日本統治下台湾の「国語」普及運動 国語講習所の成立とその影響
価格:7,700円 (消費税:700円)
ISBN978-4-7664-2306-8 C3037
奥付の初版発行年月:2016年02月 / 発売日:2016年02月下旬
▼「日本語=国語」教育によって台湾は何を受容したのか?
台湾総督府による日本語教育は、1930年代以降、台湾各地に設けられた「国語講習所」によって飛躍的に普及した。
総督府がめざしたのは皇民化政策にともなう「日本人への同化」であったが、
実際には「国語講習所」に通うことは台湾人にとって「社会教育」の実利をも目的としたものでもあった。
日本の「国語」普及政策とその実態を文献調査とフィールドワークから明らかにしつつ、その意味を読み解く。
藤森 智子(フジモリ トモコ)
田園調布学園大学人間福祉学部准教授。
2002年慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻後期博士課程単位取得退学、博士(法学)。
主要業績:『日本語教育史論考第二輯』(共著、冬至書房、2011年)、「日本統治下台湾の『国語講習所』における社会的指導の実際―新竹州『関西庄国語講習所』日誌(1937)より」『植民地教育史研究年報』14号(2012年)、「1930年代国語講習所教科書《新国語教本》之分析」『台湾学研究』第11期(国立中央図書館台湾分館、2011年)、ほか。
目次
序 章
一 はじめに ―― 台湾社会における「国語」
二 「国語講習所」と「国語」概念
三 先行研究の検討
四 本書の概要と調査方法について
五 本書の構成
第一部 台湾総督府の国語普及政策
第1章 植民地台湾における国語普及政策の成立と展開
一 植民地における文教政策と国語普及政策
二 国語普及政策の確立
三 国語普及運動の開始とその展開
四 国語普及運動の強化
五 小 括
第2章 一九三〇年代初期の国語普及政策とその状況
一 「国語講習所」の開設とその要項
二 「国語講習所」講師の養成
三 「国語講習所」の活動状況の宣伝
四 「国語講習所」拡張のための議論
五 小 括
第3章 一九三〇年代後期から一九四五年までの国語普及政策とその状
況
一 皇民化政策の成立と国語教育方針の転換
二 国語常用運動と社会の国語化
三 国語常用運動と家庭の国語化
四 小 括
第4章 「国語講習所」用教科書『新国語教本』の性格
一 『新国語教本』編纂の背景とその使用状況
二 『新国語教本』の性格
三 小 括
第二部 台湾における国語普及運動の実際
第5章 台北市近郊の国語普及運動
―― 台北州海山郡三峡庄の事例 ――
一 三峡庄の概況と国語普及運動の状況
二 三峡公学校と国語普及
三 三峡庄の「国語常用家庭」
四 小 括
第6章 北部閩南人農村地域における国語普及運動
―― 台北州基隆郡萬里庄渓底村の事例 ――
一 萬里庄の概況と国語普及の状況
二 萬里庄渓底村の「国語講習所」の実際
三 小 括
第7章 北部客家人農村地域における国語普及運動
―― 新竹州関西庄の事例 ――
一 関西庄の概況と国語普及の状況
二 関西庄「国語講習所」教育の実際一 ―― 「教案」「日誌」から
三 関西庄「国語講習所」教育の実際二 ―― 元講師と生徒のインタ
ビューから
四 小 括
第8章 南部離島における国語普及運動
―― 高雄州東港郡琉球庄の事例 ――
一 小琉球の概況と教育状況
二 小琉球の「国語講習所」教育の実際
三 小 括
終 章
一 本論の総括
二 「国語」普及政策と社会への影響
図表一覧
付 録
参考文献
あとがき
索 引