生物記号論 主体性の生物学
価格:3,740円 (消費税:340円)
ISBN978-4-87698-691-0(4-87698-691-6) C3040
奥付の初版発行年月:2006年11月 / 発売日:2006年09月下旬
現代生物学は,物質のことばを用いて生物のしくみを解き明かすことができた.しかし,めざましい成果を挙げるいっぽうで「生きものらしさ」を見失っていないか? 分子生物学の第一人者が,記号論の立場から生物の「心」と主体性をいま一度見なおし,もうひとつの生物像をえがきだす.「記号の自然誌」を目ざした,新しい生物学への途.
目次
はじめに
1—— 生物学の歩み
1 近代生物学のなりたち
2 分子生物学の衝撃
3 “生きもの”をめぐって
4 いろいろの生物観
2—— 記号とは
3—— 生きものの世界
1 記号作用によって生きる
2 ともに生きる
3 生物が認知し相互作用するはたらきは記号過程である
4 記号作用は心のはたらきか
5 生きものにとって“外界”とは
6 記号の三項性
4—— 分子の世界(1)細胞のはたらき
1 「分子の世界」概観
2 細胞の基本構造と化学活動
3 細胞が外界を感受する
5—— 分子の世界(2) 体内通信系
1 液性因子の通信系
2 神経系
3 神経・免疫・内分泌相関
6—— 分子の世界(3) 生体防御
1 さまざまな非特異的防御のしくみ
2 自然免疫
3 獲得免疫
4 〈自己・非自己〉再検討——記号系としての免疫系
7—— 分子の世界(4) 遺伝
1 メンデル因子・遺伝子
2 分子生物学と遺伝子決定論
3 遺伝子概念の曖昧性
4 ゲノムが形質を決定するのか
5 「遺伝的自己」記号
8—— 分子の記号作用が生きものをつくる
1 生体内の分子はすべて記号としてはたらく
2 分子水準の非決定性
3 生物分子記号と人間記号の同型性
4 化学記号と生物分子記号との関係
9—— 記号系としての生きもの
1 生物像:モノからコトへ
2 ふたつの生物学
3 生命とは何か
4 「生命とは主体性をもつ存在である」
10—— 生物主体の三項構造
1 主体とその身体
2 環世界
3 社会
4 三項関係としての生きもの
5 生物存在の階層性——「目的」をめぐって
11—— 主体と時間
1 生物リズム
2 記憶すること,忘れること
3 予見すること
4 進化
5 主体の物語り性
12—— 生物と無生物
1 生命の起源
2 機械と生物
13—— 記号圏
1 生物圏と記号圏
2 記号の起源と進化
3 """"生きものは志向性の記号である""""
文献
おわりに
索引