大学出版部協会

 

ムージル伝記 2

叢書・ウニベルシタス915
ムージル伝記 2

四六判 818ページ 上製
価格:10,780円 (消費税:980円)
ISBN978-4-588-00915-0 C1323
奥付の初版発行年月:2012年12月 / 発売日:2012年12月上旬

内容紹介

本巻は、第一次世界大戦従軍から激動の1920年代を経て、大作『特性のない男』刊行まで。死のイゾンツォ戦線、崩壊するカカーニエン、敗戦国のインフレーション、ファシズムとスターリニズムの血塗られた抗争など、20世紀前半における中央ヨーロッパの過酷な現実を、ムージルを軸に生々しく描き、ブレヒトやクラウスとの角逐、カフカやジッドとの面談、ルカーチやブロッホとの交流におよぶ。

著者プロフィール

カール・コリーノ(コリーノ カール)

(Karl Corino 1942-)
バイエルン州北部に農場主,音楽家の息子として生まれる.ディンケルスビュールの古典語ギムナージウムに学び,16歳のときローベルト・ムージルの短篇「グリージャ」と,『特性のない男』の数章を読み,この出会いが生涯を決定する.エアランゲン大学およびテュービンゲン大学でドイツ語ドイツ文学,古典文献学,哲学を研究.1969年テュービンゲン大学のバイスナー教授のもと,ムージルの『合一』についての論文により博士号取得.ヘッセン放送局文化部に入社し,1985年から文化部長.その後フリーの著述家としてテュービンゲンに在住.ピサ,セントルイス,エッセンにおいて客員教授,ベルリン学士院フェロー,I. バッハマン賞審査委員など.ムージルの伝記的研究の第一人者.

早坂 七緒(ハヤサカ ナナオ)

訳者代表.1947年生まれ.東京大学大学院博士課程中退.中央大学教授.Robert Musil und der genius loci (Wilhelm Fink Vlg.),『ムージル・エッセンス』(共訳・中央大学出版部)など.国際ムージル学会員.

水藤 龍彦(スイトウ タツヒコ)

1952年生まれ.京都大学大学院修士課程修了.追手門学院大学教授.『ムージル著作集第7巻,日記/エッセイ/書簡』(共訳・松籟社),『ドイツにおける〈日本=像〉──ユーゲントシュティールからバウハウスまで』(共訳・思文閣)など.

北島 玲子(キタジマ レイコ)

1953年生まれ.大阪大学大学院博士課程修了.文学博士.上智大学教授.『終りなき省察の行方』(著書・上智大学出版),『幻想のディスクール』(共著・鳥影社)など.

赤司 英一郎(アカシ エイイチロウ)

1953年生まれ.東京大学大学院博士課程修了.東京学芸大学教授.「非個人的なものに襲われるトポスとしての〈部屋〉──ムージルの『寄宿生テルレスの惑乱』から短編集『合一』への展開について」(『ドイツ文学』第142号),『ムージル読本』(共訳・法政大学出版局)など.国際ムージル学会員.

高橋 完治(タカハシ カンジ)

1965年生まれ.東京大学大学院博士課程満期退学.法政大学非常勤講師.「ムージルに於ける〈視線〉の形」(東京大学『詩・言語』第51号)など.

渡辺 幸子(ワタナベ ユキコ)

1971年生まれ.東京都立大学大学院博士課程満期退学.明治大学非常勤講師.『インタヴューズ』(共訳・三修社)など.

満留 伸一郎(ミツドメ シンイチロウ)

1973年生まれ.東京大学大学院博士課程満期退学.東京藝術大学非常勤講師.「方法の生まれる国──カカーニエン,あるいは,ある〈全体性〉の強いられたストラテジー」(『オーストリア文学』第23号),ヴォルフガング・ウルリヒ著『芸術とむきあう方法』(翻訳・ブリュッケ)など.

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

  *1〜16は第1巻に所収

17 五年間の奴隷奉公  613
  第一次世界大戦──南チロルの奇妙な戦争
18 「知識階級から下層民に押し下げられて」  745
  ──戦後の日々
19 「とうとう精神を舞台上の葛藤のかたちにする」  793
  ──『熱狂家たち』
20 「責任の軽い仕事に寄り道」?  831
  ──『ヴィンツェンツとお偉方の女友達』
21 「誠実から偉大への道は犠牲を通っていく」  887
  ──『三人の女』
22 「パパとママは来世を信じていない」  923
  ──両親の死
23 ずたずたになった魂の戯曲  955
  ──『熱狂家たち』騒動
24 作家の権利と自由をめぐる戦い  1007
  ──精神の組織政治学
25 精神の組織政治学  1057
  ──ムージルとスポーツ(付論)
26 アヒレスからウルリヒへ、「スパイ」から『特性のない男』へ  1073
  ──偉大な長編小説の発展
27 モデル群像  1097
  レオーナ/ボナデーア/ラインスドルフ伯爵/ディオティーマ/
  ディオティーマの夫、外交官ハンス・トゥッツィ/
  ディオティーマの侍女、ラヘル/
  パウル・アルンハイム博士/ゾーリマン/モースブルガー/
  レーオ・フィッシェルとその家族/シュマイサー/
  シュトゥム・フォン・ボルトヴェール将軍/ハーガウアー/
  リンドナー/フリーデル・フォイアーマウル/
  大作家──トーマス・マン
28 「わたしはムージルを偶像のように愛した」  1223
  ──作家ムージルと出版者エルンスト・ローヴォルト
29 「抑止的人格」か?  1263
  ──執筆障害と個人心理学による治療
30 「こうした作品を生み出しうる時代が悪しき時代のはずはない」  1299
  ──五〇歳を迎えた作家と『特性のない男』
31 「混じり気なしの愛」  1327
  ──ウィーンの同時代人
32 「精神と肉体の息抜き」あるいはカメラによる神秘主義  1363
  ──ローベルト・ムージルと映画(余話)

  主要人名・地名一覧  (1)


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