世界を読み解く一冊の本
大槻文彦『言海』 辞書と日本の近代
価格:2,200円 (消費税:200円)
ISBN978-4-7664-2554-3 C0300
奥付の初版発行年月:2018年10月 / 発売日:2018年10月上旬
▼シリーズ「世界を読み解く一冊の本」(第1期・全10巻)、刊行開始!
言葉の海へ、漕ぎ出そう!
国語学者・大槻文彦が、明治期に編纂した日本初の近代的国語辞典 『言海』。
大槻は 『言海』 を通して、世界をどのように切り分けようとしたのか。
辞書が社会的に果たした役割とともに描き出す。
安田 敏朗(ヤスダ トシアキ)
一橋大学大学院言語社会研究科准教授。近代日本言語史専攻。
東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。
著作に、『漢字廃止の思想史』(平凡社、2016年)、『「国語」の近代史――帝国日本と国語学者たち』(中央公論新社、2006年)などがある。
目次
凡例
序 なんのための辞書
国会と辞書
辞書と語義――『一九八四年』的世界のなかで
文明国標準としての辞書
『言海』刊行の祝辞から
藩閥を越える可能性――辞書の近代
新世代と辞書――上田万年の場合
「読み物」としての『言海』
辞書は読まれたのか
『言海』と資料について
Ⅰ 大槻文彦とその時代
大槻文彦とはだれか
幕末に生きたということ
大槻文彦自伝
地誌著述の意味
大槻文彦のナショナリズム
旧臣としての臣民
地誌から文法へ――弱肉強食の世界のなかで
国語と民族と独立と
文部省『百科全書』「言語篇」の翻訳――「言語」の問題
日本語と諸言語の位置――「万国言語の共進会」論にみる言語の優劣
『日本小史』にみる文明史観
上田万年の剽窃――Chambersの「Language」と大槻文彦の「言語
篇」
文典研究の展開――『支那文典』・文法会
『言海』と「語法指南」の需要
大槻文彦の著述傾向
近代日本語の確立へ――国語調査委員会などへの参加
文学博士号授与について
博士会の学位
『大言海』へ――『大言海 文献集』などから
語源へのこだわり
語源という問題――実用性と国語の純粋性と
大槻文彦、逝く
明治百傑となった大槻文彦
Ⅱ 『言海』のめざしたもの
辞書と字引と字典と辞典と
新しい「辞書」
『言海』とはなにか
近代的普通語辞書
「普通語」とはなにか
「普通」という暴力――青田節『方言改良論』から
日本辞書とは――日本語を日本語で説明すること
外来語・和語・漢語およびその表記
五十音排列という新秩序
語法指南(日本文典摘録)
「ことばのうみ の おくがき」
Ⅲ 『言海』からみる世界
表象空間のなかの『言海』
「言海システム」――網羅と排除
網羅と規範化
文語文典から口語文典へ
同化と口語
松下大三郎の口語研究
はなしことばの一定のために――「です」への嫌悪から
『口語法』『口語法別記』へ
曖昧な同化
風儀としての殉死
同文という問題
かなづかい表音化の主張
宣伝のなかの『言海』
日露戦争と『言海』縮刷版
旅順攻囲戦と『言海』
日露講和と『言海』
「売れた書物」・時代に寄りそう辞書
賞品としての『言海』
辞書は国家がつくるものなのか
参考文献