中国の誕生 東アジアの近代外交と国家形成
価格:6,930円 (消費税:630円)
ISBN978-4-8158-0860-0 C3022
奥付の初版発行年月:2017年01月 / 発売日:2017年01月中旬
東アジア在来秩序を揺るがした明治日本の登場から、琉球、ヴェトナム、朝鮮、チベット、モンゴルへと続く属国・藩部の危機と再編を通して、現代中国の原型が浮かび上がる過程を詳述、万国公法などの翻訳概念の変容を手がかりに、誰も描きえなかった 「中国」 誕生の全体像に迫った渾身作。
岡本 隆司(オカモト タカシ)
1965年 京都市に生まれる
1993年 宮崎大学教育学部講師
宮崎大学教育文化学部助教授などをへて、
現 在 京都府立大学文学部教授、博士(文学)
著 書 『近代中国と海関』(名古屋大学出版会、1999年、大平正芳記念賞)
『属国と自主のあいだ』(名古屋大学出版会、2004年、サントリー学芸賞)
『馬建忠の中国近代』(京都大学学術出版会、2007年)
『中国「反日」の源流』(講談社選書メチエ、2011年)
『李鴻章』(岩波新書、2011年)
『中国経済史』(編著、名古屋大学出版会、2013年)
『近代中国史』(ちくま新書、2013年)
『袁世凱』(岩波新書、2015年)
『中国の論理』(中公新書、2016年)
目次
緒 論
第Ⅰ部 危機の時代へ
第1章 清朝の対外秩序とその変遷 —— 會典の考察を中心に
はじめに
1 『康煕會典』
2 『雍正會典』
3 乾隆以降の転換
4 『一統志』 と會典
5 清末・民国へ
第2章 明治日本の登場 —— 日清修好条規から 「琉球処分」 へ
はじめに
1 日清修好条規
2 台湾事件
3 台湾出兵と日清交渉
4 台湾出兵の波及
5 「琉球処分」
6 むすび
第3章 新疆問題とその影響 —— 「海防」 論と 「屬國」 と 「保護」
はじめに —— 1870年代の新疆と海防論・塞防論
1 海防論とは何か
2 イギリスの調停と郭嵩燾の交渉
3 琉球・朝鮮へ
むすび —— 1880年代以降の 「保護」
第Ⅱ部 属国と保護のあいだ —— 「越南問題」
第4章 ヴェトナムをめぐる清仏交渉とその変容 —— 1880年代初頭を中心に
はじめに
1 曾紀澤の交渉
2 北京交渉
3 天津交渉
4 ブーレの解任
5 ブーレからトリクーへ
6 曾紀澤の再交渉
おわりに
第5章 清仏戦争への道 —— 李・フルニエ協定の成立と和平の挫折
1 前 提
2 交渉の端緒
3 天津交渉
4 結 末
第6章 清仏戦争の終結 —— 天津条約の締結過程
1 清仏戦争と和平の前提
2 条約交渉の開始
3 対立と妥協 —— 「往來」 問題
4 問題の再燃と条約の締結
まとめと展望
第Ⅲ部 自主から独立へ —— 「朝鮮問題」
第7章 「朝鮮中立化構想」 と属国自主
はじめに
1 「朝鮮中立化構想」 への道
2 「朝鮮政略意見案」 の成立
3 「意見案」 の位置
4 「意見案」 の運命
5 「朝鮮中立化構想」 の挫折
おわりに
第8章 自主と国際法 —— 『清韓論』 の研究
はじめに
1 『清韓論』 への道
2 『清韓論』 の版本
3 『清韓論』 の評価
おわりに
第9章 属国と儀礼 —— 『使韓紀略』 の研究
はじめに
1 『使韓紀略』
2 弔使と朝鮮
3 弔使と西洋
むすびにかえて
第10章 韓国の独立と清朝 —— 「自主」 と 「藩屬」
はじめに
1 甲午改革から俄館播遷へ
2 大韓帝国の成立と清朝
3 清韓の条約締結
4 1900年の転換
第Ⅳ部 「領土主権」 の成立と 「藩部」 の運命
第11章 「領土」 概念の形成
はじめに
1 「藩屬」 と 「屬地」
2 「属地」 概念と曾紀澤
3 「屬地」 の定着
4 「領土」 概念の起源
5 「領土」 の確立
おわりに
第12章 「主権」 の生成 —— チベットをめぐる中英交渉と 「宗主権」 概念
はじめに
1 露中宣言とシムラ会議
2 「宗主権」 と 「主権」
3 「主権」 の起源
むすびにかえて —— 「主権」 と 「領土」
第13章 「主権」 と 「宗主権」 —— モンゴルの 「独立」 をめぐって
はじめに
1 露蒙協定 —— 「自立」 か 「自治」 か
2 露中宣言交渉 —— 「宗主権」 か 「主権」 か
3 キャフタ会議
むすびにかえて —— 「外蒙撤治」
結 論