年金改革と積極的社会保障政策 再分配政策の政治経済学II
価格:3,520円 (消費税:320円)
ISBN978-4-7664-1061-7(4-7664-1061-0) C3033
奥付の初版発行年月:2004年03月
▼積極的賦課方式支持論を展開し、2004年年金改革に導入される「マクロ経済スライド」の意味を明らかにする。
▼少子化と経済不況の解決方法として社会保障の拡充と経済成長論とを結びつけ、第2次ケインズ革命を提唱する。
▼租税民主主義と財源調達力の視点から社会保険料や消費税の特徴を論じ、年金目的相続税を提案する。
▼業界誌上で持論を展開し、研究者・シンクタンク、そして政策担当者からも注目を浴びる気鋭の研究者が世代間対立を超えた新たな社会像を提示。
第27回(2004) 労働関係図書優秀賞受賞。
1962年福岡県生まれ。1985年慶應義塾大学商学部卒業、1990年慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程修了。嘉悦女子短期大学専任講師、慶應義塾大学商学部助手、同教授を経て、2002年慶應義義塾大学商学部教授(商学博士)。
目次
I 年金改革論
第1章 年金改革論議の政治経済学——厚生労働省『年金改革の骨格に関する方向性と論点』を読んで——
1 年金制度と年金経済学の方法論
2 年金理論編
3 政策技術編
4 政策評価編
第2章 年金改革と社会保障改革の考え方——『基本方針2003』を踏まえて——
1 年金論議の終焉
2 経済の活力と国民負担率,そして学者の職分
3 政府の規模と国民生活——典型的日本人の思
考の癖
4 研究者としての訓練の材料と研究者の政治的
態度
II 積極的社会保障政策論
第3章 積極的社会保障政策と日本の歴史の転換
1 福祉生産の3つの機関
2 社会保障,政府の規模と経済パフォーマンス
3 典型的日本人の悩み——社会問題
4 典型的日本人の悩み——経済問題
5 長期需要不足と日本の形の転換
6 マクロ経済学の系譜と第1次,第2次ケインズ革命の意味
7 経済成長論の展開
8 ケインズ型成長理論——第2次ケインズ革命と社会保障
結論と議論——大切な問題は政府の財源調達力で
あり,税制である
第4章 先進諸国の家族政策と学歴別出産タイミング——家計パネルデータによるイギリス,オランダ,ドイツ,スウェーデンの4ヵ国比較——
1 ヨーロッパにおける出生率低下と出産の延期
2 キャリア・プランニング動機と出産タイミング
3 イギリス,ドイツ,オランダ,スウェーデンにおける家族政策
4 イギリス,ドイツ,オランダ,スウェーデンにおける第1
子出産タイミングの学歴間格差
III 財源調達論と日本の納税者意識
第5章 社会保障の財源調達と消費税——民主主義を統治し得る市民が育っていない日本——
1 問題意識の所在
2 人口問題に無策の90年代とその社会実験の結果
3 出生率の動向と公共政策
4 租税・社会保障負担と消費課税の規模
5 消費税の逆進性,比例性,さらには累進性
6 有効な少子化対策と財源の模索
7 消費税誕生までの歴史的推移と益税
8 民主主義的な意思決定——未組織納税者の無
知と利益集団の政治力
9 未組織納税者から信頼される消費税に
第6章 国税と社会保険料の財源調達力——国税と社会保険料の財源調達力の比較を通じて——
1 問題の所在
2 国税と社会保険料の推移
3 社会保険料の伸びを支えた要因
4 結論と議論