スラブ・ユーラシア叢書15
北東アジアの地政治 米中日ロのパワーゲームを超えて
価格:3,850円 (消費税:350円)
ISBN978-4-8329-6875-2 C3031
奥付の初版発行年月:2021年11月 / 発売日:2021年11月下旬
伝統的な地政学を批判的に継承し、国家や領土を所与のものとせず、表象や言説なども視野に入れ、政治に対する地理的な要因をより多角的・多層的に分析する「地政治(geo-politics)」。地域協力が後景に退き、特に海域での緊張が高まっている北東アジアを、国家を主体としたパワーゲーム的な分析に目配りしつつも、地政治の重層的な視角から読み解く。
岩下 明裕(イワシタ アキヒロ)
所 属:北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター教授
専門分野:ボーダースタディーズ、北東アジア地域研究
目次
序 章 変貌の30年・なぜいま北東アジアなのか?………岩下明裕
はじめに――「北東アジア」という名の挫折
1 変貌の30年
2 本書の構成とアプローチ
第1部 地域の力学・域外のまなざし
第1章 朝鮮民主主義人民共和国の「安全保障」と非核化………福原裕二
はじめに――「北朝鮮の核問題」とは何か
1 北朝鮮はなぜ核兵器開発を進めるのか
2 北朝鮮にとっての「安全保障」
3 非核化に対する北朝鮮体制の耐久性
おわりに
第2章 韓国にとっての北東アジア………三村光弘
はじめに
1 韓国にとっての北東アジアの位置
2 日韓両国における北東アジアの重要性における重要性比較
おわりに
第3章 トランプ外交と流動化する北東アジア地域秩序………泉川泰博
はじめに
1 トランプ元大統領の世界観――三つの一貫性
2 トランプ政権の北東アジア政策――「相対的安定」からトランプ流外交へ
3 北東アジアへの影響
4 今後の行方
第4章 ロシアからみた安全保障アーキテクチャ………加藤美保子
はじめに
1 アジア・太平洋地域でのロシアの目的――アーキテクチャを論じる意義
2 2010年代におけるロシアの秩序観の変容
3 対立後の世界の展望――ロシア流「多国間主義」
4 アジアの安全保障アーキテクチャ
おわりに
第2部 世界化する中国
第5章 中国の漁業改革と揺らぐ海洋レジーム………益尾知佐子
はじめに
1 中国海洋漁業の概況と行政上の問題点
2 習近平の漁業改革
おわりに――海洋レジームへのインプリケーション
第6章 「一帯一路」構想の経済学――グローバル化する地域………舛田佳弘
はじめに
1 「一帯一路」構想の概要
2 開発の経済思想
3 新構造経済学の骨子
4 新構造経済学に対する疑問点
5 経済理論としての意義
おわりに
第3部 動く境界・変わる意識
第7章 再領域化される地域――ハイブリッドな未来を見つめて………岩下明裕
はじめに
1 ボーダースタディーズの手法
2 エリアとしての特性
3 拡大する主権と空間のズレ
4 ボーダースタディーズが描く北東アジアの未来
おわりに――ハイブリッドな共同体を目指して
第8章 四つの門と六つの要塞――海峡をめぐる日本とロシア………井澗 裕
はじめに
1 間宮海峡(韃靼海峡)――ニコラエフスクとアレクサンドロフスク
2 宗谷海峡(ラ・ペルーズ海峡)――クシュンコタン~大泊~コルサコフ
3 四つの門の外を求めて――箱館・対馬・長崎・旅順とロシア海軍
4 六つの要塞――「日本海を閉塞する」ということ
おわりに
第9章 島を規律する――境界をめぐる地政治………天野尚樹
はじめに
1 ボーダーアイランドを規律する
2 サハリン州をめぐる地政治
3 沖縄県をめぐる地政治
おわりに
第10章 領土問題と非政府主体――「民族意識」を疑う………ブフ・アレクサンダー
はじめに
1 創られる「領土」意識――日本のケースを前提に
2 韓国・「独島守護」運動
3 台湾・「保釣運動」の起源
おわりに
あとがき
索引
執筆者一覧