中央大学社会科学研究所研究叢書29
東京の社会変動
価格:2,860円 (消費税:260円)
ISBN978-4-8057-1330-3 C3336
奥付の初版発行年月:2015年03月 / 発売日:2015年03月中旬
東京は中枢管理機能が集中しているメトロポリスであると同時に、人びとが喜怒哀楽の生活をしている空間でもある。本書は東京を、人びとが息づく生活の場として描き出そうと試みたユニークな作品で、東京論、大都市論、地域社会学などに新鮮な視点を提供してくれる。具体的には、匿名の諸個人が行き交う盛り場空間の動態、庶民生活の不可欠な部分をなしてきた銭湯の盛衰などを取り上げ、その史的変遷と現状を社会学的、人類学的な手法で分析している。また、東京の中で営まれている農業の実態を掘りおこし、大都市内部における農業の存在意義を提起している。東京とローマの大都市生活の比較も興味深い。
川崎 嘉元(カワサキ ヨシモト)
中央大学社会科学研究所客員研究員・
中央大学名誉教授 (1・2・4・5章)
新原 道信(ニイハラ ミチノブ)
中央大学社会科学研究所研究員・
中央大学文学部教授
目次
第1章 人口と産業からみる江戸・東京
江戸時代の人口
東京の人口と市域の変化
東京都の人口構造
東京都の産業の変化と産業構造
第2章 江戸・東京の盛り場
日本の「盛り場」
東京の盛り場
盛り場の三層構造
「両国」(江戸の代表的盛り場)
浅草(江戸から明治期にかけての代表的盛り場)
銀座/新宿/渋谷
第3章 盛り場空間の文化生態学
―アーバニズムの下位文化理論から捉えた東京・渋谷―
視点と方法
盛り場空間・渋谷の形成過程と空間構成
渋谷に展開する下位文化の特質
第4章 東京の銭湯
はじめに―銭湯を話題に取り上げる理由
江戸の湯屋
明治期以降の銭湯
戦後から現在の銭湯
銭湯風景あれこれ(銭湯生き残り作戦)
第5章 東京の農業と農家
世田谷区と練馬区の「都市農業課長」への
インタビューから
個別農家へのインタビュー記録
第6章 時間厳守、計算可能性、正確性
―大都市生活におけるルールの重要性―
枠組み
ルールとその諸変数
時間と空間の使い方おけるルールの意義
―大都市間比較に向けて
個人的時間と社会的時間の関係
―東京とローマの差異