か
Ⅴ 「牴触登記」の抹消手続
4 「仮地位」仮処分
Ⅰ 総 説
Ⅱ 基本的類型
1 「不動産明渡断行」の仮処分
2 「建築禁止」の仮処分
3 「出版等禁止」の仮処分
4 「賃金等の仮払い」の仮処分
5 「競売手続停止」の仮処分
Ⅲ 保全要件
1 「被保全権利」(第1要件)とは何か
2 「保全の必要性」(第2要件)とは何か
Ⅳ 保全手続
1 手続的特徴(「他手続」との差異)
2 「仮地位」仮処分の執行
Ⅴ 「満足的」仮処分の執行「後」の手続的問題
1 総 説
2 執行後の命令「取消し」と「原状回復裁判」
3 Case Study 1
4 執行後の「被保全権利の満足」と「本案訴訟」審理
5 Case Study 2
5 不服申立て
――債務者の救済システム1
5-1 「保全命令」発令に対する債務者の「防御手段」
Ⅰ 「保全異議」申立て(§26)と「保全取消し」申立て(§37
~§39)
Ⅱ 2つの「不服申立方法」の対比
5-2 債務者の「保全異議」申立て――不服申立方法1
Ⅰ 債務者の申立て(§26)
Ⅱ 審 理(§29)
Ⅲ 裁 判(§32)
5-3 債務者の「保全取消し」申立て――不服申立方法2
Ⅰ 全体概観
Ⅱ 「本案不提訴」による「保全取消し」申立て(§37)
――第1タイプ(「本案不提訴」の取消事由)
Ⅲ Case Study 1
Ⅳ 「事情変更」による「保全取消し」申立て(§38)
――第2タイプ(「事情変更」の取消事由)
Ⅴ Case Study 2
Ⅵ 「特別事情」による「保全取消し」申立て(§39)
――第3タイプ(「特別事情」の取消事由)
Ⅶ Case Study 3
5-4 債権者・債務者の「保全抗告」
――「保全異議又は保全取消し」申立てについての裁判に対する不服申
立方法
Ⅰ 総 説
Ⅱ 「保全抗告」の対象となる「裁判」(§41 Ⅰ本)
Ⅲ 「保全抗告」不可の「裁判」(§41 Ⅰ但)
Ⅳ 「保全抗告審」の手続進行・審理・裁判(§41)
Ⅴ 「保全抗告」申立てに伴う「付随処分」1
――「保全命令」に対する「債務者」の「保全執行」停止裁判の申立て
(§41 Ⅳによる§27の準用)
Ⅵ 「保全抗告」申立てに伴う「付随処分」2
――保全命令「取消決定」に対する「債権者」の「取消効力」停止裁判
の申立て(§42 Ⅰ)
Ⅶ 「高裁/保全抗告審」決定と「許可抗告」(民訴 §337)
Ⅷ Case Study
5-5 債権者の「即時抗告」
――「保全命令」申立ての「却下」裁判に対する債権者の不服申立方法
「即時抗告」(§19)とは何か
6 違法な保全命令に対する債務者の「損害賠償請求権」
――債務者の救済システム2
Ⅰ 総 説
Ⅱ 「過失」責任か、「無過失」責任か
Ⅲ Case Study 1
Ⅳ Case Study 2
エピローグ――民事紛争「最前線」と民事保全
参考文献
あとがきにかえて
「法と経営学」の視点から――「グローバル戦略」経営を考える
索 引(事項索引・判例索引)