アジア経済史研究入門
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-8158-0816-7 C3022
奥付の初版発行年月:2015年11月 / 発売日:2015年10月下旬
アジア経済の今日の興隆を導いたものとは何か? 長期・広域にわたる経済社会の展開を知るための重要文献を平易に解説、多様性と共通性をともに浮かび上がらせ、アジア経済再興の歴史的淵源を考える。第一線の執筆陣が初めてその全体像を描き出した最良の入門書。
目次
序 章 アジア経済史とグローバル・ヒストリー
歴史統計 / 経済発展の多径路性 / 生活水準 / 地域経済圏 / ネットワーク /
勤勉革命 / 東インド会社・商社・銀行・幣制 / 製造業・経営・技術・労働 / 物産・
商品 / 疫病・環境
第Ⅰ部 東アジア
第1章 前近代Ⅰ: 春秋~元 —— 14世紀以前
はじめに
1 生 産 —— 農村の経済関係と諸産業
地域開発・定住と人口動態 / 土地制度 / 農業技術と経営 / 水利と耕地 /
その他の諸産業
2 流 通
商品流通・商人の存在形態・商業組織 / 貨幣・有価証券・貨幣経済 / 交通
—— 漕運と海運 / 貿易 —— 日中貿易・南海貿易・東西貿易
3 財 政
中央財政と地方 / 税と役 —— 田賦・徭役・課利・都市課税 / 財政的物流 /
財政原理
第2章 前近代Ⅱ: 明代・清代前期 —— 14~18世紀
はじめに
1 経済規模の拡大 —— 人口・生産・環境
人口・移住 / 生産
2 貨幣経済の展開 —— 市場・流通
物流・交通 / 貿易・貨幣 / 市場
3 経済秩序の再編 —— 財政・経済政策
賦役制度 / 財政・社会政策
第3章 近現代Ⅰ: 19~20世紀初頭
はじめに
1 転換期の経済 —— 人口・環境・移住・生産
人口・環境・移住・生活水準 / 生産
2 市場の変容と広域経済・世界経済の展開 —— 市場・流通・経済秩序
市場・流通・貿易 / 辺境・対外関係・広域経済秩序 / 市場秩序・商人組織・都
市社会史
3 帝国経済の変容 —— 貨幣・金融・財政・中央と地方
貨幣・金融 / 財政・中央と地方
第4章 近現代Ⅱ: 20~21世紀
はじめに
1 工業化の急展開 —— 生産・人口・環境
工業史 / 農業史 / 人口史 / 環境史
2 開かれゆく市場 —— 市場・流通・金融
広域的な市場圏の成立 / 市場構造への歴史的接近 / 貿易史・対外経済関係
史・通貨金融史
3 国民国家への道 —— 経済財政政策
経済行政と経済法制 / 財政 / 全般的趨勢
第5章 古代~現代 : 朝 鮮
はじめに
1 統一新羅・高麗時代
統一新羅時代 / 高麗時代
2 「伝統社会」 の成立 —— 朝鮮時代
農業と土地制度 / 財政・商業と対外交易 / 数量経済史
3 国際社会への開放と衝撃
貿易と国際分業 / 市場と商業・商人 / 財政・通貨 / 農業と土地制度
4 植民地支配と独立
経済成長 / 農業 / 工業化と労働者・企業 / 国外移動と動員 / 解放後への
展望
第Ⅱ部 南アジア
第6章 前近代Ⅰ: インダス文明~12世紀
はじめに
1 インダス文明
都市文明の特質と交易 / インダス文明からガンジス文明へ
2 古代 —— 前1000~後600年
経済史と国家システム / ヴァルナ制 / 鉄器と農業 / 都市と商業 / インド洋
交易
3 中世初期 —— 600~1200年
経済史 / 国家システム / ヴァルナ制とジャーティ / 農業と土地制度 / 都市
と交易 / 貨幣 / 仏教・イスラムの拡大と交易 —— 10~11世紀の画期
第7章 前近代Ⅱ: 13~18世紀
はじめに
1 デリー・スルタン朝期 —— 13~16世紀前半
地租徴収体制と財政 / 農業と手工業 / 都市と交易
2 ムガル朝期 —— 16世紀前半~17世紀
地租徴収体制と貨幣制度 / 海陸遠距離交易の活況 / 商業と金融業の発展 /
手工業と農業 / 近世世界経済の中のインド
3 ポスト・ムガル朝期 —— 18世紀
ムガル朝衰退と海上交易の変動 / 地域政権と商品・貨幣経済の深化
第8章 近現代Ⅰ: 18世紀~第一次世界大戦
はじめに
1 植民地体制への移行期 —— 18世紀半ば~19世紀前半
18世紀論争 / 中間者論
2 植民地体制の確立期 —— 19世紀前半~1870年代
東インド会社と交易活動 / 生産活動 / 人口と環境変動 / 工業生産 / 商業と
金融
3 民族資本の成長期 —— 1870年代~第一次世界大戦前後
インフラストラクチャーの整備 / 貿易と農業生産 / 工業生産と資本家 / 人口と
移民 / 農村社会と消費
第9章 近現代Ⅱ: 第一次世界大戦以降
はじめに
1 第一次世界大戦後の農村・農業社会と工業発展
農業の停滞と農村社会の中の胎動 / 工業化への胎動 / 在来工業、中小・零細
企業の展開
2 独立インドの経済社会の発展と変容 —— 工業・サービス業の発展を中心に
国家主導の輸入代替工業化 / 工業発展の減速・「高コスト経済」 化と新産業の
育成 / インフォーマル工業の発展 / サービス産業の発展 / 経済自由化政策
への転換と現代インドの経済と社会
3 独立後インドの農業と農村社会
農業生産の発展と 「緑の革命」 / 土地改革と土地所有の変動 / 農村社会構
造の変容 / 農村と都市・移動・教育
第Ⅲ部 東南アジア
第10章 前近代 : 19世紀半ばまで
はじめに
1 自然環境と人口
自然環境 / 人口
2 古代・中世 —— 14世紀まで
農業 / 商業・都市・貨幣
3 「商業の時代」
貿易 / 港市国家・都市 / 農業・山地 / 貨幣
4 近代への胎動 —— 18~19世紀前半
農業 / 華人 / 貿易 / 都市 / 労働・貨幣・その他
第11章 近現代Ⅰ: 19世紀半ば~1930年代
はじめに
1 世界経済と東南アジア —— 植民地化・アジア間貿易・アジア太平洋市場圏
アジア間貿易と東南アジア / 企業・通貨・華僑・印僑 / 東南アジアと日本 /
農村社会・都市
2 島嶼部東南アジアの経済
英領マラヤ —— プランテーション型産業の展開 / 蘭領東インド —— プランテー
ション型産業と稲作経済の展開 / フィリピン —— プランテーション型産業の展開・
銀行業史・日本移民
3 大陸部東南アジアの経済
タイ —— 資本家形成、土地制度、交通、稲作経済の展開 / 英領ビルマ —— 稲
作経済の展開 / 仏領インドシナ —— 稲作経済の展開
第12章 近現代Ⅱ: 1930年代~21世紀初頭
はじめに
1 戦前・戦後にまたがる経済通史
東南アジア全域の一般通史 / 農業史など / 英語文献 / 国別研究
2 時期別の現代東南アジア経済史研究
1930年代 / 日本軍占領期 / 第二次世界大戦後~1970年代初め頃 / 1970~
80年代 / 1990年代
3 現状分析に関する近年の研究動向
東南アジア全般 / フィリピン、インドネシアとマレーシア / インドシナ3国とミャンマー
第Ⅳ部 西アジア・中央アジア
第13章 古代Ⅰ: 古代オリエント —— 前4世紀まで
はじめに
1 農耕牧畜の開始と都市の成立
農耕牧畜の開始 / 都市の成立
2 メソポタミア文明圏の経済と社会
初期王朝時代~ウル第三王朝時代 / 古バビロニア時代~アケメネス朝ペルシア
3 エジプトの経済と社会
統一国家の成立と灌漑 / 国家と神殿経済
第14章 古代Ⅱ: イスラム以前の西アジア
はじめに
1 ヘレニズム世界の経済社会 —— 前4~前1世紀
オリエント世界のヘレニズム化 / ヘレニズム国家の経済と商業
2 ローマ帝国の国家と経済 —— 前1~後4世紀
ローマ帝国の起源 / ローマ帝国没落論 / 帝国の分裂
3 ビザンツ帝国の経済構造 —— 4~7世紀
中央集権的統治体制 / フィスカリテ —— 財政制度の抜本的整備 / 教会の体
制内化と 「個」 の誕生
第15章 前近代 : イスラム時代 —— 7~19世紀
はじめに
1 イスラム経済圏の形成と拡大
ピレンヌ・テーゼとイスラム経済史 / 国際交易ネットワークの中のイスラム経済圏
/ 技術革新と社会分業
2 イスラム経済圏の特徴
イスラムの経済ヴィジョン / 法と貨幣 / イスラムの経済思想
3 イスラム経済圏の成熟と変革の兆し —— 15~19世紀初頭
オスマン帝国 / サファヴィー朝 / 近世のイスラム経済史 / イスラム経済の衰退
/ イスラム経済の特徴
第16章 近現代 : 西アジア —— 19~21世紀
はじめに
1 近代化と植民地化 —— 19世紀
オスマン帝国 (トルコ共和国成立まで) / アラブ / イラン
2 国民経済への道と体制選択 —— 20世紀
トルコ / アラブ / イラン
3 グローバルな市場経済の時代 —— 20世紀末~21世紀
トルコ / アラブ / イラン
第17章 近現代 : 中央アジア —— 19~21世紀
はじめに —— 前近代の概観
1 ロシア帝国と中央アジア —— 19~20世紀初頭
ロシアの進出と中央アジア社会の変容 / 統治制度と遊牧・農業経済
2 社会主義時代の経済発展 —— 1917~91年
計画経済体制下の産業開発 / 集団化政策と中央アジア農業
3 ソ連崩壊と市場経済化への挑戦 —— 1992年~現在
移行期の経済情勢 / 構造改革の全貌 / 世界経済への統合 / 市場経済化
プロセスの諸相 / 金融・銀行改革からアラル海環境問題まで
文献一覧
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