日本の境界 国家と人びとの相克
価格:3,960円 (消費税:360円)
ISBN978-4-8329-6888-2 C3036
奥付の初版発行年月:2022年11月 / 発売日:2023年01月中旬
地理的な国境変更や国境政策のみならず、境界地域に暮らす人々の意識の多層性や変容、難民受入れや外国人労働者問題、無国籍など人びとの視座からみた国家の境界性を考察。現在の日本が抱える社会問題を、境界をキーワードに国家と人びとの相克として分析する意欲作。
池 炫周 直美(チ ヒョンジュウ ナオミ)
現職:北海道大学公共政策大学院准教授
専門:東アジア現代政治、移民、ジェンダー、社会的包摂
エドワード・ボイル(エドワードボイル)
エドワード・ボイル(Boyle, Edward)
現職:国際日本文化研究センター准教授
専門:境界研究、文化遺産論、地政学、地図学
目次
序 論 日本の境界・国境を問う(エマニュエル・ブルネイ=ジェイ、池 炫周 直美、エドワード・ボイル)
はじめに
1.「自然な国境」という神話
2.人びとと領域の相克
3.本書の構成
おわりに
第1部 境界地域と国のかたち
第1章 「フロンティア北海道」を考える(ノウェル・ウィルソン)
はじめに
1.1968年の祝祭――内地へ同化する「フロンティア」
2.2018年の祝祭――「フロンティア」への自問
おわりに
第2章 国境を築く――「北方領土」に関するアクター、利害、象徴(アレクサンダー・ブフ)
はじめに
1.島の返還を求めた初期の草の根運動
2.領土返還運動の大義と北海道庁
3.北海道内の返還運動から国民的な使命へ
おわりに
第3章 「引きちぎられた」南の境界――「日本」と沖縄と奄美のあいだ(天野尚樹)
はじめに
1.北緯50度線/30度線――引き剥がされた北/引きちぎられた南
2.北緯27度線/27度半線――奄美の脱琉球化、あるいは琉球の沖縄化
おわりに
第2部 難民、移民、無国籍
第4章 引揚を難民として考える――大日本帝国崩壊の再評価(ジョナサン・ブル)
はじめに
1.難民としての引揚者
2.民族移動としての帝国後の日本人の移動
おわりに
第5章 「難民」という名の言説――脱北、シリア、ジェンダー(大茂矢由佳、明石純一)
はじめに
1.難民の定義と多様化する「難民」
2.難民該当性をめぐる政治的議論
3.マスメディアにおける難民該当性の議論
おわりに
第6章 日本における「移民の第3の波」?(池 炫周 直美)
はじめに
1.新しい在留資格および入国管理及び難民認定法の改正について
2.外国人労働者受入れと地方自治体
3.北海道の小規模自治体の先進事例
おわりに
第7章 無国籍――国家からこぼれ落ちた人びと(陳 天璽)
はじめに
1.無国籍者とは
2.統計から見えてくるもの・隠されているもの
3.なぜ無国籍者が発生するのか
4.日本の無国籍の実態
5.行政の無国籍に対する認識の実態
おわりに
第3部 国のかたちを考える
第8章 「砦」としての国境保全政策――包括的な視点から(古川浩司)
はじめに
1.近年の国境保全政策――総論
2.近年の国境保全政策――各論
おわりに
第9章 国家と人びとの相克――北方領土問題を題材に(岩下明裕)
はじめに
1.安倍政権がやろうとしたこと
2.安倍外交の破綻と主権に翻弄される人びと
3.「元島民の手紙」――返還運動への打撃
4.「共同経済活動」――打算の代償
5.シンガポールの現実――交渉の終焉
おわりに――主権と人びとのズレをどう埋めるのか
結びにかえて(岩下明裕、エドワード・ボイル)
●著者紹介
池 炫周 直美(チ ヒョンジュウ ナオミ):北海道大学公共政策大学院准教授
エドワード・ボイル(Boyle, Edward):国際日本文化研究センター准教授
ジョナサン・ブル(Bull, Jonathan):北海道大学メディア・コミュニケーション研究院講師
ノウェル・ハウエル・ウィルソン(Wilson, Noell Howell):ミシシッピ大学歴史・国際学科准教授
エマニュエル・ブルネイ=ジェイ(Brunet-Jailly, Emmanuel):ヴィクトリア大学行政学科・教授
大茂矢 由佳(オオモヤ ユカ):筑波大学人文社会科学研究群博士後期課程、日本学術振興会特別研究員
明石 純一(アカシ ジュンイチ):筑波大学人文社会系教授
天野 尚樹(アマノ ナオキ):山形大学人文社会科学部准教授
古川 浩司(フルカワ コウジ):中京大学法学部教授
陳天璽(チェン ティェンシ):早稲田大学国際教養学部教授
岩下 明裕(イワシタ アキヒロ):北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター教授
アレクサンダー・ブフ(Bukh, Alexander):ウェリントン・ビクトリア大学国際関係学部准教授