科学と証拠 統計の哲学 入門 Evidence and Evolution: The Logic behind the Science
価格:5,060円 (消費税:460円)
ISBN978-4-8158-0712-2 C3010
奥付の初版発行年月:2012年10月
科学理論はどのように根拠づけられるのか。その根幹を支える統計的推論の枠組みを丹念に検討し、ベイズ主義や有意検定、AICなどが抱える本質的課題を浮彫りにする。科学において証拠の果たすべき役割を、哲学者と科学者の双方に向けて明瞭に示した希有な著作。
エリオット・ソーバー(ソーバー,E.(エリオット))
1948年生まれ。生物学の哲学の第一人者であり、進化論をはじめとした生物学上の学説に対し、数多くの哲学的問題の発掘、議論の構築を行ってきており、80年代以降、「生物学の哲学」 を一つの学問分野にまで高めた。また、科学哲学界全体を率いる第一人者でもあり、現在は米ウィスコンシン大学のハンス・ライヘンバッハ教授職 (1989-) およびウィリアム・F・ヴィラス教授職 (1993-) にある。過去にアメリカ科学哲学会会長 (2003-2005) を務め、現在 (2012-2016) 「科学史・科学哲学国際連合 (科学の論理、方法、哲学部門)」 の会長を務めている。
【これまでに刊行された著書 (本書は除く)】
Reconstructing the Past: Parsimony, Evolution, and Inference, MIT Press, 1988.
(『過去を復元する: 最節約原理、進化論、推論』 三中信宏訳、1996年蒼樹書房刊、後に2010年勁草書房から復刊)
Philosophy of Biology: Second Edition, Perseus, 2000.
(『進化論の射程: 生物学の哲学入門』 松本俊吉・網谷祐一・森元良太訳、春秋社、2009年)
これら代表的な二作をはじめ、著書多数。
目次
日本語版序文
はじめに
§1 ロイヤルの3つの問い
§2 ベイズ主義の基本
ベイズの定理
更新の規則
事後確率、尤度、そして事前確率
確 証
信 頼 性
予想と期待値
帰 納
楽園の苦難
哲学的なベイズ主義、ベイズ統計、論理
§3 尤度主義
謙虚さの強み
尤度主義への3つの反論
尤度の法則を制限する必要性
ばかげた仮説がきわめてもっともらしくなることがあるか
尤度主義と条件付き確率の定義
全証拠の原則
尤度主義の限界
§4 頻度主義Ⅰ —— 有意検定と確率論的モーダス・トレンス
§5 頻度主義Ⅱ —— ネイマン-ピアソンの仮説検定
§6 テストケース —— 停止規則
§7 頻度主義Ⅲ —— モデル選択理論
街灯の下で鍵を探す
科学のモデル構築: 広く見られる2つの方法
赤池の体系、理論、規準
同定可能性
AICは統計学的一致性をもたないか
ベイズ主義のモデル選択
下位グループの問題
AICの適用範囲
実在論と道具主義
パラメータとは何か
AICは頻度主義か
§8 第2のテストケース —— 偶然の一致についての推論
§9 結 語
訳者解説