学術選書
文化資本論入門
価格:1,980円 (消費税:180円)
ISBN978-4-8140-0044-9 C1330
奥付の初版発行年月:2017年01月 / 発売日:2017年01月中旬
日本を代表する経営者と経済学者が「文化資本による経済資本の制御」という壮大なテーマを取り上げ、国民経済(マクロ)の視点から金融経済の実態に触れつつ、地域創生(ミクロ)という現実的課題に応える。日本には金融経済に支配されず文化資本(伝統を生かす創造の元手)を生かして自然を守りながら経済・経営を発展させ、さらに、これらの成果を学校づくりによって語り継ぐ人々がいる。各地の教育と経済の中にこそ今を生きる知恵と希望が見出されるであろう。
池上 惇(イケガミ ジュン)
京都大学名誉教授、京都大学博士(経済学)。
福井県立大学名誉教授、京都橘大学名誉教授
一般社団法人文化政策・まちづくり大学校代表理事、文化政策・まちづくり大学院大学設立準備委員会代表者、国際文化政策研究教育学会会長、日本財政学会顧問、文化経済学会(日本)顧問、文化政策学会(日本)顧問。
1933年大阪市生まれ。1956年京都大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科修士課程より博士課程に進む。単位取得退学後、京都大学経済学部助手、助教授、教授、評議員、経済学部長を歴任。定年退職後、福井県立大学、京都橘女子大学において、研究科長、学部長など。
京大時代に、社会人大学院、現代経済学専攻を新設し社会人大学院教育を推進。日本の高学歴社会化を生かした文化経済学など諸分野の博士学位取得者の増加、学術界の基盤拡充に尽力し、現在も、ボランティアとして、各地の在野知識人、経営者、勤労者などの対面教育研究による学術人育成に貢献する。
瑞宝中綬章(研究教育・2012年春季)受章。
専門は、文化経済学、財政学、現代経済学。人間発達の経済学・固有価値論の研究、各地文化経済の実態調査を行い、各地再生・発展を推進するネットワークを構築。
主要著書に、『現代資本主義財政論』(有斐閣)、『現代資本主義経済の基礎理論』(世界思想社)、『財政危機と住民自治』、『国家独占資本主義論争』(青木書店)、『アメリカ資本主義の経済と財政』(大月書店)、『地方財政論』、『日本経済論』(同文館)、『地域づくりの教育論』(青木書店)、『管理経済論』(有斐閣)、『減税と地域福祉の論理』(三嶺書房)、『情報化社会の政治経済学』(昭和堂)、『人間発達史観』(青木書店)、『財政学―現代財政システムの総合的解明』(岩波書店)、『文化経済学のすすめ』、『生活の芸術化―ラスキン、モリスと現代』、『情報社会の文化経済学』(丸善ライブラリー)、『日本財政論』(実教出版)、『財政思想史』(有斐閣)、『文化と固有価値の経済学』(岩波書店)、『文化と固有価値のまちづくり―人間復興と地域再生のために』(水曜社)がある。
目次
はしがき―現代の経営のなかで生きる人々へ
序 章 現代の課題と向き合って経営システムと経済学を学ぶ
第1章 文化資本の経営と地域創生
―厳しい生活苦や孤独と向き合いながら、営利であれ、非営利であれ、
これからの経営を学び、あるいは、志す人々へ―
第2章 現代の経営経済学
―経済資本から文化資本へ―
1 経済資本から文化資本への転換―池上・福原の対話
2 非営利と営利の文化資本経営
3 企業文化の蓄積による永続的発展
4 文化資本とは
第3章 人間開発の場を創る―文化資本の経営
―経済資本の経営=環境負荷・格差社会・金融リスクからの転換を―
1 欧米で進歩した機械文明の限界と弱点
2 マネー・カルチャーを正常化する動きと文化資本再生にむけて
3 日本の企業文化、文化資本経営の伝統を見直す
4 二宮尊徳の文化資本経営―「仕法」の画期的な意義
第4章 大変化を生み出す「文化資本の経営」
―新しい経済を発見し研究する経営経済学を―
1 大変化の時代―その始まりを知り応答するには
2 創造環境づくりに向けて―自然・地域コミュニティと共生する文化経済
3 現代における経営経済の病=「日本化」
4 地球規模のビジョンと具体的な場所のビジョンをもつこと
5 文化社会の基盤が生み出す現代の技術―分業から融合への道
第5章 地域を創生するふるさと学校
―文化資本を生かしあう人々―
1 文化資本経営の場を創る
2 ふるさと再生こそ人口減少を止める―教育活動から産業振興への道
3 地域固有の文化施設づくりから「まちづくり」へ
4 新しい学校と文化施設が生み出す「文化によるまちづくり」
展 望 文化と資本の関係を再考する
参考文献
付 録 英文による国際学会報告、国際学術研究への貢献事例
索引(人名・事項)