北樺太石油コンセッション 1925-1944
価格:9,350円 (消費税:850円)
ISBN978-4-8329-6471-6(4-8329-6471-2) C3033
奥付の初版発行年月:2004年07月 / 発売日:2004年07月下旬
両大戦間期における北樺太(北サハリン)石油コンセッション(利権)会社の設立・経営・解消の過程を詳細に分析。ソ連が石油利権を国内経済のなかでどう位置付け,如何に実践したかを解明し,同時に日ソの外交局面で利権がどのような役割を果たしたかを政治・外交・経済の視点から考察する。
村上 隆(ムラカミ タカシ)
北海道大学スラブ研究センター教授。1942年長野県生まれ。
上智大学外国語学部ロシア語科卒業。(社)ソ連東欧貿易会ソ連東欧経済研究所調査部長を経て,1994年4月から現職。2000年4月から2002年3月までスラブ研究センター長。
専門分野は旧ソ連のエネルギー経済,ロシア極東経済,日ロ経済関係。
著書・論文には,『めざめるソ連極東』〈共著〉(日本経済評論社,1991年),『ソ連崩壊・どうなるエネルギー戦略』〈共著〉(PHP研究所,1992年),「ロシア石油・天然ガス輸出市場の形成」西村可明編著『旧ソ連・東欧における国際経済関係の新展開』(日本評論社,2000年),「サハリン大陸棚石油・ガス開発にともなう環境問題」(『ロシア研究』日本国際問題研究所,2001年),『サハリン大陸棚石油・ガス開発と環境保全』〈編著〉(北海道大学図書刊行会,2003年)など多数。
目次
まえがき
第1章 1910年代末〜20年代のコンセッション
第1節 コンセッションの採用
第2節 コンセッション事業の展開とその問題点
第2章 ソ連の石油部門におけるコンセッション
第1節 革命前の石油生産状況と外国資本
第2節 石油国有化と国際石油会社の対応
第3節 1920年代の外国資本による石油コンセッション
第4節 5カ年計画によるソ連の石油開発と石油精製
第3章 1920年代半ばまでの北樺太における石油調査
第1節 1917年革命以前の石油調査
第2節 米国石油企業,シンクレア社の北樺太進出
第3節 日本企業,北辰会の設立
第4章 北樺太石油コンセッション獲得交渉
第1節 北樺太石油コンセッション取得までの過程
第2節 川上・ヨッフェ非公式交渉
第3節 北京カラハン・芳沢会談
第4節 コンセッション契約締結交渉とその論点
第5章 日本の北樺太の石油への関心
第1節 海軍の北樺太石油コンセッションに対する方針
第2節 1920〜30年代における日本の石油需給
第6章 北樺太石油会社の事業展開
第1節 北樺太石油会社の経営
第2節 オハ油田における生産活動
第7章 1000平方ヴェルスタの試掘作業
第1節 試掘区域の作業進捗状況
第2節 1000平方ヴェルスタ試掘作業の争点
第8章 北樺太石油会社の雇用・労働問題
第1節 雇用形態
第2節 雇用上の問題点
第3節 労働者の待遇問題
第9章 トラスト・サハリンネフチによる石油開発
第1節 トラスト・サハリンネフチの設立
第2節 オハ油田における会社とトラストの生産比較
第3節 カタングリ鉱床における会社とトラストの生産活動
第4節 エハビ鉱床における会社とトラストの生産活動
第10章 トラスト・サハリンネフチによる石油供給
第1節 北樺太石油会社のソ連からの石油購入
第2節 サハリン原油によるハバロフスク製油所の稼働
第11章 ソ連当局による北樺太石油会社への圧迫
第1節 ソ連当局の圧迫の基本的要因
第2節 輸送関係における圧迫
第3節 生産関連施設における圧迫
第4節 生活インフラ関連への圧迫
第5節 労働関連の圧迫
第6節 裁判,ゲーペーウー関連による圧迫
第12章 北樺太石油コンセッションの終焉
資料
1 尼港事件陳謝ニ関スル公文
2 株式会社北辰会定款
3 日ソ基本条約
4 日ソ基本条約附属議定書(甲)
5 日ソ基本条約附属議定書(乙)
6 日ソ基本条約附属議定書添付資料
7 在支「ソヴィエト」連邦大使ヨリ帝国公使宛来翰
8 在支帝国公使ヨリ「ソヴィエト」連邦大使宛往翰
9 コンセッション契約
10 利権契約追加協定書
11 コンセッション契約追加協定
12 日ソ基本条約附属議定書(乙)及交換公文所載ノ期間延長ニ関スル告示
13 北樺太石油株式会社定款
14 日ソ中立条約および共同声明
15 北樺太利権移譲議定書
16 移譲議定書適用条件
17 石油製品輸入契約書