学術選書099
色を分ける 色で分ける
価格:2,420円 (消費税:220円)
ISBN978-4-8140-0370-9 C1370
奥付の初版発行年月:2021年10月 / 発売日:2021年10月上旬
虹の色数は7色、赤はお湯で青は冷水。私たちは日々の生活の中で当然のように色を分け、また色を使って物事を分類している。しかし虹の色を2色に分ける文化もある一方で、寒色・暖色のように色彩に寒暖を覚える感覚はあまたの文化を超えて共通するらしい。一体なにがこの普遍性と多様性を分けるのだろうか。虹の色数の多様性から色の分類の論理、肌の色による人種差別まで、古今東西の事例をもとに人間の色彩文化を紐解く。
日髙 杏子(ヒダカ キョウコ)
東京芸術大学大学院 博士課程修了 博士(美術)
専門:色彩論
現在、芝浦工業大学 准教授
【訳書】
マンセル『色彩の表記』みすず書房(2009)
アルバース『デザインについて―バウハウスから生まれたものづくり』白水社(2016)
バーリン&ケイ『基本の色彩語―普遍性と進化について』法政大学出版局(2016)
【分担執筆】
『色彩検定公式テキスト1級編』色彩検定協会(2020)
『色彩検定公式テキスト2級編』色彩検定協会(2019)
目次
はじめに
第Ⅰ部 色「を」分ける 編
第1章 虹を分ける
1 虹の色数のゆれ
2 虹の色数を音階になぞらえて決めたニュートン
3 天然の細かい分割線―フラウンホーファー線
コラム1 レインボーフラッグ
第2章 色を名前で分ける
1 基本の色彩語―普遍性と進化について
2 カラーチャートの境界線
3 カラーチャートと照明
4 細かく分ける
5 大きくまとめる
6 増える・減る
7 進化と社会進化論・優生学
コラム2 共感覚者
第3章 色を基準で分ける
1 原色
2 純色
3 順位
4 属性
5 色相環・色空間
コラム3 色彩基準と食品
第4章 色を環境と感覚で分ける
1 温度
2 湿度
3 家畜
4 祝祭と日常
5 性別
コラム4 基本の色彩語(BCT)と慣用色名は性別の問題?
第Ⅱ部 色「で」分ける 編
第5章 色で暮らしを分ける
1 パッケージ1:アメリカと日本の牛乳
2 パッケージ2:アメリカと日本の菓子
3 後日談
コラム5 三色食品群
第6章 色で身分を分ける
1 紋章
2 旧日本軍の襟章の色分け
3 階級
4 奢侈禁止令
コラム6 景観法
第7章 色で人間を分ける
1 人種
2 ナチス強制収容所バッジの黄色
3 黒色と白色と赤色
コラム7 映像のステレオタイプ:白人の救世主と黒人の魔法使い
おわりに―十人十色に序列づけ、混ぜるのを拒んだ過去とカラフルな未来
初出一覧
謝辞
註
参考文献
索引