地方分與税の10年と地方交付税
価格:4,400円 (消費税:400円)
ISBN978-4-86283-381-5 C3033
奥付の初版発行年月:2024年08月 / 発売日:2024年08月下旬
地方分與税の運用の経過を詳細に掘り起こし、現在にどう引き継がれているかを検証。地方交付税の運用に求められるバランス感覚や、制度の機能、そのあり方についての視点を明らかにする。
小西 砂千夫(コニシ サチオ)
現在、総務省地方財政審議会会長(専任職)
関西学院大学名誉教授
1960年 大阪市の生まれ
関西学院大学経済学部卒業 博士(経済学)
専門は財政学
主な著書
『地方財政改革の政治経済学』(有斐閣、2007年)
『日本地方財政史』(有斐閣、2017年)
『地方財政学』(有斐閣、2022年)
『詳解地方財政法』(学陽書房、2022年)
目次
序 章 地方分與税を起点に地方交付税のあり方を考える
第1部 地方分與税の前史
第1章 地方財政調整制度の成立への動機と構想
1. 経済の近代化と地方団体財政の窮乏
2. 実現に至らなかった両税委譲論
3. 地方分與税は三好の「作品」である
4. 昭和6年の三好論考
第2章 昭和7年の地方財政調整交付金要綱
1. 地方財政調整交付金の設計に拘わった永安の論考
2. 永安による地方財政調整交付金制度の概説
3. 地方財政調整交付金の骨格
4. 地方税負担軽減を本旨とすることへの三好の反対
第3章 財政調整制度の諸法案から臨時町村財政補給金へ
1. 3法案の国会提出
2. 臨時町村財政補給金の創設
3. 臨時町村財政補給金から臨時地方財政補給金へ
4. 補給金の配分標準
第4章 馬場・潮税制改革案における幻の地方財政調整制度である地方財政調整金
1. 馬場・潮税制改革の全体像
2. 本格的な財政調整制度としての地方財政調整金
3. 地方財政調整金と地方分與税の比較
第2部 地方分與税の成立
第5章 地方分與税の制定への道筋
1. 税制調査会における成案
2. 昭和15年度税制改正の意義
3. 地方分與税の名称とその意味するところ
第6章 昭和15年度地方税改正と地方分與税の全体像
1. 昭和15年度税制改正による税体系の変化
2. 地方分與税法の基本構造
3. 国会における提案理由から
第3部 地方分與税の運用
第7章 地方分與税の運用 1 ─改正の経緯と繰入率・分与率
1. 改正履歴
2. 昭和22年度と昭和23年度の地方税改正の概要
3. 繰入率の推移
第8章 地方分與税の運用 2 ─年度間調整の仕組み
1. 分与率の推移
2. 年度間調整の運用
3. 分與税分與金特別会計
第9章 地方分與税の運用 3 ─道府県と市町村間の配分
1. 総額を切り分けて配分
2. 道府県分と市町村分の配分基準の設定又は見直し
第10章 地方分與税の運用 4 ─道府県配付税の運用
1. 分与方法の根本原則
2. 各年度の道府県配付税
第11章 地方分與税の運用 5 ─市町村配付税の運用
1. 大都市、都市、町村への配分
2. 大都市配付税(昭和15年度〜昭和20年度)
3. 都市(町村)配付税(昭和15年度〜昭和20年度)
4. 市町村配付税(昭和21年度〜昭和24年度)
第12章 地方分與税の運用 6 ─その他
1. 還付税
2. 配付税の算定期日
3. 地方分與税委員会
4. 東京都の取扱い
5. 地方分與税の地域間配分
第4部 地方配付税から地方交付税への経路と文脈
第13章 昭和24年度における地方配付税率の半減
1. 地方財政計画に基づく総額決定
2. 臨時的措置としての地方配付税率の引き下げ
3. 地方配付税の繰入率半減の過程
4. 地方配付税減額に対する地方財政委員会の主張
第14章 シャウプ勧告による地方税改革と財政調整制度
1. シャウプ勧告による地方税制改革
2. 平衡交付金制度の導入
3. 地方財政平衡交付金に対する疑問
4. 総額確保における挫折となった昭和26年度の地方財政平衡交付金
第15章 地方財政平衡交付金から地方交付税へ
1. 税制調査会と地方制度調査会の答申
2. 地方交付税への改組の内容
3. 地方交付税の運用に対する三好の批判
第16章 地方交付税の基礎としての地方分與税
1. 地方交付税は地方分與税と地方財政平衡交付金のハイブリッド
2. 総額決定のあり方─税か交付金か
3. 地方交付税の算定における考え方
4. 普通交付税に対する特別交付税
5. マクロにおける年度間変動の調整とミクロにおける激変緩和等
6. 地方交付税における地方分與税の文脈
7. 融合型事務配分と財源保障の組み合わせ
8. 地方交付税制度に働くバランス感覚
索引