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ガンダーラ彫刻と仏教

プリミエ・コレクション66
ガンダーラ彫刻と仏教

菊判 308ページ 上製
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-8140-0014-2 C3320
奥付の初版発行年月:2016年03月 / 発売日:2016年04月上旬

内容紹介

通説的にアレクサンドロスの東征やヘレニズム文化とのかかわりから語られてきたガンダーラ彫刻は,実はそれらからは切り離して考えられるべきものである。ガンダーラ彫刻はいつ,何のためにつくられたのか?また,彫刻が盛んにつくられた西北インドにおける仏教とは,一体どのようなものだったのか?これまでの彫刻の議論の中で十分に加味されることのなかった考古学的な情報を最大限に活用して,ガンダーラ彫刻のつくられた時代をみつめなおす。彫刻を歴史の中に位置づけることができてはじめて,仏教文化の源流における仏教の姿がみえてくる。

著者プロフィール

内記 理(ナイキ サトシ)

1985年,岐阜県生まれ。2008年,京都大学文学部卒業。2013年,京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。現在,京都大学文化財総合研究センター助教。博士(文学)。

主な業績
「ガンダーラ彫刻の腕の接合方法」『西南アジア研究』第78号,西南アジア研究会,2013年。
「ガンダーラ紀年銘彫刻の製作年代」『美術史』第176冊,美術史學會,2014年。
「ガンダーラ地方チャナカ・デリーの丘の歴史」『東方學報』京都第90册,京都大學人文科學硏究所,2015年。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序章 ガンダーラ彫刻の研究のおもしろさはどこにあるか
 はじめに
 第1節 ガンダーラとは
 第2節 ガンダーラ彫刻とは
 第3節 西北インドの歴史
 第4節 西北インドの現地調査の歴史
 第5節 ガンダーラ彫刻の制作時期にかかわる研究史と問題点
 第6節 本書における分析の対象と項目
 第7節 本書の構成

第I郎 ガンダーラ彫刻はいつつくられたか

第1章 彫刻の様式
    —ガンダーラ地方とウッディヤーナ地方の彫刻の美術様式—
 はじめに
 第1節 ウッディヤーナ地方の彫刻の様式
 第2節 ガンダーラ地方の彫刻の様式
 第3節 地域間の様式の関係
 小 結

第2章 彫刻の図像 —浮彫画像帯に表された仏教—
 はじめに
 第1節 研究の方法
 第2節 タレリ遺跡出土の浮彫画像帯
 第3節 メハサンダ遺跡出土の浮彫画像帯
 第4節 浮彫画像帯の検討からわかること
 小 結

第3章 彫刻の技法 —単独像の腕の接合方法—
 はじめに
 第1節 西北インドの石彫に用いられた技法
 第2節 接合方法の使用時期
 第3節 技法と様式の関係
 第4節 単独像の接合方法の出現と展開
 小 結

第4章 彫刻と碑銘紀年銘彫刻の制作年
 はじめに
 第1節 ガンダーラ地方出土の紀年銘彫刻
 第2節 紀年銘彫刻の制作時期
 第3節 紀年銘彫刻の制作年
 小 結

第II部 ガンダーラ彫刻はなぜ変容したか

第5章 建物の石積 —ガンダーラ地方の石積編年—
 はじめに
 第1節 石積についての研究史と課題
 第2節 ガンダーラ地方の石積の編年
 第3節 地域聞の石積の関係
 小 結

第6章 王宮と地震 —チャナカ・デリーの正の歴史—
 はじめに
 第1節 チャナカ・デリー遺跡の調査の歴史
 第2節 京都大学の調査記録にみるチャナカ・デリー遺跡の概要
 第3節 土器から考えるチャナカ・デリー遺跡が使用された時期
 第4節 チャナカ・デリーの丘の歴史
 小 結

終章 支配と災害と仏教
   —ガンダーラ彫刻の研究から何がわかったか—
はじめに
第l節 地域聞の共通性と差異性
第2節 西北インドの仏教文化の位置づけ
第3節 クシャーン朝の西北インド支配と仏教
おわりに

図版出典
デザイン使用写真一覧
参考文献
あとがき
索 引


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