地方自治の実証分析 日米韓 3 ヵ国の比較研究
価格:3,850円 (消費税:350円)
ISBN978-4-7664-0721-1(4-7664-0721-0) C3031
奥付の初版発行年月:1998年01月 / 発売日:1998年01月上旬
1995〜96年、日本・米国・韓国において実施した大規模な意識調査に基づき、各国の地方自治の問題点を実証的に分析、今後のわが国の地方自治のあり方を、中央ー地方関係の再編を視野に入れ、考察する。
編著者
小林良彰(こばやし よしあき)
1954年東京都生まれ。
1982年慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。
現在、慶應義塾大学法学部教授、法学博士。
主要著書
『計量政治学』(成文堂、1985年)
『公共選択』(東京大学出版会、1988年)
『現代日本の選挙』(東京大学出版会、1991年)
『政治過程の計量分析』(編著、芦書房、1991年)
『選挙制度』(丸善、1994年)
『現代日本の政治過程』(東京大学出版会、1997年)
『日本人の投票行動と政治意識』(編著、木鐸社、1997年)
目次
はじめに
謝辞
調査概要
第一部 地方自治の課題
第1章 日本における地方自治の現状と課題−地方分権の視点から−
一 はじめに
二 日本の中央地方関係の現状
1 大きな地方財政と大きな地方財政
2 「自治」の制約
3 地方財政の歳入構造
4 歳出の自治
三 改革の基本的な方向と分権委の勧告
1 地方財政に関する国の関与の縮小
2 残された課題
第2章 米国における地方自治の現状と課題
一 はじめに
二 米国連邦構造と地方主権
1 近代政府関係の発展
2 地方分権への道
3 合衆国憲法における地方政府の位置づけ
三 中央集権化か地方自治か
四 地方自治を拘束するもの
五 米国における新政治文化(NPC)
六 地方の革新に関する2つの段階
1 さまざまな革新
2 革新としての財政運営
3 人的サービスにおける統治改革
七 連邦構造下での革新
八 結論
第3章
韓国における地方自治の現状と課題
−民選地方選挙後の評価を中心に−
一 はじめに
二 韓国地方自治の制度的特性と地方選挙
1 韓国地方自治の概要
2 地方選挙の結果
三 地方選挙後の自治体変化への評価
1 地方選挙後の自治体への評価
2 自治体における葛藤の性質
四 結論:課題と展望
第二部 地方自治の政治構造
第4章 中央−地方関係の現実−日本にみられる補助金配分−
一 はじめに
二 補助金とは
三 補助金の配分に関する過去の議論
1 補助金配分と政治的影響との関連
2 日本における補助金配分に関する議論
3 仮説の提示
四 アンケート調査を用いた分析
1 歳入制限に関する意識
2 補助金配分への依存観
3 自助努力の欠落
五 結論と展望
第5章 地方エリートの役割認知
−日米韓における地方議員に関する比較研究−
一 はじめに
1 地方政策の決定主体と決定過程
2 研究目的と分析方法
二 先行研究の検討と分析枠組
1 先行研究の検討
2 本章の分析枠組
三 地方議員の代表役割志向の実証分析
1 韓国の地方議員における代表役割志向
2 日本の地方議員における代表役割志向
3 米国の地方議員における代表役割志向
4 各国の地方議員における代表役割志向の比較分析
四 おわりに
第6章 地方政治の政策選好−新政治文化パースペクティブの登場−
一 はじめに
二 日米韓のコンベンショナル政治文化
1 アメリカにおけるコンベンショナルな政治文化:
ニューディール「左−右」の対立
2 日本におけるコンベンショナルな政治文化:
「保守−革新」と後見主義(clientelism)
3 韓国におけるコンベンショナルな政治文化:
地方主義(regionalism)
三 新政治文化パースペクティブ
四 日米韓3カ国の政治エリートにみられる新政治文化的政策ポジション
1 日米韓3カ国の政治エリートが持つ
新政治文化的価値観の差異
2 日米韓3カ国の政治エリートの財政的ポジション
3 日米韓3カ国の政治エリートの新政治文化的選挙戦略
五 市長のデモグラフィックと新政治文化的政策ポジション
1 アメリカにおける市長のデモグラフィックと
新政治文化的政策ポジション
2 日本における市長のデモグラフィックと
新政治文化的政策ポジション
3 韓国における市長のデモグラフィックと
新政治文化的政策ポジション
六 おわりに
第三部 地方自治の財政構造
第7章 地方首長の財政観−日本の首長にみられる保革−
一 はじめに
二 近年にみられる政治的保革の変動
三 市区長の持つ財政観
1 自治体首長の財政選好
2 財政的選好の規定要因
四 相乗りの増加と保革の乖離
第8章 財政再建政策の諸類型−日米間3カ国の地方財政再建政策比較−
一 はじめに
1 問題意識
2 過去の先行研究
二 財政再建に対する政策
1 財政再建政策の類型
2 各政策の採用状況
3 政策の採用にみられる親近性(日本)
三 日米韓3カ国の比較
1 日米韓比較の意義
2 財務担当者の財政観の比較
3 財務担当者の財政観と他のアクターの財政観の間にみられる関連性
4 財政再建のための政策の比較
第9章 財政再建政策をもたらす要因
一 政策の採用と中央地方関係
二 「中央−地方」関係と財政再建政策
三 財政再建の施策採用を規定する地方の要因
1 施策採用数と諸変数との関係
2 各施策の採用と諸変数との関係
四 財政再建政策の効果
五 結論と展望
第四部 地方自治の重要政策−高齢者福祉−
第10章 高齢者福祉の政策過程
−地方自治体における高齢者福祉政策の分析−
一 はじめに
二 福祉政策に関する先行研究と分析枠組
1 従来の研究
2 本章の分析枠組
三 中央地方関係の影響
1 中央の高齢者福祉政策の展開
2 地方自治体の福祉財政と中央の政策変化の関係
四 地方自治体における高齢者福祉政策の分析
1 高齢者福祉政策過程の3タイプ
2 地方自治体における高齢者福祉政策の分析
五 結論と展望
第11章 高齢者福祉の現状
一 はじめに
二 介護保険をめぐる動向
1 制度創設に関わる経緯
2 介護保険法案の概要
三 介護保険法をめぐる論点
1 サービスの量と質は確保できるのか
2 認定事務は的確にできるのか
3 その他
四 介護保険法案と自治体財政
1 介護保険制度導入による自治体財政への影響
2 介護保険制度にともなう自治体の間接的な負担
五 介護にかかる施策の現状(東京都三鷹市)
六 おわりに
第五部 地方自治の重要施策−市町村合併−
第12章 市町村合併の効果
一 はじめに
二 市町村合併をめぐる論点
三 合併後の行財政上の変化
1 各指標の動向
2 総合的な評価
四 市町村合併を状況の改善・向上につなげやすい環境条件
五 ケース・スタディ−福島県いわき市−
1 いわき市の状況
2 合併後の状況
3 一体的な行財政体制の確立
六 おわりに
第13章 市町村合併の過程と地域住民
一 はじめに
二 市町村合併の過程−東京都あきる野市を中心に−
1 合併の検討の契機
2 任意の合併協議会(任意協)
3 地域住民への広報と住民意識調査
4 地域住民の動き
5 法廷の合併協議会(決定協)と実務的な詰め
6 合併の議決・申請と決定・告示
三 まとめ
1 合併特例法大改正の影響
2 合併の過程と地域住民
3 残された課題