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近世フランスの家政書を読む村の公証人

村の公証人 近世フランスの家政書を読む Le Scribe et le Mage : Notaires et société rurale en Bas-Limousin aux XVIe et XVIIe siècles

A5判 380ページ 上製
価格:6,380円 (消費税:580円)
ISBN978-4-8158-1089-4 C3022
奥付の初版発行年月:2022年05月 / 発売日:2022年06月上旬

内容紹介

勤勉な農夫、貪欲な高利貸し、病を癒す魔術師――。公証人テラード一族の家長たちは、宗教戦争を経て訪れたあらたな時代を記録する。彼らが生きた物質的・精神的世界とその変容を、農村から都市にひろがる人々の繫がりとともに活写しながら、公証人が持つ「書くこと」の力に迫る。


目次

序文(ジャン・ドリュモー)

プロローグ 「事実はかくのごとし」
――インクと権力
書くことと話すこと

第1章 リムーザン山地のフレスリーヌ
――地理・行政・人文の地平
自然環境の支配
モネディエール連山の火災についての伝承
諸権力のいつものごとき輻輳
17世紀における村落世界

第2章 ある一族の土地と空間の征服
所有すること
ストゥネ事件とその顛末
拠点作戦
消費貸借で首を絞めること
経営をすること、直接的あるいは間接的に

第3章 大地に生きる
牧畜志向の所有地
雌羊の王国
雌羊を糧に生きる
牧畜のために開墾する
一大好機――大型家畜の飼育
牧草地の維持管理
フレスリーヌは「セガラ(ライ麦の土地)」か

第4章 「婿入り」
――家と家名
世襲財産を立証するための家政書
声望を求めて
不分割の文化
家名の構築
家名を安定化するための兄弟経営団
名望家の世界に向かって

第5章 物静かだがいなくてはならない女性たち
相続人の母親とその他の女性たち
持参金の与える曖昧な権利
相殺手段
娘たちの行く末(持参金、代母、渾名)
日常生活に差す微かな光

第6章 農民公証人一家の地平
親密圏と隣保
村落圏から小教区ネットワークへ
職業圏
取引関係

第7章 書記の修業
未来の長子を育てること
司祭になること
イエズス会教育の激震
文書作成者としての公証人と司祭

第8章 村の公証人
どこにもいる法実務家
公証人職に向けて
都市の公証人と田舎の公証人
農村金融の只中で
記憶の番人か
文化の媒介者か

第9章 此岸と彼岸における連帯
死という地平
死を準備すること
己の一族に囲まれて眠ること

第10章 治療すること保護すること
家畜と人間の治療のための処方
薬効ある産物が限られていること
有効成分の彼方
護符を作る
治癒者にして魔術師の家長

第11章 家族儀礼の生と死
家長が担う世界観
魔術・宗教的キリスト教の時間
自然諸力の長キリストから悪魔の影へ
世代から世代へ
世界の脱魔術化か
医療権力の出現

終章


家系図
日本語版へのあとがき
訳者あとがき
参照文献
索引


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