機械強度設計のためのCAE入門 有限要素法活用のノウハウ
価格:2,970円 (消費税:270円)
ISBN978-4-501-41760-4 C3053
奥付の初版発行年月:2008年11月 / 発売日:2008年11月中旬
本書は,2005年に出版した”初心者のためのCAEによる機械強度設計”の改訂版である。今回の改訂では全体の章立てを変更し,各章とも加筆,修正を行い演習問題を追加した。
CAEに関する本としては,有限要素法の理論に関するものと操作マニュアル的なものがよく見受けられる。しかしながら,現実に設計する上でCAEを用いるにあたっては,全体の設計開発の流れの中で,CAEを理解して用いなくては設計者として十分に有効性のある結果を得ることができない。具体的には,CAEの使い方だけでなく,自ら実験を行わない場合においても検証実験の種類と手法の位置付けを理解することや計算結果をいかに活用していくかなどまで理解してソフトを用いるべきである。このような視点にたって見るとCAEのノウハウを全体から解説した書物はなかなか見当たらないと考えられる。
本書はこうした現状を踏まえ,CAEの解説にとどまらず,CAEを設計に有効に用いるための現実的な評価までを含めてCAEを用いた設計の全体像が理解できるようにした。とくに機械強度設計において,いかに有効にCAEを用いて設計するかのノウハウについて解説した。
CAEには得意な分野とさほど得意でない分野があり,このことを理解した上で他の手法とも連携して有効に用いていただければと考えている。
昨今の機械システムにおいては,公共交通機関など社会インフラ,自動車などの消費財,工場プラントなどにおいて強度に関する重大不具合はあとを絶たない状況があり,機械強度に関係する安全ニーズがますます高まっているといえる。CAEは強度検討においてのきわめて有効な技術であるが,設計開発におけるシミュレーションの位置付けを理解していないと計算結果を過信し重大な不具合をもたらすことになりかねない。
このような状況においては短期間での実務に通じたCAE技術者の育成が急務である。本書が強度問題についての真に有効な技術修得の一助となれば幸いである。
なお,本書で使用している解析用ソフトウェアおよびプリ・ポストプロセッサについては自作ソフトの他,NONSAP,ADINA,ANSYS,COSMOS Works,Solid Worksを使用した。
2008年10月 著者
目次
第1章 CAEによる機械システムの強度保証について
1.1 誰にでもできるCAEによる機械設計
1.2 強度の計算法とFEMの有用性について
1.3 FEM適用の実際
1.4 強度保証のポイントと許容応力について
1.5 開発ツールのなかでのFEMの位置付け
第2章 有限要素法の概要
2.1 CAEと有限要素法
2.2 有限要素法利用者の現状
2.3 有限要素法の基本的概念
2.4 有限要素法の主な特徴
2.5 ソフトウェアの本質と汎用有限要素法プログラムの基本構成
2.6 有限要素法で何が解析できるのか
2.7 有限要素法の利用上の問題点と指針
2.8 解析ソフトウェアを利用するために必要な専門用語
2.9 有限要素法による解析入門実習例
第3章 有限要素法を用いた機械設計法
3.1 FEMによる実用的な応力解析
3.2 応力計測実験による応力確認法について
3.3 振動強度について
3.4 振動解析の概要
3.5 有限要素法の概要
演習問題
第4章 有限要素法を用いた機械システムの開発法と検証実験
4.1 製品開発プロセスの中におけるFEMの位置付け
4.2 実験によるFEM結果の補完
4.3 開発における総合的な強度保証とFEMの役割について
演習問題
第5章 CAEのための材料力学
5.1 材料力学の概要と関連分野
5.2 解析に必要な材料力学の基本用語
5.3 単純応力とひずみ
5.4 組合せ応力とひずみ
5.5 曲げによる応力と変形
5.6 ねじりによる応力と変形
5.7 ひずみエネルギー
5.8 振動の基礎
5.9 有限要素法の理論
演習問題
付 録
索 引
関連リンク
・ダウンロード:第5章演習問題の解答/PDF