インドの税制改革 財政連邦主義の転換と財・サービス税
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-7985-0289-2 C3033
奥付の初版発行年月:2020年09月 / 発売日:2020年08月下旬
世界の新興経済国として存在感を増しているインドは、13億の人口、37の州・連邦直轄領、28万の地方政府からなる連邦国家である。インドは今日、世界第5位の経済規模となった経済成長を達成したものの、激動する世界経済や政権交代による政策転換により、財政構造や税制の改革を迫られている。本書は近年のインドの経済や財政の沿革を概観するとともに、2016年の歴史的な税制改革について、実現に至った過程や、それが財政・税制に及ぼす効果や役割を、インド政治の動向も踏まえながら丹念に分析するものである。
21世紀の経済大国インド。その経済や財政を理解するうえでの必読書。
モディ政権によって達成された2016年税制改革。
その目的と成果を現代インドの政治と経済の中で読み解く。
インド財政研究の第一人者による最新の分析。
山本 盤男(ヤマモト イワオ)
1948年 愛知県小牧市生れ
1978年 大阪府立大学大学院経済学研究科博士課程単位取得
1993年 九州産業大学経済学部教授(2018年3月まで)
現 在 九州産業大学名誉教授
(博士)経済学
専 攻 財政学・粗税論
主な著書
『インドの構造調整と税制改革』(単著)1997年 中央経済社
『連邦国家インドの財政改革の研究』(単著)2007年 九州大学出版会
目次
インドの行政区分図
現代インドの財政関連略年表
略語一覧
序 章 本研究の課題
第1節 研究の目的
第2節 研究の視点と方法
税制改革の視点/財政健全化の視点/財政連邦主義の視点/研究方法
第3節 本書の章構成
第4節 研究の意義
第1章 2010年代のインドの経済と財政
第1節 インドの政治
第2節 インドの経済
経済成長/産業部門別構成
第3節 2010年代の財政
財政の概要/財政収支/債務/補助金
第4節 租税制度
中央と州の税制/中央と州の税収配分
第5節 中央と州の財政関係
中央から州への財源移転/州の中央への依存
第2章 財政健全化と財政責任・予算管理法
第1節 財政責任・予算管理法と財政赤字
財政責任・予算管理法の概要/財政赤字の動向
第2節 第13次財政委員会報告
第3節 2012年のFRBM法修正
第4節 財政健全化工程表に関する委員会報告
第5節 財政責任・予算管理法検討委員会報告
FRBMRC設置の背景と委託事項/勧告/反対意見/FRBM法の修正/
勧告の意義
第6節 FRBM法修正の評価
2010年代の財政健全化/FRBM法修正の問題点/FRBM法修正の評価
第3章 第14次財政委員会と財政連邦主義の転換
第1節 第14次財政委員会報告の概要
委託事項/課題とアプローチ/勧告の要旨
第2節 勧告の特徴と州配分の変化
特徴/州配分の変化/連邦政府の勧告への対応
第3節 勧告の評価
財政当局の評価/州の財政オートノミーと中央の財政スペースとの平衡/
州への財源移転の動向/14FC勧告の評価
第4章 財・サービス税の課税システム
第1節 統一進歩同盟政権下のGSTの制度設計
第1次ディスカッションペーパーの作成経過/第1次ペーパーのGSTモデルと
連邦政府財務省コメント
第2節 第1次ペーパーのGSTモデルの課題
第13次財政委員会のタスクフォース報告/国際的視点によるGST案/
第1次ペーパーのGSTモデルの課題
第3節 国民民主同盟政権下のGSTの制度化
第4節 GSTの課税システムの特徴
第5章 財・サービス税の効果と課題
第1節 GST導入時の評価
連邦財政当局の見解/RBIの見解/協力的連邦主義と競合的連邦主義
第2節 GST実施時の税収不足と安定化
GST実施時の効果/税収不足と制度の安定化/連邦財政/州財政
第3節 GSTの効果
GSTの税収/GSTの州・連邦直轄領別の税収と納税者/中央税収とGST税収/
州税収とGST税収
第4節 制度安定化の課題
終 章 協力的連邦主義とGST協議会
財政連邦主義の転換/協力的連邦主義からの乖離/GSTとGST協議会の評価/
協力的連邦主義とGST協議会
あとがき
引用文献
索 引