ブラックアース(上) ―― ホロコーストの歴史と警告
価格:3,080円 (消費税:280円)
ISBN978-4-7664-2350-1 C0022
奥付の初版発行年月:2016年07月 / 発売日:2016年07月中旬
ヒトラーの世界を目撃せよ
ヒトラーとは何者だったのか ――。
限られた資源、土地、食糧をめぐる生存競争の妄想にかられたヒトラーは、
ポーランド、そしてウクライナの肥沃な土壌(ブラックアース)を求めて侵攻し、
国家機構を完璧に破壊し始める。
ドイツの絶え間ない生存競争を、ユダヤ人の倫理観や法感覚が妨げると考えたヒトラーは、
やがて、人種に基づく世界、ユダヤ人のいない世界を構想し、
それを現実のものとすべく実行に移した ――。
前著『ブラッドランド』でホロコーストの歴史認識を根底から覆した気鋭の歴史家が、
ヒトラー「生存圏」(レーベンスラウム)の思想に鋭いメスを入れ、ホロコーストの真因を明らかにする傑作。
ティモシー・スナイダー(Timothy Snyder)
イェール大学教授(中東欧史、ホロコースト史)。1969年生まれ。1997年、オクスフォード大学Ph.D.
ハンナ・アーレント賞(2013年)をはじめ豊富な受賞歴を誇っている。東欧をめぐる時事的問題について有力紙誌への寄稿も多い。21世紀に入ってからの主な著作として、The Red Prince: The Secret Lives of A Habsburg Archduke, 2008(『赤い大公 ―― ハプスブルク家と東欧の20世紀』、慶應義塾大学出版会、2014年); Bloodlands : Europe Between Hitler and Stalin, a History of Nazi and Soviet Mass Killing on the Lands between Berlin and Moscow, 2010『ブラッドランド ―― ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』、(筑摩書房、2015年); Sketches from a Secret War: A Polish Artist’s Mission to Liberate Soviet Ukraine, 2005.; The Reconstruction of Nations: Poland, Ukraine, Lithuania, Belarus, 1569-1999, 2003 などが挙げられる。邦訳されたものとしては他に、Tony Judt with Timothy Snyder, Thinking the Twentieth Century, 2012(トニー・ジャット『20世紀を考える』(聞き手ティモシー・スナイダー、みすず書房、2015年)がある。
池田 年穂(イケダ トシホ)
慶應義塾大学名誉教授。歴史家、翻訳家。1950年生まれ。ティモシー・スナイダー『赤い大公 ―― ハプスブルク家と東欧の20世紀』、マーク・マゾワー『国連と帝国 ―― 世界秩序をめぐる攻防の20世紀』、ジョーン・ディディオン『悲しみにある者』(いずれも慶應義塾大学出版会、2014年、2015年、2011年)、エミー・E・ワーナー『ユダヤ人を救え! ―― デンマークからスウェーデンへ』(水声社、2010年)など多数の訳書がある。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
プロローグ
序 章 ヒトラーの世界
第1章 生存圏
第2章 ベルリン、ワルシャワ、モスクワ
第3章 パレスチナの約束
第4章 国家の破壊者たち
第5章 二重の占領
第6章 グレイター・イーブル
第7章 ドイツ人、ポーランド人、ソヴィエト人、ユダヤ人