矢内原忠雄
価格:2,860円 (消費税:260円)
ISBN978-4-13-003370-1 C3011
奥付の初版発行年月:2011年11月
戦前・戦後の歴史の奔流のなかで,一貫して絶対平和と真の民主主義を訴え,戦後日本の知と心の再建を担った東大総長・矢内原忠雄.没後50年を迎えたいま,迷走する日本に生きる私たちに彼は何を問うか.その精神の息吹を伝える「矢内原忠雄の言葉」を併載.
目次
I 生涯
昭和初期からの風雪の人(鴨下重彦)
1 はじめに——今なぜ矢内原なのか
2 略歴と伝記
3 生い立ちから神戸中学まで
4 一高時代から東京帝大卒業まで
5 住友時代
6 東大経済学部助教授、欧米留学、妻の死
7 受難、教授辞任とその後
8 戦闘開始、伝道に専心
9 「二つのSと二つのJ」
10 終戦、東大復帰、経済学部の再建
11 初代教養学部長として
12 東京大学総長として
13 ハンセン病療養所伝道
14 登山
15 宣教一〇〇年から一五〇年へ
16 沖縄訪問
17 晩年、今井館での思い出
18 最後の講演三題について
19 病と死、葬儀
20 むすびに代えて——今何が問われているのか
補遺 駒場の学生諸君へ
矢内原忠雄の言葉 I——晩年の人生論
富士登山/子供のために/人生の選択
II 学問
植民政策論・国際関係論(木畑洋一)
1 学問的出発
2 植民政策論
3 イギリス帝国主義研究
4 植民政策研究から国際関係論へ
台湾との関わり——花瓶の思い出(若林正丈)
1 はじめに
2 「花瓶の思ひ出」——矢内原事件と林献堂
3 林献堂の「祖国事件」——なぜ林献堂は東京にいたか?
4 失意の再会——戦後の林献堂と矢内原忠雄
5 結びに代えて——二つの苦い別れ
南洋群島研究(今泉裕美子)
1 はじめに
2 設定された課題と研究の方法
3 植民史からみた委任統治制度の意義
4 現地住民の「近代化」に関する分析
5 熱帯への日本人移民における「沖縄問題」の「発見」
6 おわりに
植民地研究と〈植民〉概念(塩出浩之)
1 はじめに
2 〈植民〉とはなにか
3 〈植民〉と〈支配〉を区別する意味
4 移植民論と人口問題
5 北米・南米移民と朝鮮・満洲移民
6 おわりに
矢内原忠雄の言葉 II——戦前戦中の文章から
日本精神の懐古的と前進的
III 信仰
「宗教改革論」と東大聖書研究会(川中子義勝)
1 はじめに
2 矢内原の東大辞職までの歩みと東大聖書研究会
3 「宗教改革論」
4 無教会主義(エクレシア)論
信仰と学問——1930年代を中心に(三浦永光)
1 学 問
2 学問と信仰の関係
3 学問と信仰からの政治批判
1 国際政治に対する批判
2 日本の政治に対する批判
4 矢内原の思想の特色
5 問題点
6 あとがき
伝道者・牧会者・聖書研究者(柴田真希都)
1 矢内原の行った聖書講義
2 矢内原の聖書講義の特質
3 土曜学校における真理探究
4 矢内原共同体の成り立ちと展開
5 おわりに
矢内原忠雄の言葉 III——戦後・平和と民主主義について
国際平和と日本人
日本に帰る/平和の道/モリヤの山
聖書から見た日本の将来
日本の民主化は可能であるか
Ⅳ 矢内原忠雄と教養学部
教養学部の船出(池田信雄)
1 船出
1 新大学の設立準備
2 発足
2 教養学科の設立
3 教養学部と学生運動——一九五〇年九月の試験ボイコット事件
4 教養学部の福利厚生施設
5 おわりに
想い出の矢内原忠雄と教養学部(川西 進)
矢内原忠雄の言葉 IV——教育論
宗教の本質と教育の本質
二つのSと二つのJ