講座 サニテーション学4
サニテーションと健康
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-8329-2954-8 C3336
奥付の初版発行年月:2023年03月 / 発売日:2023年04月中旬
サニテーションが及ぼす健康影響を,身体・精神・心理的側面から社会的側面まで立体的に描き出し,人が暮らす場の質の改善を通じて間接的・公共的に健康を実現する方策について提示する。技術集「下痢のリスクマネジメントのためのし尿処理技術」収録。
原田 英典(ハラダ ヒデノリ)
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 准教授
専門:環境工学
山内 太郎(ヤマウチ タロウ)
北海道大学大学院保健科学研究院 教授
専門:人類生態学,国際保健学,栄養人類学
目次
本講座の刊行によせて
序 章 サニテーションの健康における意味・意義(原田英典)
1 サニテーションの目的
2 サニテーションと健康とは
3 本書の構成
第1部 サニテーションに関わる健康影響
第1章 し尿由来の病原性微生物と感染症(三島伸介)
はじめに
1 水系感染症
2 微生物がヒトにもたらす光と影
3 感染症を予防する基本的な対策
4 し尿由来の病原微生物
5 熱帯・亜熱帯地方をフィールド地とする人へ
まとめ
第2章 サニテーションと身体的健康(山内太郎・佐井 旭)
はじめに
1 直接的な影響:感染症,下痢症,寄生虫感染
2 二次的影響:栄養状態,認知機能,その他
3 長期的,広範囲の影響
4 不適切なサニテーションと障害調整生命年(DALY)
5 サニテーション・サービスチェーンと健康
まとめ
第3章 サニテーションと下痢(中澤 港)
1 健康問題としての下痢
2 19世紀ロンドンのコレラと21世紀ダルーのコレラ
3 死の病としての赤痢
4 塩素殺菌が無効なクリプトスポリジウム症
5 水源改良の副作用としての健康障害
6 下痢の影響:乳幼児死亡から長期的な低栄養へ
7 ロタウイルスやノロウイルスの問題
8 腸内細菌叢との関係
9 まとめと下痢対策の将来
第4章 サニテーションと精神的健康(佐井 旭・山内太郎)
はじめに
1 サニテーションが及ぼす精神的健康と社会的健康への影響
2 サニテーション・ワーカーと尊厳
まとめ
コラム① 月経は可視化されているのか(杉田映理)
1 沈黙を破れ!
2 生理用品の普及による月経の不可視化
3 自分自身にとっての不可視化
4 月経の不/可視化の先にあるもの
第2部 サニテーションによる健康管理
第5章 サニテーションによる感染症制御の役割とリスクの移転(原田英典)
はじめに
1 サニテーションと感染症の制御
2 サニテーションによる感染症制御の効果
3 サニテーション・システムによる健康リスクの制御と社会的配分
4 資源利用型サニテーションと健康
まとめ
コラム② 指標としての大腸菌の意味とその定量方法(五味良太)
1 大腸菌と大腸菌群
2 病原性大腸菌
3 薬剤耐性大腸菌
第6章 下痢のリスクマネジメント(大石若菜・佐野大輔)
はじめに
1 目標とする許容リスクをどうするか
2 リスク評価
3 リスク管理
4 展 望
まとめ
コラム③ どこまでリスクを許容する?(浅田安廣)
1 リスクとは何か?
2 飲料水分野での許容リスク
第7 章 サニテーションをとりまく非常時の生活(神原咲子)
1 日本における災害対応の変遷
2 健康危機管理と災害対策
3 災害リスク削減のためのケア
4 サニテーションの重要性,日本における個人の対応
5 非常時の生活環境の変化
6 プライマリヘルスケアの見直し
7 ニーズの多様性 福祉避難所の課題から包摂性へ
8 今後考えるべき避難場所・避難所のしつらえの例
9 国外の災害の例 2004年スマトラ沖地震・津波
10 事例 仮設トイレ等マッピング:西日本豪雨の事例から
11 これからの気候変動への適応と災害に向けて必要な対策
技術集 下痢のリスクマネジメントのためのし尿処理技術(大石若菜・佐野大輔)
1 一次処理
2 二次処理
終 章 将来のサニテーションと健康(山内太郎)
はじめに
1 世界のサニテーションの将来像
2 サニテーション・トライアングル・モデルと本書の構成
3 さらにサニテーションと健康を考えるために:重要課題,研究ニーズ
おわりに:コミュニティの視点と技術イノベーション
索 引
執筆者紹介
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●著者紹介
原田 英典(ハラダ ヒデノリ):京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 准教授
山内 太郎(ヤマウチ タロウ):北海道大学大学院保健科学研究院 教授
三島 伸介(ミシマ ノブユキ):関西医科大学総合医療センター 感染制御部 部長
佐井 旭(サイ アキラ):北海道大学国際連携研究教育局先住民・文化的多様性研究グローバルステーション/北海道大学アイヌ・先住民研究センター 助教
中澤 港(ナカザワ ミナト):神戸大学大学院保健学研究科/国際協力研究科 教授
杉田 映理(スギタ エリ):大阪大学大学院人間科学研究科 教授
五味 良太(ゴミ リョウタ):京都大学大学院工学研究科 助教
大石 若菜(オオイシ ワカナ):東北大学大学院工学研究科 助教
佐野 大輔(サノ ダイスケ):東北大学大学院工学研究科 教授
浅田 安廣(アサダ ヤスヒロ):国立保健医療科学院生活環境研究部 主任研究官
神原 咲子(カンバラ サキコ):神戸市看護大学看護学部 教授