プリミエ・コレクション109
なぜ特異な仕事は生まれるのか? 批判的実在論からのアプローチ
価格:3,740円 (消費税:340円)
ISBN978-4-8140-0323-5 C3334
奥付の初版発行年月:2021年02月 / 発売日:2021年02月上旬
仕事はマニュアル通りにいかない。日常の業務として規定されたこと「以外」のことに溢れている。これまでの組織論はその分析がすっぽり抜けていた。実践のなかでの工夫はどのように生まれ、それが業務化するメカニズムは何か? 人的関係だけでなく、もののデザインが人に与える影響も分析する批判的実在論から実態に迫る新たな組織論。
筈井 俊輔(ハズイ シュンスケ)
京都大学大学院経済学研究科・特定助教.京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了,博士(経済学).専門は経営学・組織論.ノースカロライナ大学チャペルヒル校・客員研究員,京都大学大学院経済学研究科・ジュニアリサーチャーを経て,現職.主な著作に,「サテライトオフィスにおける情報通信技術を用いた業務実践の創発:批判的実在論の観点から」『日本情報経営学会誌』Vol.39 No.4, 23-36頁,2020年.「組織ルーティン研究における社会物質性の視座:スポーツ・トレーニング組織の比較分析」『日本情報経営学会誌』 Vol.38 No.3, 40-51頁,2019年.
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
序
第1章 仕事が創発するメカニズム
第1節 なぜ仕事なのか?
第2節 なぜ仕事の実践は見落とされるのか?
第1項 組織の経糸としての仕事の内容
第2項 新しい仕事はいかに生じるのか?
第3項 機能主義の「特異な仕事のジレンマ」
第3節 見落とされた「実践としての仕事」
第2章 人とモノの関係から創発する仕事
第1節 仕事の創発に関する三つの論点
第2節 仕事の創発をめぐる組織研究
第3節 批判的実在論に基づく組織論
第1項 解釈主義とその弱点
第2項 グラウンドワークとしての批判的実在論
第3項 仕事の創発メカニズム
第3章 情報通信技術と仕事の創発
第1節 「私たちの仕事は何なの?」という疑問
第2節 社会物質性と社会技術的構造の違い
第3節 主体性と物質性のメカニズム
第1項 主体性
第2項 アフォーダンス
第3項 インブリケーション・モデル
第4項 インブリケーション・モデルの批判的検討
第4節 仕事の創発とアイデンティティの形成モデル
第5節 サテライトオフィスにおける仕事の創発に関する事例分析
第1項 調査背景
第2項 日本におけるビデオ会議市場
第3項 A社の製品と商談スタイル
第4項 商談スタイルとアイデンティティの形成
第5項 ICTを用いた仕事の創発とアイデンティティの形成
BOX 自存的対象と意存的対象
第4章 仕事としてのOJTの創発
第1節 仕事としてのOJT
第2節 日本におけるOJT研究
第1項 OJTの非公式性
第2項 学習者中心のOJT研究
第3項 インフォーマルな仕事としてのOJT
第4項 「組織化と学習の逆理」とOJTの非公式性
第3節 住宅営業における同行営業の創発メカニズム
第1項 調査背景
第2項 住宅営業をめぐる文脈
第3項 A社における営業方法の転換
第4項 「フォーマルな仕事」を条件づける組織の特性・因果力
第5項 インフォーマルな仕事としてのOJTの創発
第6項 OJT研究の新たな論点
第5章 何をデザインするのか?
第1節 人工物のデザインは愚かなのか?
第1項 「創発メカニズムとしての組織ルーチン」モデル
第2項 「創発メカニズムとしての組織ルーチン」モデルと構造化理論
第3項 「行為の様式化」による行為の説明
第4項 何がデザインできるのか?
第2節 スポーツ・トレーニング組織におけるトレーニング創発のデザイン
第1項 調査背景
第2項 調査対象とデータ
第3項 調査課題
第4項 分析方法
第5項 分析結果
第6項 監督と部員の役割関係
第7項 技術的対象との関係
第8項 トレーニングの創発メカニズムとデザイン
第3節 批判的実在論から見た組織ルーチンと社会技術的構造のデザイン
第4節 組織の社会技術的構造のデザイン
終章 職場というエコロジー
第1節 職場環境の構造化
第1項 手回し計算機と思考方法
第2項 道具と認知的活動
第3項 構造化された職場環境と仕事
第2節 エコロジカルな職場
第1項 組織構造による条件付け
第2項 エコロジーとしての職場と仕事の創発
第3節 結論と組織論の新たな展望
第1項 組織の捉え難さ
第2項 組織介入のエコロジカル・アプローチ
おわりに
初出出典一覧
参考文献
索 引