越境者の政治史 アジア太平洋における日本人の移民と植民
価格:6,930円 (消費税:630円)
ISBN978-4-8158-0820-4 C3031
奥付の初版発行年月:2015年09月 / 発売日:2015年10月上旬
明治期からの国民統合の過程と並行し、大量に送り出された日本人移民たち。近代史から見落とされてきた彼らの政治統合は、日本およびアジア太平洋地域の秩序にどのようなインパクトをもたらしたのか。移民史・政治史の盲点を克服し、一貫した視点で新たな全体像を描き出す。
目次
序 章 近代アジア太平洋地域における日本人の移民と植民
1 本書の目的
2 研究史と本書の課題
3 分析概念
4 近代アジア太平洋地域における日本人の移動
5 本書の構成
第Ⅰ部 主権国家・世界市場と移民・植民
第1章 北海道の属領統治と大和人移民の政治行動
—— 参政権獲得運動と植民者意識
はじめに
1 北海道の属領統治と移住植民地化
2 大和人移民の政治的活性化と植民者意識
3 政治参加と植民地化のディレンマ
4 北海道の本国編入
おわりに
第2章 「内地雑居論争」 における移民と植民 —— 開国と民族ナショナリズム
はじめに
1 田口卯吉の雑居賛成論
2 雑居尚早論と 「国土」 「国民」
3 内地雑居論争と民族ナショナリズム
4 中国人をめぐる内地雑居論争
5 内地雑居論争と移民・植民論
6 内地開放と外国人法制
おわりに
第3章 アメリカのハワイ王国併合と日本人移民の政治行動
—— 参政権獲得運動から日本人の 「自治」 へ
はじめに
1 ハワイ革命と日本人参政権獲得問題
2 中央日本人会の形成と解体
おわりに
第Ⅱ部 帝国・国際秩序と移民・植民
第4章 矢内原忠雄の 「植民」 研究 —— 帝国日本の移民と植民
はじめに
1 矢内原忠雄の 「植民」 概念
2 矢内原忠雄の移民・植民論
おわりに
第5章 南樺太の属領統治と日本人移民の政治行動
—— 参政権獲得運動から本国編入反対運動へ
はじめに
1 移住植民地化と属領統治
2 属領統治初期の日本人移民
3 南樺太の参政権獲得運動
4 南樺太の本国編入問題
おわりに
補論1 朝鮮・台湾における日本人移民の政治行動
はじめに
1 朝鮮・台湾における日本人移民社会の形成
2 朝鮮・台湾における日本人移民の政治参加
3 総力戦体制下の朝鮮・台湾における日本人移民
おわりに
第6章 「在満日本人」 か、「日系満洲国民」 か
—— 「満洲国」 における日本人の政治参加
はじめに
1 「満洲国」 の建国と在満日本人
2 治外法権撤廃・附属地行政権移譲と在満日本人
3 協和会と 「日系満洲国民」
おわりに
第Ⅲ部 国民国家規範と移民・植民
第7章 帝国日本の植民者か、「東洋人系市民」 か
—— 米領ハワイにおける日系移民の政治行動
はじめに
1 米領ハワイの属領統治と移民社会
2 ハワイの 「東洋人」 と東アジア
3 第一次世界大戦期・戦間期におけるハワイの日系・アジア系住民
4 アジア太平洋戦争とハワイの日系・アジア系住民
おわりに
補論2 南北アメリカの日系移民と第二次世界大戦
はじめに
1 南北アメリカ諸国における日系社会の形成
2 南北アメリカ諸国の日系住民と第二次世界大戦
おわりに
第8章 引揚げ・戦後開拓・海外移住
—— 戦後の日本・沖縄と移民・植民
はじめに
1 引揚げ/送還 —— 日本敗戦と日本・沖縄内部への移動
2 戦後開拓 —— 日本・沖縄内部における移住植民地化
3 海外移住 —— 日本・沖縄から外部への移民
おわりに
終 章 移民・植民と 「民族」 の政治