戦後沖縄と米軍基地 「受容」と「拒絶」のはざまで 1945~1972年
価格:6,270円 (消費税:570円)
ISBN978-4-588-32129-0 C3021
奥付の初版発行年月:2012年10月 / 発売日:2012年10月下旬
「沖縄の米軍基地問題」は、半世紀以上にもわたって続く複雑な問題である。その歴史的起源と展開はどのようなものであったか。本書は、米軍基地が建設された1945年から沖縄返還が実現した1970年代初頭までの時期を対象に、その使用、拡張、縮小といった軍用地問題に対する沖縄の政治指導者と日米両国の指導者らの認識と行動を具体的に考察し、沖縄の米軍基地問題の本質を問い直す。
平良 好利(タイラ ヨシトシ)
1972年 沖縄県那覇市に生まれる
1995年 沖縄国際大学法学部卒業
2001年 東京国際大学大学院国際関係学研究科修士課程修了
2008年 法政大学大学院社会科学研究科博士後期課程修了。博士(政治学)
現 在 法政大学非常勤講師
論 文 「日米関係のなかの沖縄軍用地問題──一九五六年のプライス勧告をめぐって」『国際政治』160号(2010年)ほか
目次
序 章 基地をめぐる政治史
一 問題関心
二 分析視角と先行研究
三 本書の構成
第1章 沖縄米軍基地の形成
一 日本軍基地から米軍基地へ
二 アメリカの極東戦略と戦後初期の米軍基地
三 本格的な基地開発への疑問
第2章 経済復興と沖縄の分離
一 沖縄版「農地改革」構想とその行方
二 基地縮小計画の浮上とその後退
三 対日講和と沖縄の国際的地位
四 祖国復帰運動と基地へのスタンス
第3章 軍用地問題の発生
一 買い上げ案から賃貸借契約へ
二 買い上げ案の再浮上
三 海兵隊の沖縄移駐と土地接収
四 沖縄代表団の第一次訪米
五 プライス調査団の来島
第4章 島ぐるみ闘争と日米交渉
一 日本政府の関与を求めて
二 日米折衝
三 アメリカの対応
四 日本政府排除の試み
第5章 土地使用の安定化と基地の拡大
一 一括払い政策の実施
二 岸訪米とその後
三 一括払い政策の再検討
四 沖縄代表団の第二次訪米と軍用地問題の解決
第6章 沖縄返還と基地のありかた
一 佐藤政権の取り組み
二 基地問題の非争点化
三 全軍労と「基地撤去」論争
四 「核つき返還」論の波紋
第7章 「基地反対」から「基地撤去」へ
一 主席選挙と基地論議
二 「二・四ゼネスト」の挫折から基地撤去闘争へ
三 「核抜き・本土並み」返還と基地機能の維持
四 基地労働者の大量解雇
第8章 軍用地の提供と基地の整理縮小
一 土地連と防衛施設庁の取り組み
二 賃貸料引き上げをめぐる政治過程
三 基地の整理縮小を求めて
終 章 沖縄基地問題の構図
一 アメリカの基地政策
二 基地に対する沖縄の政治指導者の態度
三 基地に対する日本政府の態度
註記
あとがき
主要参考文献
事項索引
人名索引
関連書
明田川融著『日米行政協定の政治史』