コロナ禍と社会情報 インフォデミックの考現学
価格:3,960円 (消費税:360円)
ISBN978-4-87354-773-2 C3036
奥付の初版発行年月:2023年12月 / 発売日:2023年12月下旬
デマ、陰謀論、ディープ・フェイク…。高度情報社会の激流は、われわれから「情報の価値」を奪い去り、その一方で「価値の情報」に対する渇望を煽り続けている。われわれは、今後どのようにして情報空間をサバイブしていけばよいのだろうか。混乱の根底を見据えながら新たな処方を探ろうとする意欲的な著作。
近藤 誠司(コンドウ セイジ)
関西大学社会安全学部 教授
1994年にNHKに入局。約20年間、ディレクターとして災害報道などに携わる。
NHK 神戸放送局「震災メッセージ」シリーズの企画・制作で、2004年、
総務省消防庁の「防災まちづくり大賞」(消防科学研究センター理事長賞)を受賞。
NHKスペシャル「メガクエイク 巨大地震 〜KOBE 15秒の真実〜」(2010年)で、
科学技術映像祭・内閣総理大臣賞、中華人民共和国・国際科学教育番組コンクール・銀獅子賞を受賞。
2013年に京都大学大学院情報学研究科社会情報学専攻(博士後期課程)指導認定退学、博士(情報学)。
翌年NHKを退職し、関西大学社会安全学部安全マネジメント学科の助教となる。
2015年春に、同・准教授、2022年春に、同・教授。現在に至る。
2023年春から、京都大学防災研究所・客員教授を兼務。
2018年度、日本災害情報学会・廣井賞(社会的功績部門)受賞。
2019年度、ぼうさい甲子園グランプリ受賞。
2019年度・2020年、ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)金賞を受賞。
2022年度、日本災害情報学会・廣井賞(学術的功績部門)受賞。
人と防災未来センター・リサーチフェロー、日本災害復興学会理事、日本災害情報学会理事、社会貢献学会理事、地区防災計画学会幹事などを務める。
目次
序章 インフォデミックの時代
1 加速する膨張ドライブ
2 「洞窟のイドラ」と「セグメントα」
3 「情報の価値」と「価値の情報」
4 本書の構成
第1章 コロナ禍の情報空間
1 日本のコンテキスト
2 情報取得行動調査の横断分析
(1)メディア接触度
(2)コロナ情報に関する接触度
(3)メディア信頼度
(4)デマやフェイクニュースと若者の情報取得行動
(5)小括
3 大学生のライフログ
4 在外邦人が経験したコロナ禍【1】
(1) 在住している国・地域
(2) 在住年数
(3) 回答者の世代
(4) 在住国と日本に対する評価
(5) 政府の対応に関する評価の国別比較
(6) 政府の対応に関する評価基準
(7) 在住国の対応の良い点・悪い点
(8) 被差別的な経験の有無
(9) 被差別的な経験の有無と在住年数・世代の関係
(10)心理的なストレス
(11)アフターコロナに向けた見解
5 在外邦人が経験したコロナ禍【2】
(1) 在住国・地域
(2) 帰国状況
(3) デマやうわさの接触度合い
(4) 在住国におけるデマやうわさに関する対応策の評価
(5) 在住国政府の情報政策
(6) マスメディアのコロナ報道
(7) 被差別的経験の有無
(8) 在住国と日本の両政府に対する評価
第2章 マスメディアの憂鬱
1 マスメディアが孕む問題構造
(1) 過剰と過少のアンサンブル
(2) 見たいものだけを見たい 〜ナイーブな大衆〜
(3) 政治の科学化、科学の政治化
2 諸外国のコロナ報道
(1) アメリカ
(2) 中国
(3) イギリス
(4) フランス
3 情報のワクチノロジー
第3章 記者たちの苦悩
1 コロナ・クロスロード
2 報道従事者を対象としたデプスインタビュー
(1) A氏からのヒアリング結果
(2) B氏からのヒアリング結果
(3) C氏からのヒアリング結果
(4) D氏からのヒアリング結果
(5) E氏からのヒアリング結果
(6) F氏からのヒアリング結果
(7) G氏からのヒアリング結果
(8) 小括
第4章 ヴァルネラブルの立ち位置から
1 聴覚障害者調査
(1) 回答者の世代
(2) 障害の程度
(3) 普段のコミュニケーションの仕方
(4) 不意の情報伝達方法
(5) 防災関心度
(6) 防災充実度
(7) 聴覚障害者としての備え
(8) 避難所に準備しておいてほしいこと、市民に知っておいてほしいこと
(9) 福祉避難所の認知度
(10)避難先の選択肢
(11)災害時の身近な支援者の存在
(12)避難所運営を手伝うか
(13)コロナ禍で嫌な思いをしたか
(14)コロナ禍における情報取得手法
(15)コロナ禍で生活を改善したこと
(16)小括
2 視覚障害者調査
(1) 回答者の世代
(2) 防災関心度
(3) 防災充実度
(4) 視覚障害者としての特別な備え
(5) 災害時を想定して周りに知っておいてほしいこと
(6) 南海トラフ巨大地震の被害想定の認知度
(7) 福祉避難所の認知度
(8) 想定している避難先
(9) 災害時に手を差し伸べてくれる人
(10)避難所運営を手伝うか
(11)コロナ禍で嫌なことを経験したか
(12)コロナ禍における情報取得行動
(13)コロナ禍における生活改善事項
(14)防災に対して知りたいことや懸念
(15)小括
第5章 若者たちのリアリティ
1 つながりの実質
(1) 草津市山田小学校区の実践から
(2) 京都府京丹波町の実践から
(3) 福井市高須集落の実践から
(4) 動画教材制作プロジェクトの実践から
(5) つながりの価値を掬い出すこと
2 タフネスを備給する瑞々しい関係性
3 ハッピー曲線
終章 情報化に、真に抗うこと
あとがき
初出一覧