民法の流れ図-相続-
価格:2,750円 (消費税:250円)
ISBN978-4-947553-98-0 C3032
奥付の初版発行年月:2023年10月 / 発売日:2023年10月上旬
民法の「相続」が存在しないばあい、以下のようになる。民法239条1項により、所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その動産の所有権を取得する。すると、人が亡くなった後に残る遺産のうちの動産は権利の主体がない物すなわち無主物になり、早い者勝ちで占有した人が所有権を取得し、遺産の腕力争奪の恐れが生じる。しかし、封建社会が否定されて生じた市民社会の法である民法では腕力争奪は認められない。また、民法239条2項により、所有者のない不動産は、国庫に帰属する。すると、人が亡くなって生前に所有権を持っていた土地・建物すなわち不動産は無主物となり、国が所有権を取得する。しかし、遺族は、亡くなった人との想い出が詰まった土地・建物を失う喪失感を味わう。民法の「相続」は遺産にかんする以上の市民の気持ちを汲んで規定している。「相続」の目的は遺産の無主物化の回避であることを、沼正也博士の理論をもとに本書で著した。
中山 秀登(ナカヤマ ヒデト)
1954年 東京都に生まれる
1988年 中央大学大学院法学研究科
博士後期課程民事法専攻満期退学
現在 流通経済大学法学部教授
目次
民法によるガバナンス
民法(第1編~第5編の関係)
第5編 相続(第1章~第10章の関係)
第1章 総則(882条~885条の関係)
第2章 相続人(886条~895条の関係)
第3章 相続の効力(第1節~第3節の関係)
第4章 相続の承認および放棄(第1節~第3節の関係)
第5章 財産分離(941条~950条の関係)
第6章 相続人の不存在(951条~959条の関係)
第7章 遺言(第1節~第5節の関係)
第8章 配偶者の居住の権利(第1節と第2節との関係)
第9章 遺留分(1042条~1049条の関係)
第10章 特別の寄与