ここで跳べ 対論「現代思想」
価格:2,750円 (消費税:250円)
ISBN978-4-7664-0981-9(4-7664-0981-7) C0010
奥付の初版発行年月:2003年04月 / 発売日:2003年04月上旬
現代社会の錯綜と矛盾は、われわれ自身の価値体系の錯綜と矛盾でもあり、そこから新たな思想を構築するには、おそらく限りなき「対話」が必要になる。むしろ、「対話」そのものが、「思想」であると言っていい。2001年9月11日の全米同時多発テロ以後、混沌化する世界情勢にわれわれ一人一人がいかに対峙し、思想するべきか。小田実を筆頭に、「現場」を生きる思想家たちとの対話を通じて、われわれ一人一人の「現代思想」について考える。
飯田裕康
慶應義塾大学名誉教授。慶應義塾大学大学院経済学博士課程修了。
高草木光一
慶應義塾大学経済学部助教授。慶應義塾大学大学院経済学博士課程修了。
小田実
作家。東京大学大学院。ハーバード大学大学院博士課程修了。
黄 暎
作家。東国大学東洋哲学科卒業。韓国を代表する作家。作品:『張吉山』(全3巻)等。
喜納昌吉
歌手。喜納昌吉&チャンプルーズ結成、沖縄で活動を始める。作品:「花」「ハイサイおじさん」等。
志位和夫
日本共産党委員長。東京大学工学部物理工学科卒。
山口研一郎
1943年長崎市生まれ。長崎大学医学部卒業。脳神経外科医。現代医療を考える会(会員数 200名)代表を務める。
早川和男
1931年奈良市生まれ。京都大学工学部建築学科卒。建設省建築研究所住宅計画・都市計画・建設経済各研究室長。神戸大学教授、英国国立建築研究所 (1997年) ・ロンドン大学(LSE、1980-81年) 客員研究員等を経て、現在、長崎総合科学大学大学院教授。工学博士。
目次
まえがき 高草木 光一
第1部 対論 dialogos
序「現代思想」をどう捉えるか
——古代ギリシアからの展望 小田 実
はじめに——日清戦争から「報復戦争」まで
一 「現場」の思想
二 同時多発テロと神風特攻隊
三 ヨーロッパ中心主義の再検討
四 塗りかえられた「文明」
おわりに
Ⅰ 近代化とアジア
アジアの思想とは何か 黄 晳暎
一 東アジア的価値と資本主義
二 韓国の自生的近代化
三 弥勒思想
四 「東道西器」から「西道東器」へ
グローバリゼーションへの市民的戦略 小田 実
はじめに
一 言論の自由
二 言葉とデモクラシー
三 アテナイ市民の一日
四 周辺と外部
五 開かれたデモクラティアへ
Ⅱ 民族と文化
沖縄のこころ・日本のこころ
——天と地がまじわるところ それは祭りである 喜納 昌吉
一 二つの文化
二 民族と大地
三 人類のルネッサンスへ
共生への道程 小田 実
はじめに
一 グローバリゼーションの転換
二 民主主義と市民の軍隊
三 「良心的兵役拒否」の思想
四 「良心的軍事拒否国家」の構想
おわりに
Ⅲ 生命と倫理
脳死・臓器移植拒否宣言 山口 研一郎
一 医師としての原点
二 生殖技術と生命操作
三 遺伝子診断、臓器移植、クローン
四 死の変容
五 現代医学の問題点
討論 いのちを考える
飯田 裕康
高草木 光一
先端医療と生命倫理 小田 実
はじめに
一 倫理の捉え方
二 「正義」へのまなざし
三 「する側」と「される側」の間
四 デカルトと「生老病死」
Ⅳ 都市と市民
阪神・淡路大震災と復興計画 早川 和男
はじめに
一 日常の市民不在の行政の延長線上にあった「大震災」
二 人間と社会の主体性をとりもどそう
三 健全な権利感覚を育むために
コミュニティとしての都市 小田 実
はじめに
一 天災に対する日本人の思想
二 市民立法
三 都市計画
おわりに
Ⅴ 政治と市民
議会制民主主義の諸問題 志位 和夫
一 議会制民主主義——人民のたたかいでかちとった、
人類の英知のひとつ
二 国民運動、市民運動と、議会、政党とのかかわりを考える
三 議会制民主主義を生かすも、殺すも、国民・市民の運動いかん
政党の政治と市民の政治 小田 実
はじめに
一 「市民」と「市民運動」の間
二 「私が日本だ」
三 日独伊の憲法
四 市民=議員立法
五 職能人と市民
展望 大学から市民社会へ
小田 実
山口 研一郎
飯田 裕康
高草木 光一
第2部 饗宴 symposion
現場の思想と「学び」の現場
小田 実
飯田 裕康
高草木 光一
一 『世直し大学』と「現代思想」
二 教室という現場
三 各講義を振り返って
四 生命倫理に関するプロジェクト
小田実を超える——学生たちの「現代思想」
入江 健輔・藤川 秀行・清水 俊充
小澤 菜穂・大坪 啓介・丸物 美樹
米谷 香里・高橋 真悟・根本 政毅
一 「現代思想」との出会い
二 「現代思想」と経済学
三 シラバス、テキスト、ホームページ
四 各講師のキャラクター
五 これからの「現代思想」
あとがき 飯田 裕康