地球温暖化とエネルギー問題 ポスト京都に向けた国際協調システム
価格:6,380円 (消費税:580円)
ISBN978-4-7664-1562-9 C3033
奥付の初版発行年月:2008年11月 / 発売日:2008年11月上旬
持続可能な発展のため、新たな国際協調システムの構築へ!
▼逼迫するエネルギー需給、進行する地球温暖化、私たちはこのジレンマを乗り越え、持続的成長を実現できるのか?
▼地球温暖化問題と、その対にあるエネルギー需給問題に着目してEU・中国などの経済実態を明らかにするとともに、膨大なデータから国際的エネルギー需給構造を分析する。
▼国境税、排出権取引、クリーン開発メカニズムなど環境政策ツールの効果と課題を考察し、新たな国際協調枠組み、とりわけ東アジアにおける実現可能なアプローチを提言する。
【著者】
鄭 雨宗(ちょん うじょん、Jung Woojong)
慶應義塾大学産業研究所研究員
1969年韓国ソウル生まれ。95年韓国航空大学経営学部卒業、99年早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了(修士)、2005年慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程修了(博士)、06年日本学術振興会外国人特別研究員を経て、08年より現職。
主要業績に、『日中環境政策協調の実践』第9章執筆(小島朋之・厳網林編、慶應義塾大学出版会、2008年)、『EUの公共政策』第2章、共同執筆(和気洋子・伊藤規子編、慶應義塾大学出版会、2006年)、『地球温暖化と東アジアの国際協調』第4章・5章・6章、共同執筆(和気洋子・早見均編、慶應義塾大学出版会、2004年)、『アジアの経済発展と環境保全 第5巻』第5章・6章、共同執筆(慶應義塾大学産業研究所編、慶應義塾大学産業研究所、2002年)、「中国が直面する経済発展のボトルネック(共同執筆)」『三田商学研究』第49巻2号、pp.225-247、2006年、「北東アジアにおける多国間CDMスキームの評価」『三田商学研究』第47巻6号、pp.79-98、2005年、「A study of Multilateral CDM project for GHG reduction in Northeast Asia(in Korean)」『東西研究』第16巻2号、pp.149-181、Institute of East and West Studies(Yonsei University)、2004年、「日韓自由貿易協定による両国間の関税撤廃が経済・環境にもたらす影響(共同執筆)」『産業連関』第12巻3号、pp.3-14、2004年、「日韓FTAと環境評価の政策シミュレーション分析(共同執筆)」『三田商学研究』第46巻6号、pp.29-48、2004年、「A Possibility for Multilateral CDM Projects in Northeast Asia(in Korean)(共同執筆)」『環境政策研究』第2巻2号、pp.41-64、Korea Environment Institute、2003、他多数。
目次
序 章 地球温暖化問題のリスクと国際環境協調
1 IPCC第4次報告書と地球温暖化問題
2 問題の所在と本書の目的
3 本書の構成と内容
第1章 京都議定書の評価とポスト京都をめぐる国際議論
1 はじめに
2 気候変動枠組条約(UNFCCC)と京都議定書の採択
3 COP3における交渉構造と京都議定書の評価
4 京都議定書発効とポスト京都議定書への議論
5 おわりに
第2章 締約国を中心としたエネルギー需要構造とその特徴
1 はじめに
2 エネルギーからみるEUの地域特性
3 EUのエネルギー政策と域内貿易
4 地域別CO2排出要因とEUの国際的コミットメント
5 EUの目標達成に向けた具体的取り組み
6 おわりに
第3章 途上国の環境・エネルギー問題と持続可能な発展シナリオ
1 はじめに
2 中国経済の成長とその要因
3 中国の社会的プレッシャーとエネルギー制約問題
4 地球環境問題からの制約条件
5 おわりに
第4章 EU提案型戦略的貿易措置と京都議定書の補完性
1 はじめに
2 理論的背景と分析モデル
3 EUと米国(中国)のエネルギー効率の比較と限界費用
4 EUの域外炭素税がもたらす経済と環境への影響
5 おわりに
参考資料4.1 生産技術の国際移転効果
第5章 国境税調整がもたらす国際環境影響効果
1 はじめに
2 分析の枠組みとデータ
3 EUの貿易動向とその特徴
4 国境調整税と炭素リーケージ
5 おわりに
第6章 京都メカニズムとしての排出権取引スキームの実態とその課題
1 はじめに
2 排出権取引制度の役割とCOPでの議論
3 国際排出権取引市場の形成と動向
4 クレジット価格の動向と変動要因
5 国際排出権取引市場への展望
6 おわりに
第7章 CDMスキームの理念と運用における多様性
1 はじめに
2 CDMスキームの基本概念
3 CDMプロジェクトの便益とリスク
4 CDM実施における多様性
5 おわりに
参考資料7.1 クリーン開発メカニズムプロジェクト運行管理弁法
第8章 ポスト京都に向けた新たなCDMスキームの構築
1 はじめに
2 不確実性下における情報仲介者介入モデル
3 日中韓における多国間CDMスキーム
4 おわりに
終 章 環境・エネルギー問題への共同体的アプローチ
1 アジア型の経済発展と環境制約
2 アジアの複合型環境問題への対応とその限界
3 アジアの持続可能な発展と共同体形成の枠組み