内容紹介
日本の1990年代の金融危機の要因と影響を,膨大な銀行と企業のミクロデータを用いて詳細に分析するとともに,アメリカ金融危機の考察も踏まえ,金融システム安定化への政策課題を提言する.
目次
はしがき
序章 本書の問題意識と要約
I 金融危機の要因と銀行行動
1 不良債権問題はなぜ長期化したのか——自己資本比率規制下の会計操作と不良貸出
2 不良債権問題はどのように解消されたのか
3 銀行の合併は効率性と健全性を改善させたか——銀行合併の動機と効果
II 金融危機と実体経済
4 銀行の健全性は中小企業の設備投資に影響するか——情報独占、銀行監督と信用収縮
5 金融危機はマクロ経済の生産性を低下させるか——企業ダイナミクスと資本の配分
III 金融危機と経済政策
6 銀行のバランスシートは金融政策の有効性に影響するか
7 金融政策は企業の流動性制約に影響するか
8 日米の金融危機から得られる教訓は何か