内容紹介
平清盛による権力が最初の武家政権とし,幕府とは何かということに分け入り論じる平家政権論.貴族化されたとされる平家像を越え,その後の日本社会の権力のあり方を考察するためのあらたな歴史像を描く.歴史学の通説的概念を根本的に問い直す.
目次
序、ならびに用語について
第一部 六波羅幕府と平氏系新王朝
第一章 後白河院と平清盛──王権をめぐる葛藤
第二章 福原遷都をめぐる政治──治承二年(一一七八)から同四年八月末まで
第三章 六波羅幕府と福原
第四章 六波羅幕府再論
第二部 平家権力の諸相
第五章 平家の館について──六波羅・西八条・九条の末
第六章 平家家人制と源平合戦
第七章 清盛家家政の一断面——備後国大田荘関係文書を手がかりとして
第八章 嘉応・安元の延暦寺強訴について──後白河院権力・平家および延暦寺大衆
第三部 日宋の交流と海
第九章 大輪田泊について
補論 治承三年六月中旬の瀬戸内航海記録
第一〇章 宋銭の流通と平家の対応
第四部 物語への展望
第一一章 『平家物語』の虚実──北米の日本史・日本文学研究者に向けて
第一二章 平重盛の四天王寺万灯会について
第一三章 「朝敵」という語の成立
あとがき