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黒海地域の国際関係

黒海地域の国際関係

A5判 420ページ 上製
価格:6,930円 (消費税:630円)
ISBN978-4-8158-0863-1 C3031
奥付の初版発行年月:2017年02月 / 発売日:2017年02月上旬

内容紹介

世界政治のフォーカルポイント ——。西欧・ロシア・中東の狭間に位置し、歴史上つねに国際政治の焦点だった黒海。冷戦後の EU/NATO とロシアの綱引きの中、紛争や跨境性を伴いつつトルコ、ウクライナ、ジョージア、バルカン諸国等が織りなす地域の動態を、外交・経済から宗教まで多面的に分析、その全体像を描き出した本邦初の著作。

著者プロフィール

六鹿 茂夫(ムツシカ シゲオ)

1952年 名古屋市に生まれる
1978年 上智大学大学院外国語学研究科国際関係論専攻修士課程修了
1985年 ブカレスト大学大学院法学研究科博士課程修了
現 在 静岡県立大学大学院国際関係学研究科教授,
    同附属広域ヨーロッパ研究センター長,
    日本黒海学会会長,博士(法学)
編 著 『ルーマニアを知るための60章』(明石書店,2007年)
    『グローバル・ガヴァナンス論』(共編,法律文化社,2014年)
    『国際関係学への招待』(共編,三恵社,2003年)

黛 秋津(マユズミ アキツ)

東京大学大学院総合文化研究科准教授

上垣 彰(ウエガキ アキラ)

西南学院大学経済学部教授

横手 慎二(ヨコテ シンジ)

慶應義塾大学名誉教授

間 寧(ハザマ ヤスシ)

日本貿易振興機構アジア経済研究所地域センター中東研究グループ長

末澤 恵美(スエザワ メグミ)

平成国際大学法学部准教授

廣瀬 陽子(ヒロセ ヨウコ)

慶應義塾大学総合政策学部教授

月村 太郎(ツキムラ タロウ)

同志社大学政策学部教授

松里 公孝(マツザト キミタカ)

東京大学法学部教授

服部 倫卓(ハットリ ミチタカ)

ロシアNIS貿易会ロシアNIS経済研究所調査部長

安達 祐子(アダチ ユウコ)

上智大学外国語学部准教授

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章
     はじめに
     1 黒海地域の地理的・歴史的概観
     2 黒海地域の特徴 —— 多様性、紛争、協力
     3 今なぜ黒海国際政治なのか?
     4 黒海は1つの地域か?
     5 日本と黒海地域

  第Ⅰ部 黒海の地域性 —— 域内協力と域外関係

第1章 黒海国際関係の歴史的展開 —— 20世紀初頭まで
     はじめに
     1 近世までの黒海地域 —— 1つの 「地域」 として
     2 転換点としての18世紀後半 —— 「オスマンの海」 から 「開かれた海」 へ
     3 19世紀前半のウィーン体制下の黒海地域
     4 19世紀後半から第一次世界大戦前夜までの黒海地域
     おわりに

第2章 20世紀黒海地域の国際政治
     はじめに
     1 イギリスの覇権と欧州に開かれた黒海 (1920年代)
     2 外部世界に閉ざされる黒海 (1933~36年)
     3 黒海をめぐる独ソの攻防 (1936~45年)
     4 黒海をめぐる米ソ対立 (第二次世界大戦直後)
     5 黒海地域における二極構造の弛緩と冷戦の終焉 (1948~89年)
     おわりに

第3章 冷戦後の黒海国際政治
     はじめに
     1 安全保障の真空をめぐる対立と協力 (1990年代前半)
     2 地域国際政治構造の転換 (1990年代後半)
     3 欧州化と二極化 —— 現状維持勢力と現状変更勢力 (2000年代前半)
     4 黒海地域をめぐる欧米とロシアの対立 (2005~08年)
     5 緊張高まる黒海地域 —— リセット、ウクライナ危機、露土対立 (2009~16年10月)
     おわりに

第4章 黒海地域の経済協力と国際経済関係
     1 黒海経済協力機構 (BSEC)
     2 各国経済の概況
     3 失業、財政赤字、経常収支赤字
     4 在外労働者の報酬・送金 —— 黒海地域国際経済関係の焦点
     5 域外経済関係と域内経済協力

  第Ⅱ部 域内国際関係

第5章 ロシアの政治変動と外交政策
     はじめに
     1 体制転換の中での模索
     2 NATO 拡大の余波とロシアの対応
     3 対米政策としての黒海地域政策
     おわりに

第6章 トルコの政治変動と外交政策
     はじめに
     1 歴史的関係
     2 AKP 政権のトルコと黒海地域 —— 多元外交、貿易・人の移動、エネルギー
     おわりに

第7章 ウクライナの政治変動と外交政策
     はじめに
     1 ウクライナにおける政治変動と外交
     2 ウクライナ外交における黒海地域
     3 ウクライナ危機
     おわりに

第8章 南コーカサスの政治変動と外交政策
     はじめに
     1 南コーカサス三国の概要と外交志向
     2 黒海地域における南コーカサスの国際関係
     おわりに

第9章 バルカンの政治変動と外交政策
     はじめに
     1 バルカンはどう理解すべきか
     2 「東方問題」 の過去
     3 「東方問題」 の現在
     おわりに

  第Ⅲ部 黒海地域の主要課題

第10章 長期化する紛争と非承認国家問題
     はじめに
     1 黒海地域におけるポスト冷戦時代の戦争・紛争
     2 黒海地域でなぜ多くの紛争が発生するのか
     3 黒海地域の紛争はなぜ長期化するのか
     4 非承認国家問題の難しさ
     5 人の移動
     おわりに —— 黒海地域の平和を阻む複雑な地政学

第11章 宗教とトランスナショナリズム —— レニンゴル、沿ドニエストル、クリミアに共通するもの
     はじめに
     1 黒海地域における宗教とトランスナショナリズム
     2 トランスナショナリズムの触媒としての非承認国家
     3 南オセチア・レニンゴル郡のジョージア人
     4 沿ドニエストル北部のカトリック
     5 クリミア・タタール
     おわりに

第12章 輸送・商品・エネルギーの経済関係 —— ロシアとウクライナの角逐を中心に
     はじめに
     1 黒海経済圏の実態
     2 世界の商品市場と黒海地域
     3 ウクライナ危機後の黒海経済圏
     おわりに

第13章 企業のトランスナショナリズム —— ロシアの天然ガスとウクライナ
     はじめに
     1 ロシアとウクライナの相互依存関係 —— 安いガス輸入とトランジット
     2 ガス輸入代金未払いの常習化とガス抜き取り問題
     3 仲介会社の登場
     4 ウクライナのガス部門とレント・シーキング
     5 プーチン政権誕生後の展開
     6 仲介会社の排除とその後
     おわりに

終 章
     はじめに
     1 1つの地域としての黒海地域
     2 紛争地帯としての黒海地域
     3 地域 「大国」 ロシアとトルコ
     4 国民国家と跨境性
     5 今後の研究の方向性


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