内容紹介
広く読み継がれる『平家物語』を,文学としてどう読むかという問題に向き合う.読み本系,語り本系と数多く存在する諸本の差異の意味を考える.古態とされてきた延慶本も他本と相対的な関係のなかにあることを明らかにし,流動の文芸としての全体像を描き出す.
目次
序章 『平家物語』諸本を読みなおす
第一部 『平家物語』諸本の性格と位相
第一章 延慶本『平家物語』論
第一節 屋島合戦譚本文考
第二節 横笛説話論
第三節 平頼盛像の造型
第二章 語り本系『平家物語』論
第一節 屋代本巻十における維盛関連記事の生成
第二節 屋代本前半部の構造
第三節 語り本の形成——巻六の叙述を中心に
第二部 『平家物語』終結様式の文学史的展開
第一章 終局部への視点——巻八前半部の検討から
第一節 諸本本文の関係
第二節 延慶本・屋代本・覚一本の構造
第二章 終局部の構造と展開
第一節 延慶本の位相(一)
第二節 延慶本の位相(二)
第三節 断絶平家型の生成
第四節 覚一本の成立
第五節 小括
終章 『保元物語』『平治物語』への展望
第一節 半井本『保元物語』終結部の解釈
第二節 一類本『平治物語』試論