「満洲国」以後 中国工業化の源流を考える
価格:6,380円 (消費税:580円)
ISBN978-4-8158-1114-3 C3033
奥付の初版発行年月:2023年02月 / 発売日:2023年03月中旬
戦後の混乱と破壊を乗りこえ、
社会主義化の最前線かつ
最大の生産拠点へと成長した中国東北。
鞍山や瀋陽といった巨大都市の内外で、
帝国支配の「遺産」が時代をこえて
幾重にも再編されるプロセスを初めて実証。
改革開放後の変容も視野に、歴史を貫く流れを比類なき密度で描く。
体制転換が
覆い隠した
水脈をたどる
松本 俊郎(マツモト トシロウ)
1952年東京生まれ
現 在 放送大学岡山学習センター所長、岡山大学名誉教授
著 書 『「満洲国」から新中国へ』(名古屋大学出版会、2000年、日経経済図書文化賞)他
張 暁紅(チョウ ギョウコウ)
1977年大連生まれ
現 在 香川大学経済学部教授
山本 裕(ヤマモト ユウ)
1974年東京生まれ
現 在 獨協大学経済学部准教授
目次
序 章 満洲国以後の東北工業
1 中国経済の「連続」と「断絶」
2 長期的視野と時期区分
3 工業都市の多様性
4 資本主義から社会主義への移行
第I部 満洲国の遺産と国共内戦
第1章 鞍山の復興と中国企業の叢生
――社会主義化の初期条件
はじめに
1 満洲国期の企業動向
2 ソ連軍・国民党支配時期における企業動向
3 1940年代後半の共産党政治と企業動向
おわりに
第2章 国共内戦下の工業化
――哈爾濱・瀋陽を移動する軍需生産
はじめに
1 満洲国崩壊前後の工業の状況
2 哈爾濱根拠地の軍需生産
3 瀋陽工業生産の回復と発展
おわりに
第3章 新京における工業化
――膨張する「国都」とその限界
はじめに
1 業種別工業化の動向
2 各種産業ごとの工場の実態
3 新京における自動車産業の軌跡
おわりに
第II部 共産党政権下の工業化
第4章 鞍山における基幹産業の構築
――母企業の創設
はじめに
1 旧日系企業の接収と再編
2 中国企業の接収と再編
おわりに
第5章 旧日系企業の再編と「南廠北遷」
――瀋陽・哈爾濱の重工業化の新展開
はじめに
1 瀋陽の国営企業の大規模化
2 国営機械企業の再編
3 哈爾濱の重工業化と南廠北遷
おわりに
第6章 旧日系企業の下請から新中国の担い手へ
――瀋陽における中国機械企業の変容
はじめに
1 旧日系企業の下請から国営企業の加工訂貨へ
2 接収された企業の事例
3 社会主義改造を経験した私営企業の事例
おわりに
補論 1980年代機械工業にみる満洲国期との連続と断絶
第7章 長春における工業化の展開
――廃墟からの出発と自動車工業の創生
はじめに
1 国共内戦期から長春解放時の接収状況
2 戦後における長春の工業化
おわりに
第III部 社会主義改造の軌跡
第8章 鞍山における三反五反運動と公私合営化
――企業改革と企業家の動向
はじめに
1 三反五反運動と公私合営化
2 鞍山における公私合営化の展開
おわりに
第9章 急がされた社会主義改造
――加工訂貨の効用と瀋陽・哈爾濱
はじめに
1 加工訂貨への依存と三反五反運動の影響
2 公私合営化への急転回
3 公私合営化した企業の事例と経営者
おわりに
第10章 長春の旧糧桟にみる戦後の企業再編
――国共内戦期・共和国成立期の益発合
はじめに
1 満洲事変以前・満洲国期における益発合
2 国共内戦期の益発合
3 共和国成立時の益発合
4 公私合営化進展のなかの益発合
おわりに
終 章 東北の工業化から社会主義中国の工業発展へ
1 3つの課題と検証結果
2 東北工業の歴史から見る中国の現在と未来
参考文献
あとがき
図表一覧
索引