叢書・ウニベルシタス951
大恐慌のアメリカ ポール・クローデル外交書簡 1927-1932
価格:3,520円 (消費税:320円)
ISBN978-4-588-00951-8 C1333
奥付の初版発行年月:2011年01月 / 発売日:2011年01月中旬
詩人・劇作家であるとともに外交官でもあったクローデルが、駐米フランス大使時代、本国に送った外交書簡。1929年11月6日付の「ウォール・ストリートのパニック」を軸に、その前後におけるアメリカの政治情勢と経済の状況を詳細に語る。鋭い観察眼と洞察力にみちた記述は、今日の「バブル崩壊」「リーマン・ショック」を論じているかのごとくであり、現代の金融・経済分析にも大きな示唆を与える。〔経済/政治・外交〕
・〈大恐慌〉のドキュメントを通して今日の金融・経済分析にも示唆を与える第一級の原資料です。
P.クローデル(クローデル ポール)
フランスの詩人,劇作家,外交官.『繻子の靴』『マリアへのお告げ』などの劇作品で名高いクローデルは,詩人ランボーに深い影響を受け,パリのノートル・ダム寺院でカトリック信仰に目覚めた詩人でもある.彼はまた,1893年から1935年までの長きにわたって世界を渡り歩いたキャリア外交官でもあり,駐日フランス大使として1921-27年の大正〜昭和初期の日本に滞在している.彼はランボーのほか,聖書,アイスキュロス,ダンテ,シェイクスピアなどの影響を受け,古典学,哲学,神学にも精通し,豊かな学識と,外交官としての経験と見聞を蓄え,東洋的世界も理解した作家であるが,その作品には厳格なカトリック精神が根底にある.本書は,この詩人・劇作家が駐米フランス大使時代(1927-1932),ワシントンから時のフランスの外務大臣に宛てた外交書簡選集である.
宇京 賴三(ウキョウ ライゾウ)
1945年生まれ.三重大学名誉教授(独仏文化論).著書に,『ストラスブール──ヨーロッパ文明の十字路』(未知谷),『フランス─アメリカ──この〈危険な関係〉』(三元社),訳書に,オルフ=ナータン『第三帝国下の科学』,トラヴェルソ『ユダヤ人とドイツ』,ルフォール『エクリール』,カストリアディス『細分化された世界』『迷宮の岐路』,トドロフ『極限に面して』(以上,法政大学出版局),フィリップス『アルザスの言語戦争』(白水社,新装復刊),オッフェ『パリ人論』(未知谷),フィリップス『アイデンティティの危機』(三元社),レヴィ『アメリカの眩暈』(早川書房),トラヴェルソ『アウシュヴィッツと知識人』(岩波書店),ファーブル = ヴァサス『豚の文化誌』(柏書房),トラヴェルソ『マルクス主義者とユダヤ問題』(人文書院),ソゼー『ベルリンに帰る』(毎日新聞社),リグロ『戦時下のアルザス・ロレーヌ』(白水社),フェリシアーノ『ナチの絵画略奪作戦』(平凡社),その他がある.
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
序 文 パリ第八大学元学長 ルノー・ファーブル
編者序 ジャン = マリ・ティヴォー
ポール・クローデル外交書簡 ワシントンからパリへ
一九二七年一二月一五日 一九二七年末のアメリカにおける経済
の一般的状況
一九二八年 三月一二日 アメリカの失業
一九二八年 五月三〇日 アメリカの繁栄、その原因と状況、そ
れを脅かす危険
一九二八年 七月一〇日 アメリカの「チェーン方式」と小売の
再編
一九二八年一〇月 九日 クーリッジ大統領政権
一九二八年一〇月二四日 帰任の印象
一九二八年一一月一五日 休戦十周年記念日のクーリッジ大統領
の演説
一九二八年一一月一九日 一九二七年のアメリカの対外収支と対
外資本投資
一九二八年一二月 一日 農産物関税価格引上げ問題
一九二八年一二月 四日 ウォール・ストリートの投機
一九二八年一二月 六日 大統領教書
一九二九年 一月一八日 一九二九年初めの経済・金融状況
一九二九年 二月 二日 一九二九年一月三〇日、ニューヨーク
で行った演説
一九二九年 二月 四日 アメリカの繁栄再考。貯蓄状況
一九二九年 六月 二日 ホーリー関税
一九二九年 六月一七日 大統領と議会──関税
一九二九年 八月 六日 アメリカの経済状態
一九二九年 八月一七日 ニューヨーク市場におけるアメリカ政
府の外債管理
一九二九年一〇月一九日 ラムジー・マクドナルド氏の訪米とそ
の後は?
一九二九年一〇月三一日 アメリカにおける関税と党派
一九二九年一一月 六日 ウォール・ストリートのパニック
一九二九年一一月 九日 〔頭書なし〕
一九二九年一一月一一日 金融危機・二つの記事送付
一九二九年一二月 五日 議会召集・大統領教書
一九三〇年 一月二一日 雑誌『アナリスト』と一九三〇年初め
のアメリカと世界の経済状況に関する
研究
一九三〇年 一月二四日 一九三〇年の経済状況概観
一九三〇年 三月 四日 小麦・綿花の危機と連邦農業委員会の
政策
一九三〇年 三月一三日 金利と経済の推移
一九三〇年 三月二五日 アメリカの失業問題
一九三〇年一〇月 四日 クリーブランドでのフーヴァー大統領
演説
一九三〇年一〇月一〇日 一九三〇年のアメリカの鉄道状況
一九三〇年一〇月二三日 アメリカの経済危機とその教訓
一九三〇年一一月 七日 選 挙
一九三〇年一一月二〇日 連邦農業委員会の政策と小麦市場
一九三〇年一一月二四日 バンク・オブ・ユナイテッド・ステー
トの苦境
一九三〇年一二月 八日 議会の短期会合開催・大統領年次教書
一九三〇年一二月 八日 一九三一年と三二年のアメリカ財政年
度。それに対する大統領と議会の態度
一九三〇年一二月一四日 議会への連邦の国内と経済の状況に関
する大統領教書
一九三一年 一月一五日 銀の問題
一九三一年 二月 二日 〔頭書なし〕
一九三一年 二月 三日 経済危機の再来回避の手段に関するシ
カゴのファースト・ナショナル・バン
ク頭取の演説
一九三一年 三月 九日 アメリカ財務省による一四億ドルの債
券発行
一九三一年 四月 一日 技術的失業
一九三一年 五月二七日 経済不況、原因と診断
一九三二年 一月 七日 一九三〇~三一年度アメリカの一般的
経済状況に関する商務長官の大統領宛
年次報告
一九三二年 一月二七日 アメリカの外国債券管理に関するジョ
ンソン上院議員の法案
一九三二年 一月三〇日 「再建」計画法案、ユージン・マイヤ
ー氏との会話
一九三二年 二月 九日 下落の段階
一九三二年 六月一三日 金流出
一九三二年一〇月一二日 デモイン演説とその帰結
一九三二年一〇月二〇日 アメリカと金本位制。グラス = スティ
ーガル法の性格と影響
一九三二年一二月 一日 パット・ハリソン上院議員のラジオ演
説。金問題。モニック氏の記
原 注
訳者あとがき