グローバル経営史 国境を越える産業ダイナミズム
価格:2,970円 (消費税:270円)
ISBN978-4-8158-0836-5 C3034
奥付の初版発行年月:2016年03月 / 発売日:2016年04月上旬
単純な均質化とは異なるグローバル化の実態を12の産業から捉え、競争優位の真の源泉を浮かび上がらせる。産業と地域特性に応じた専門化やクラスター形成がグローバリゼーション下にも進むメカニズムに迫り、東アジア・北米・ヨーロッパなど地域の競争力の決定的重要性を指し示す。
目次
序 章 グローバル経営史とは何か
1 なぜ、今、グローバル経営史なのか
2 競争をどのように捉えるのか
3 産業史の方法 ——産業固有の時間と空間
4 「空間」 の再検討と 「地域の競争優位」
5 本書の構成
第Ⅰ部 グローバル競争の新しい姿
第1章 米欧アジア3大市場と競争力の3つの類型: 製紙
はじめに
1 製紙業とはどのような産業か
2 世界の製紙業の現状 —— 3大市場と企業
3 3大市場はどのように形成されたか
4 3つの統合・立地モデル
5 21世紀の地殻変動
おわりに
第2章 クォーツ革命からファッションへ: 時計
はじめに
1 1950年代の世界の時計産業
2 対外直接投資の最初の波とその影響 (1960年代)
3 エレクトロニクスというインパクト (1970~85年)
4 競争力の新たな基盤 —— グローバル・サプライチェーン (1985年~)
5 「スイス」 であり続けることの重要性
おわりに
第3章 ファストファッションの台頭と百貨店の岐路: アパレル
はじめに
1 日本のアパレル産業の構造
2 ファストファッションの台頭とグローバル競争の激化
3 ファストファッションがもたらす百貨店への影響
おわりに
第Ⅱ部 製造業の競争フロンティア
第4章 勃興する新興国市場と民族系メーカーの競争力: 自動車Ⅰ
はじめに
1 モータリゼーション期の自動車需要
2 市場特性と競争力
おわりに
第5章 選択的グローバル化による国境経済圏への集積: 自動車Ⅱ
はじめに
1 「国内」 時代 —— 国境を越える産業の輸入代替による創出
2 戦後の課題と制度的な大陸規模での統合 (1945~85年)
3 地球規模での再編 (1985~2001年)
おわりに
第6章 絶えざる技術開発とグローバル競争優位: 重電機器
はじめに
1 蒸気タービンから GTCC へ
2 蒸気タービン技術の展開と国際競争力
3 ガスタービン技術の開発と産業発展
4 重電産業のグローバル展開
おわりに
第7章 多様な顧客に育まれた競争優位: 電子部品
はじめに
1 電子部品産業の現状
2 電子部品産業の戦後の歩み —— 競争優位の確立過程
3 電子部品産業発展の論理
おわりに
第8章 グローバルな産業形成と欧米優位の長期持続: 産業ガス
はじめに
1 産業ガス 「産業」 はいつ成立したのか
2 企業戦略と 「産業」 のずれ
3 産業ガスにおける長期的な競争力
おわりに
第9章 シェール革命下の2正面作戦: 化学
はじめに
1 化学産業は日本の新しいリーディング・インダストリーになりうるか
2 2正面作戦の重要性
3 2つの変化 —— シェール革命の進行と中国経済の成長鈍化
4 2正面作戦の精緻化
おわりに
第Ⅲ部 サービス産業の競争フロンティア
第10章 文化産業での競争とグローバル企業の成立: 出版
はじめに
1 ヨーロッパ書籍産業の位置・発展過程・競争力
2 企業戦略の事例 —— ベルテルスマン、ピアソン、サルヴァト
おわりに
第11章 競争力の源泉としての規制: 生命保険
はじめに
1 外国による支配 —— カナダにおける保険の起源 (17世紀~1867年)
2 形成期 (1867年~第一次大戦まで)
3 さらなる拡大と大不況の 「恐怖」 (1918~45年)
4 国内への注力 —— 撤退から再生へ (1945~70年代)
5 合併とグローバリゼーション (1980年代以降)
おわりに
第12章 地域的な産業集積からグローバルな競争優位へ: 浚渫
はじめに
1 オランダにおける浚渫業の勃興 (19世紀~20世紀前半)
2 国際浚渫産業での支配的地位の構築 (20世紀後半)
おわりに
第13章 中小企業の国際競争力を決定するもの: 金融
はじめに
1 中小企業の定義の変化と経済的地位
2 戦後の日本・韓国・台湾の中小企業政策
3 戦後の日本・韓国・台湾の中小企業金融
おわりに
終 章 「国の競争優位」 から 「地域の競争優位」 へ