明清福建農村社会の研究
価格:11,000円 (消費税:1,000円)
ISBN978-4-8329-6271-2(4-8329-6271-X) C3022
奥付の初版発行年月:2002年02月 / 発売日:2002年03月下旬
これまで江南を中心に構築されてきた明清の農村社会,あるいは抗租に関する歴史像に対し,福建農村社会から見た独自の抗租像を提示. また抗租と明清国家の法制度との関連を究明し,抗租に見られる図頼という行為を発掘・検討した,新たな明清史研究を展望する意欲作.
三木 聰(ミキ サトシ)
1951年 北海道に生まれる
1974年 北海道大学文学部卒業
1980年 北海道大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学
現在 北海道大学大学院文学研究科教授・博士(文学)
著書・主要論文
『盗みの文化誌』(共著,1995年,青弓社)
「清代前期福建農村社会与佃農抗租闘争」(『中国社会経済史研究』1988年2期)
「明代の福建における魚課について」(『山根幸夫教授退休記念明代史論叢』上巻,1990年)
「許孚遠の謀略──豊臣秀吉の「征明」をめぐって──」(『人文科学研究』4号,1996年)
目次
序
第一部 抗租と福建農村社会
第一章 明末以降の福建における抗租の展開
一 万暦〜崇禎年間
二 順治〜康▲年間
三 乾隆年間
四 嘉慶〜道光年間
第二章 雍正年間の崇安県における抗租の展開
一 史料
二 分析
第三章 抗租と阻米−明末清初期の福建を中心として−
一 商品作物の展開
二 米穀の生産・流通
三 地主‐佃戸関係と商業・高利貸資本
四 抗租と阻米−むすびにかえて−
第四章 沙県−清代福建の一地方社会−
一 県城および各都の概況
二 墟市・商品生産・商業資本
三 水碓・船碓と地主・商業資本
第二部 抗租と明清国家
第五章 清代前期福建の抗租と国家権力
一 雍正年間の平和県における抗租弾圧
二 地主収租体制と国家権力
第六章 抗租と法・裁判−雍正五年の〈抗租禁止条例〉をめぐって−
一 〈抗租禁止条例〉の制定とその内容
二 〈抗租禁止条例〉制定以前の抗租と裁判
三 〈抗租禁止条例〉制定以後の抗租禁圧
第三部 保甲制と福建郷村社会
第七章 明末の福建における保甲制の展開
一 福建における里甲制の変質
二 保甲制の実施とその展開
三 保甲制と明末の農民闘争
第八章 長関・斗頭から郷保・約地・約練へ
−福建山区における清朝郷村支配の確立過程−
一 郷保・約地・約練
二 長関と斗頭
三 保甲・団練と鉄砲狩令
附篇 明代里老人制の再検討
一 里老人制の成立
二 申明亭と都・図
三 里老人制と裁判−当為と実態−
補論
第四部 図頼と伝統中国社会
第九章 抗租と図頼−『点石斎画報』「▲佃」の世界−
一 『点石斎画報』▲佃」の記事
二 明末以降の抗租における図頼の展開
三 図頼関係人命案件−租佃関係をめぐって−
第十章 軽生図頼考−特に威逼との関連について−
一 図頼とは何か
二 図頼の地域的展開と習俗化
三 図頼と威逼
第十一章 伝統中国における図頼の構図−明清時代の福建の事例について−
一 明清律と図頼
二 風俗と図頼
三 小忿・図頼・告官
結語