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一人に一つカオスがある野生の教養 II

野生の教養 II 一人に一つカオスがある

四六判 446ページ 並製
価格:3,520円 (消費税:320円)
ISBN978-4-588-13043-4 C1010
奥付の初版発行年月:2024年10月 / 発売日:2024年10月下旬

内容紹介

カオスをおそれず、友にする者だけが世界の次の姿をみるだろう。真の思考とはそんな「反・治安」的技法であり、本書はその技法のための実用書である。
酒井隆史

教養は冒険だよ。
おもわぬ出会いをくりかえし、未知のわたしに変化していく。
いまここにある秩序紊乱を思考しよう。
はじまりのアナキズム。
栗原康

農耕以前の狩猟採集時代にさかのぼって知を練り直す「野生の教養」。一人一人のうちに気づかれずして存在し、私たちの想像力を働かせる磁場となる「カオス」。秩序化・制度化する前の渾沌とした深淵に潜り込み、飼いならされざる自由でアナーキーな学びを掬いあげる。明治大学大学院教養デザイン研究科の領域横断的知が結晶化した、これからの教養の入門書。

著者プロフィール

丸川 哲史(マルカワ テツシ)

丸川 哲史(マルカワ テツシ)
明治大学政治経済学部教授。著書:『魯迅出門』(インスクリプト)、『思想課題としての現代中国』(平凡社)、『竹内好』(河出書房新社)、『台湾ナショナリズム』(講談社)。

岩野 卓司(イワノ タクジ)

岩野 卓司(イワノ タクジ)
明治大学法学部教授。著書:『贈与論』(青土社)、『贈与の哲学』(明治大学出版会)、『贈与をめぐる冒険』(ヘウレーカ)、共訳書:バタイユ『バタイユ書簡集 1917–1962年』(水声社)。

上記内容は本書刊行時のものです。

【執筆者プロフィール】
田中ひかる(たなか・ひかる)
明治大学法学部教授。著書:『ドイツ・アナーキズムの成立』(御茶の水書房)、編著:『社会運動のグローバル・ヒストリー』(ミネルヴァ書房)、『アナキズムを読む』(皓星社)ほか。

加藤徹(かとう・とおる)
明治大学法学部教授。著書:『漢文で知る中国』(NHK出版)、『京劇』(中公叢書)、『貝と羊の中国人』(新潮新書)、『漢文力』(中公文庫)、『漢文の素養』(光文社新書)、『西太后』(中公新書)。

佐久間寛(さくま・ゆたか)
明治大学政治経済学部准教授。著書:『ガーロコイレ』(平凡社)、編著:『負債と信用の人類学──人間経済の現在』(以文社)、共訳書:レヴィ゠ストロース『構造人類学ゼロ』(中央公論新社)。

石山徳子(いしやま・のりこ)
明治大学政治経済学部教授。著書:『「犠牲区域」のアメリカ──核開発と先住民族』(岩波書店)、『米国先住民族と核廃棄物──環境正義をめぐる闘争』(明石書店)。

浅賀宏昭(あさが・ひろあき)
明治大学商学部教授。著書:『生化学きほんノート』(南山堂)、共著書:『ZEROからの生命科学』(南山堂)、『知っておきたい最新科学の基本用語』(技術評論社)。

勝田忠広(かつた・ただひろ)
明治大学法学部教授。論文:“The Rokkasho test: Has Japan learned the lessons of Fukushima?” (Bulletin of the Atomic Scientists 72 (3))、共著:『原発と震災』(岩波書店)。

広沢絵里子(ひろさわ・えりこ)
明治大学商学部教授。共著:『ドイツ文化を担った女性たち──その活躍の軌跡』(鳥影社)、Exotismen in der Kritik (Brill/Fink)。

森永由紀(もりなが・ゆき)
明治大学商学部教授。共著:Who is Making Airag(Fermented Mare’s Milk)? A Nationwide Survey of Traditional Food in Mongolia (Nomadic Peoples Vol. 19)、共編著:『多元的環境問題論』(ぎょうせい)。

佐原徹哉(さはら・てつや)
明治大学政治経済学部教授。著書:『ボスニア内戦』(有志舎)、『中東民族問題の起源』(白水社)、What Happened in Adana 1909 ? (ISIS Press)。

廣部泉(ひろべ・いずみ)
明治大学政治経済学部教授。著書:『黄禍論──百年の系譜』(講談社)、『人種戦争という寓話──黄禍論とアジア主義』(名古屋大学出版会)、『グルー』(ミネルヴァ書房)。

釜崎太(かまさき・ふとし)
明治大学法学部教授。共編著:『身心文化学習論』(創文企画)、共著:『教育における身体知教育序説』(創文企画)、『よくわかるスポーツ倫理学』(ミネルヴァ書房)。

前田更子(まえだ・のぶこ)
明治大学政治経済学部教授。著書:『私立学校からみるフランス近代──19世紀リヨンのエリート教育』(昭和堂)、共編著:『近代ヨーロッパとキリスト教──カトリシズムの社会史』(勁草書房)。

羽根次郎(はね・じろう)
明治大学政治経済学部教授。著書:『物的中国論』(青土社)、論文:「啓蒙思想期以降のヨーロッパにおける南台湾記述と「南東台湾」の発見について」(『日本台湾学会報』第12号)。

佐藤公紀(さとう・きみのり)
明治大学法学部専任講師。共著:『ドイツ国民の境界』(山川出版社)、共編著:『ドイツ文化事典』(丸善出版)、訳書:『エリートたちの反撃──ドイツ新右翼の誕生と再生』(新泉社)。

薩摩秀登(さつま・ひでと)
明治大学経営学部教授。著書:『物語チェコの歴史』(中公新書)、『図説チェコとスロヴァキアの歴史』(河出書房新社)、共編著:『チェコを知るための60章』(明石書店)。

西川和孝(にしかわ・かずたか)
明治大学法学部准教授。著書:『雲南中華世界の膨張──プーアル茶と鉱山開発にみる移住戦略』(慶友社)、論文:「雲南下層社会への漢字リテラシーの普及」(『中国雲南の書承文化』勉誠出版社)。

池田功(いけだ・いさお)
明治大学政治経済学部教授。著書:『新版 こころの病の文化史』(おうふう)、『石川啄木 その散文と思想』(世界思想社)、『啄木日記を読む』(新日本出版社)、『石川啄木入門』(桜出版)。

畑中基紀(はたなか・もとき)
明治大学経営学部教授。論文:「金子みすゞ『こだまでせうか』の文体」(『文体論研究』64号)、「テレビCMの構造的一人称」(『明治大学教養論集』538号)。

嶋田直哉(しまだ・なおや)
明治大学政治経済学部教授。著書:『荷風と玉の井──「ぬけられます」の修辞学』(論創社)、論文:「記憶の遠近法──井上ひさし『父と暮せば』を観ること」(『日本近代文学』第94集)。

虎岩直子(とらいわ・なおこ)
明治大学政治経済学部教授。共著:『アイルランド・ケルト文化を学ぶ人のために』(世界思想社)、編著:『記憶と芸術──ラビリントスの谺』(法政大学出版局)。

山岸智子(やまぎし・ともこ)
明治大学政治経済学部教授。共著:『現代イランの社会と政治──つながる人びとと国家の挑戦』(明石書店)、共訳書:ズィーバー・ミール゠ホセイニー『イスラームとジェンダー』(明石書店)。

伊藤剣(いとう・けん)
明治大学法学部教授。著書:『日本上代の神話伝承』(新典社)、『出雲国風土記の神話と思想』(新典社)。

瀧口美香(たきぐち・みか)
明治大学商学部准教授。著書:『ビザンティン四福音書写本挿絵の研究』(創元社)、『初期キリスト教・ビザンティン図像学研究』(創元社)、『キリスト教美術史』(中公新書)。

井上善幸(いのうえ・よしゆき)
明治大学理工学部教授。共編著:『サミュエル・ベケットと批評の遠近法』(未知谷)、共著:Beckett and Animals (Cambridge UP)、共訳書:『ベケット伝(上・下)』(白水社)。

山泉進(やまいずみ・すすむ)
明治大学名誉教授。著書:『平民社の時代』(論創社)、校注・解説:幸徳秋水著『帝国主義』(岩波文庫)、編集代表:『大杉栄全集』(ぱる出版、全12巻・別巻1)。

目次

はじめに──「一人に一つカオスがある」の意味

第1部 思想・科学

カオスと共同性──つながりの基盤となるものについて 【岩野卓司】
読み継がれるアナーキズム・ユートピア構想──bolo’bolo──「カオス」に調和を見出す 【田中ひかる】
渾沌と軍隊 【加藤徹】
カオスを増幅せよ──D・グレーバーの思想とヤブの力 【佐久間寛】
カオスの路上からケアの空間につなぐ──サンフランシスコ公共図書館の葛藤 【石山徳子】
科学が進んでいく時代をどう生きるか 【浅賀宏昭】
過つは人の性、許すは神の心──原子力にカオスはあるのか 【勝田忠広】
女性患者はすべてを打ち明けない──ブロイアー/フロイト『ヒステリー研究』の中の混沌と破壊 【広沢絵里子】
不確実な未来と私たちの選択 【森永由紀】

第2部 歴史・社会

カウンター・ジハード主義とインターネット・コミュニティ──ノルウェー連続テロ事件とバルカンを結ぶもの 【佐原徹哉】
カオス・アメリカ・『スター・ウォーズ』 【廣部泉】
電子メディア時代のスポーツ──ノルベルト・ボルツのメディア美学と公共圏 【釜崎太】
フランスの教育をめぐる情熱とカオス──私立学校では市民を養成できないのか 【前田更子】
教養を「語」るために──生活のなかの倫理と科学 【羽根次郎】
「カオス」を診断する──ドイツ・ヴァイマル共和国における犯罪生物学の実践と「市民的価値観」 【佐藤公紀】
国境をめぐる煩雑な物語──オーストリアとチェコの境界線歴史点描 【薩摩秀登】
雲南を巡る銭貨の旅 【西川和孝】

第3部 文学・芸術

安吾『白痴』が上演した戦争と廃墟の「道」 【丸川哲史】
石川啄木の『ローマ字日記』──隠れ蓑の中でのカオス 【池田功】
カオスと消尽──開高健『日本三文オペラ』をめぐって 【畑中基紀】
猫石の謎──永井荷風『日和下駄』の描写から 【嶋田直哉】
混沌の際──芸術の使命 【虎岩直子】
セペフリーの「空の里」 【山岸智子】
交錯する価値観──『常陸国風土記』における土地の神への向き合い方 【伊藤剣】
カオスと神の国──スチェヴィツァ修道院の壁画を読み解く 【瀧口美香】
ベケットがとらえた孤高の芸術家──ジャック・B・イェイツ頌 【井上善幸】

特別寄稿
荒ぶる知と「虎ノ門事件」 【山泉進】

おわりに──カオスによるつながり 


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