北大文学研究科ライブラリ1
言葉のしくみ 認知言語学のはなし
価格:1,760円 (消費税:160円)
ISBN978-4-8329-3372-9 C1080
奥付の初版発行年月:2010年02月 / 発売日:2010年03月下旬
言葉と言葉を使うときの頭の働きに着目した学問,それが認知言語学である。本書は,身近なエピソードや素朴な疑問,世界の言語についての基礎知識を盛り込み,認知言語学の立場から言葉のしくみをわかりやすく説明する。
高橋 英光(タカハシ ヒデミツ)
1952年生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士課程単位取得。博士(文学)。現在,北海道大学大学院文学研究科教授。専門は認知言語学,英語学。
おもな研究業績(論文)は,「英語の間接照応――認知文法の観点から」山梨正明他編『認知言語学論考No.1』 (ひつじ書房,2001年),「指示語の理解――英語のitとthat」大掘壽夫編『認知コミュニケーション論(シリーズ認知言語学入門第6巻)』第2章(大修館書店,2004年),"English Imperatives and Speaker Commitment," Language Sciences 16-3/4, 1994, "Indirect Anaphors: Definiteness and Inference," Leuvense Bijdragen 86-1/2, 1997, "English Imperatives and Passives," in Foolen, Ad & Frederike van der Leek (eds.), Constructions in Cognitive Linguistics (Current Issues in Linguistic Theory 178), John Benjamins, 2000, "Imperatives in Concessive Clauses: Compatibility between Constructions," Constructions 20/2, 2008 (Available at http://www.constructions-online.de/articles/1280).
目次
目 次
1章 言語についての神話
世界には言語がいくつあるのか? /文法のない言語はあるのか? /日本語母語話者の数は世界で何番目か? /日本語は非論理的か? /日本語はむずかしい言語か? /日本語は特殊な言語か? /英語はむずかしい言語か? /早口の言語はあるのか? /女性は男性よりおしゃべりか? /この章のまとめ
2章 記号を使う生物
言語は記号の一種 /恣意的な記号と図像的な記号 /恣意性と図像性の組み合わせ /言語はどのような記号か /語彙と文法の図像性と恣意性 /図像性と恣意性の助け合い /この章のまとめ
3章 意味とはどこにあるのか
伝統的言語学の意味論 /認知言語学の意味論 /経験基盤的意味論 /英語の前置詞inの不思議 /この章のまとめ
4章 「明けの明星」と「宵の明星」と「金星」――認知能力のいろいろ――
具体性の度合い /記号を背景のなかで理解する /意味の焦点とフレーム /際立ち /視点とスキャニング /この章のまとめ
5章 カテゴリー
カテゴリーとは何か /言葉はカテゴリーを表す /カテゴリーのタテとヨコ――基本レベルと典型 /典型の見分け方 /この章のまとめ
6章 メタファー
メタファーとは何か /認知言語学のメタファー分析 /メタファーの二方向性 /メタファーの構造 /なぜヒトはメタファーを使うのか /この章のまとめ
7章 メトニミーとシネクドキー
メトニミーとは何か /メトニミーとシネクドキー /メトニミーとシネクドキーの制約 /ことわざのなかのシネクドキー /この章のまとめ
8章 動詞(だけ)の絵は描けない――品詞とは何か――
日本語と英語の品詞の違い /品詞の違いは認知の違い /名詞と動詞 /品詞は転換する /この章のまとめ
9章 文は舞台である。主語,目的語は役者である。
主語や目的語の「省略」 /主語の明示法 /主語についての従来の考え方と認知言語学の考え方の違い /主語の選択と共感の階層 /この章のまとめ
10章 語順と文法
文法はジャンルに中立的 /文法の意味はイメージ・スキーマである /文法は生得的か後天的かという議論の落とし穴 /日本語(SOV)も英語(SVO)ももっとも標準的な語順の言語である /非規範的語順に課される制約 /この章のまとめ
11章 談話の首尾一貫性
談話と首尾一貫性 /記憶と推論の働き /この章のまとめ
あとがき
参考文献
索引