札幌学院大学選書
韓国政治と市民社会 金大中・盧武鉉の10年
価格:6,600円 (消費税:600円)
ISBN978-4-8329-6742-7 C3031
奥付の初版発行年月:2011年03月 / 発売日:2011年04月中旬
韓国における政治と市民社会の相互作用について、金大中政権と盧武鉉政権の10年間の政治を中心に論じる。韓国の市民運動は1987年の民主化以降に本格的に始まり、2000年の国会議員選挙での落選運動、2002年の大統領選挙での反米蝋燭デモ、2004年の国会議員選挙での大統領弾劾反対運動、さらに2008年4月以降の米国産牛肉輸入反対運動などで注目されてきた。市民団体は、なぜ、どのようにして「大きな」存在になりえたのか。この問いに取り組むために、政治と市民社会の相互作用を、民主化以降に激しくなった地域主義に交差させる。少数勢力の金大中大統領がその権力と資源を活用し、市民運動を引き寄せることで支持基盤を広げようとしたこと、盧武鉉政権では、地域主義の克服が叫ばれ、与野党の権力闘争がより熾烈になったことを明らかにする。本書は、金大中政権と盧武鉉政権の10年間に政治と市民社会の相互作用によって何が起きたのか、それが韓国政治にどのような意味をもち、韓国政治に何を残したのかを論じる。
清水 敏行(シミズ トシユキ)
札幌学院大学法学部教授。博士(法学、北海道大学)。
著作 「韓国の政治と市民運動」小此木政夫編『韓国における市民意識の動態』(慶應義塾大学出版会、2005年)、「市民運動と選挙政治」小此木政夫・西野純也編『韓国における市民意識の動態Ⅱ』(慶應義塾大学出版会、2008年)、「労働と福祉の政治」新川敏光、大西裕編著『世界政治叢書9 日本・韓国』(ミネルヴァ書房、2008年)、「民主体制定着期の韓国における政治と市民社会(1)~(6)」『札幌学院法学』(札幌学院大学、第20巻第2号、第21巻第1号、第22巻第1号、第22巻第2号、第23巻第1号、第24巻第2号)ほか。
目次
〈目 次〉
第1章 概念的枠組み
第1節 市民社会と社会運動をめぐる議論
第2節 相互作用への理論的アプローチ
第3節 本書の概略
第2章 市民社会の組織的分布と「市民運動」の誕生
第1節 市民社会の組織的分布
第2節 「市民運動」の誕生とその後
第3章 市民社会と制度化
第1節 市民社会の政治的アイデンティティ
第2節 市民団体と包摂
第3節 市民運動の党派性
第4章 金大中政権の市民社会戦略
第1節 金大中政権と第二の建国運動
第2節 金大中政権と落選運動
第3節 金大中大政権の社会保障政策と市民団体
第5章 政党と市民社会
第1節 国会議員候補者の充員と市民社会
第2節 盧武鉉大統領の政党改革
第3節 選挙と再編成
結 論
付 録