世界史のなかの東南アジア[下] 歴史を変える交差路 A History of Southeast Asia : Critical Crossroads
価格:3,960円 (消費税:360円)
ISBN978-4-8158-1052-8 C3022
奥付の初版発行年月:2021年12月 / 発売日:2021年12月中旬
世界史を動かし続けた東南アジアを、先史から現代までの全体史として描く、第一人者による決定版。下巻では、植民地支配をこえて独自の国民国家が生成する激動の過程を、消費文化やジェンダー、知的交流などの視点もまじえて示し、多様性を乗りこなす知恵と現代の発展を含蓄豊かに描き出す。
アンソニー・リード(アンソニー リード)
Anthony Reid
1939年ニュージーランド・ウェリントン生まれ。オーストラリア国立大学太平洋アジア研究所教授、国立シンガポール大学アジア研究所所長などを経て、現在オーストラリア国立大学アジア太平洋カレッジ名誉教授。近代アチェ史研究からキャリアを始め、The Age of Commerce in Southeast Asia, c. 1450-1680, 2 vols.(1989; 1993)で東南アジア史にアナール学派の歴史概念を導入し、第一人者としての評価を確立した。インドネシアを中心とする近世・近代東南アジア史研究を専門とし、ナショナリズム研究や環境史でも多数の著作がある。
太田 淳(オオタ アツシ)
1971年福岡県生まれ。2005年、オランダ・ライデン大学大学院文学研究科にて博士(文学)取得。現在、慶應義塾大学経済学部教授。著書に『近世東南アジア世界の変容』(名古屋大学出版会、2014年、日本学士院学術奨励賞)。
長田 紀之(オサダ ノリユキ)
1980年東京都生まれ。2013年、東京大学大学院人文社会系研究科にて博士(文学)取得。現在、アジア経済研究所研究員。著書に『胎動する国境』(山川出版社、2016年、東南アジア史学会賞)。
青山 和佳(アオヤマ ワカ)
東京大学東洋文化研究所教授
今村 真央(イマムラ マサオ)
山形大学人文学部教授
蓮田 隆志(ハスダ タカシ)
立命館アジア太平洋大学アジア太平洋学部准教授
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
第12章 国家をつくる 1824-1940年
ヨーロッパのナショナリズムと領域画定 /ヌサンタラの諸政体――多数からふたつへ /極大化するビルマ、生き長らえるシャム /ウェストファリアと中華帝国 /国家のインフラストラクチャーを建設する /インドシナ――国家はいくつあるのか /新たな主権空間における民族構築 /国家の生成、未完のネーション
第13章 農民の非自律化――人口増加と貧困 1830-1940年
人口増加 /インヴォリューションと農民の非自律化 /二重経済とブルジョワジーの不在 /女性を従属させる /貧困の共有と健康の危機
第14章 消費する近代 1850-2000年
危うい環境に適した住居 /食物の進化 /魚、塩、肉 /嗜好品と飲み物 /布と衣服 /近代的服装とアイデンティティ /表演――祭礼から映画へ
第15章 進歩と近代 1900-1940年
絶望から希望へ /教育と新たなエリート /ネーション概念の勝利――1930年代 /男性的近代をめぐる交渉
第16章 20世紀半ばの危機 1930-1954年
経済的危機 /日本による占領 /1945年――革命のとき /独立――革命か、交渉か
第17章 軍と王とマルクスと――権威主義的転回 1950-1998年
民主主義の短い春 /銃が革命を継承する /フィリピン式独裁 /「保護」された君主制の鋳直し /インドシナ諸王の黄昏 /タイ――正法王の再創造 /共産主義者の権威主義体制
第18章 商業への回帰 1965年以降
ついに訪れた経済成長 /増える米、減る子ども /指令経済諸国の開放 /得たものと失ったもの /陰鬱なコスト――環境破壊と政治腐敗
第19章 ネーションをつくる、マイノリティをつくる 1945年以降
高度近代主義の時代 1945-1980年 /教育とナショナル・アイデンティティ /ピューリタン・グローバリズム /統合された、しかし多元的なる世界への参入
第20章 世界のなかの東南アジア地域
地域の概念 /グローバルな比較
訳者解説
訳注
参考文献
文献案内
索引
(上巻目次)
第1章 熱帯湿潤地域の人びと
第2章 風下の地のブッダとシヴァ
第3章 貿易とネットワーク
第4章 都市の発展と世界市場向けの生産 1490-1640年
第5章 宗教革命と近世 1350-1630年
第6章 アジアとヨーロッパの邂逅 1509-1688年
第7章 17世紀の危機
第8章 民俗語的アイデンティティ 1660-1820年
第9章 中国語化した世界の拡大
第10章 熱帯プランテーションへの道 1780-1900年
第11章 自律性の退潮と最後の抵抗 1820-1910年
訳注