近世文学・伝達と様式に関する私見
価格:6,600円 (消費税:600円)
ISBN978-4-87698-943-0 C3091
奥付の初版発行年月:2010年12月 / 発売日:2010年12月上旬
作者と読者とをむすぶ過程には豊かな営みがある.近世日本の小説と詩歌における伝達とその様式をテーマに,造本・版行文字・書肆の成立・口絵と挿絵・文体・ストーリーの改編と受容といった視点から,日本語学・日本文学の諸問題を論じる.名著の誉れ高い前著『営為と様式』に続く著者待望の論集.
濱田 啓介(ハマダ ケイスケ)
京都大学博士(文学)、京都大学名誉教授。
1930年東京に生まれる。京都大学文学部卒業、大阪府立夕陽丘高等学校教諭・同北野高等学校教諭、鹿児島大学教育学部講師・助教授、京都大学教養部助教授・教授、同総合人間学部教授を経て、1994年京都大学名誉教授。同年花園大学文学部教授(2001年3月まで)。
主要著作:
『馬琴評答集解題』(天理図書館善本叢書 和書之部第十二巻)、天理大学出版部、1973年3月。
『洒落本大成』(共編)、中央公論社、1978年9月〜1988年11月。
『近世小説・営為と様式に関する私見』、京都大学学術出版会、1993年12月。※角川源義賞、1994年12月受賞。
『異素六帖 古今俄選 粋宇瑠璃 田舎芝居』(新日本古典文学大系82)(校注・共著)、岩波書店、1998年2月。
『南総里見八犬伝』1〜12(新潮日本古典集成別巻)(校訂・解説)、新潮社、2003年5月〜2004年4月。
目次
1 中世における造本について
2 出版と文字の歴史
3 板行の仮名字体——その収斂的傾向について
4 『生玉万句』以前の大阪刊本を疑う
5 近世後期における大阪書林の趨向——書林河内屋をめぐって
6 近世小説本の形態的完成について
7 編次考
8 『南総里見八犬伝』の口絵・挿絵における芝居絵的考察
9 ある詞章論——古浄瑠璃慣用表現に関して
10 雨月春雨の文体に関する二三の問題
11 文体論試論——言表提示の周辺
12 『三木章』とは何か
13 『絵本太閤記』と『太閤真顕記』
14 家臣拾譚——水滸伝受容作品に結合する日本的要素について
15 読本における恋愛譚(ロマンス)の構造——読本文学様式論のために
16 滑稽本概説
17 幕末の写生歌
索引
後記