大学出版部協会

 

情報システムの起源・構造・機能中国共産党の神経系

中国共産党の神経系 情報システムの起源・構造・機能

周 俊:著
A5判 478ページ 上製
価格:6,930円 (消費税:630円)
ISBN978-4-8158-1152-5 C3031
奥付の初版発行年月:2024年06月 / 発売日:2024年05月下旬

内容紹介

秘密主義のベールを乗り越える──。毛沢東ら共産党中枢は、全知の支配者でも無知な指導者でもなかった。社会の実態を掴むべく形作られた制度はどのように作動したのか。今日にも通底する、一党支配下の情報収集・利用のあり方を膨大な史料により解明、中国政治の理解を一新する。

著者プロフィール

周 俊(シュウ シュン)

1987年 中国湖南省に生まれる
2020年 早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士後期課程修了、
 第16回太田勝洪記念中国学術研究賞受賞
東京大学社会科学研究所特任研究員、北京大学歴史学部交換教員等を経て、
現 在 同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科助教、博士(学術)

著書:
『中国現代史資料目録集──毛沢東時代の内部雑誌』
(東京大学社会科学研究所グローバル中国研究拠点、2023年)

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章 一党支配体制は情報をいかに収集・処理したか
     1 本書の主題
     2 先行研究とその問題点
     3 定義、用語、方法、資料
     4 本書の構成

第1章 閉じられた情報環境
      —— 秘密保持制度の起源と実態
     はじめに
     1 秘密主義の源流と1949年前後の内外情勢
     2 秘密保持制度の形成と変容
     3 秘密保持制度の実態
     4 制度改革の兆候と挫折
     5 永遠の秘密主義 —— 成功体験、支配道具、強迫観念
     おわりに

第2章 密使が行き交う秘密通信網
      ——「機要交通」と「機要通信」の制度的展開
     はじめに
     1 秘密通信網とは何か
     2 党委員会主導体制の出現と蹉跌(1921-50)
     3 秘密通信網の模索期(1951-56)
     4 党委員会と郵便局の二元体制の成立(1957-)
     おわりに

第3章 官僚制と情報収集
      ——「請示報告制度」の歴史的展開とその実態
     はじめに
     1 分断化したレーニン主義政党 —— 報告制度の発足(1923-48)
     2 本格的なレーニン主義政党への試み① —— 報告制度の統合(1948-51)
     3 本格的なレーニン主義政党への試み② —— 報告制度の集権化(1951-)
     4 報告制度の病理と毛沢東の解決策
     おわりに

第4章 擬似的な報道の自由
      —— 新華社の機密レポート『内部参考』の世界
     はじめに
     1 『内部参考』の起源、性格および位置付け
     2 『内部参考』の編集・発行体制とその由来
     3 『内部参考』と共産党の権力関係
     おわりに

第5章 ものを言う大衆
      —— 陳情の制度的展開とその実態
     はじめに
     1 陳情制度の形成とその由来
     2 陳情制度の運用実態
     3 党と大衆とのつながり —— その虚像と実像
     4 慈父にして暴君 —— 苦闘する人々と指導者の反応
     おわりに

第6章 天から降りてくる
      —— GIS で見た中央指導者の地方視察と情報収集
     はじめに
     1 中央指導者による地方視察の空間的特徴
     2 地方視察における情報収集と情報操作のせめぎあい
     3 毛沢東は皇帝なのか、スターリンなのか
     おわりに

第7章 情報はどう利用されたか
      —— 大躍進への道
     はじめに
     1 毛沢東時代と農業集団化
     2 農業集団化政策をめぐる毛沢東の情報処理
     3 情報経路の機能性と毛沢東の情報利用
     4 毛沢東の認知バイアスの根源
     おわりに

終 章 情報と権力
     1 秘密主義と巨大かつ複雑な情報システム
     2 中国共産党とソ連
     3 中国共産党と毛沢東

 注
 あとがき
 参考文献
 図表一覧
 索 引


一般社団法人 大学出版部協会 Phone 03-3511-2091 〒102-0073 東京都千代田区九段北1丁目14番13号 メゾン萬六403号室
このサイトにはどなたでも自由にリンクできます。掲載さ>れている文章・写真・イラストの著作権は、それぞれの著作者にあります。
当協会 スタッフによるもの、上記以外のものの著作権は一般社団法人大学出版部協会にあります 。