近代都市バルセロナの形成 都市空間・芸術家・パトロン
価格:5,280円 (消費税:480円)
ISBN978-4-7664-1574-2 C3022
奥付の初版発行年月:2009年03月 / 発売日:2009年03月上旬
▼近代都市へと変わりゆくバルセロナを多彩な視点から読み解く。
現在のバルセロナを特徴づける、ガウディを始めとするモデルニスモ建築群や碁盤目状に整備された都市区画といった様々な要素は、いったいどのようにして形成されたのか。中世都市から近代都市へと生まれ変わる過程を、都市空間のコンセプトはもちろん、変化を積極的に推進した芸術家たちとそのパトロンたちに焦点をあてて詳述する。
▼人名・事項名の表記には、スペイン語ではなく、カタルーニャ語を使用(ただし、カタルーニャ起源の語のみ)し、現地発音を忠実に再現。
山道佳子(やまみち よしこ)
慶應義塾大学文学部准教授。
主要業績:「カルロス三世時代(1759-1788)のバルセローナ市における啓蒙と祭り——「聖体祭」のプロセッションを中心に」(『史学』第76巻第4号、2008年)、カルラス・サンタカナ・イ・トーラス『バルサ、バルサ、バルサ! スペイン現代史とフットボール』(翻訳、彩流社、2007年)、「近代スペインの形成と祭り——祭りの比較研究から」(荒川章二ほか『浜松まつり——学際的分析と比較の視点から』岩田書院、2006年)、ファン・ゴイティソーロ『サラエヴォ・ノート』(翻訳、みすず書房、1994年)。
八嶋由香利(やしま ゆかり)
慶應義塾大学経済学部准教授。
主要業績:碇順治編『ヨーロッパ読本:スペイン』(共著、河出書房新社、2008年)、「スペインにおける伝統的社会の変容と人の移動——カタルーニャの交易ネットワークとキューバへの移住」(『史学』第75巻第4号、2007年)、坂東省次・戸門一衛・碇順治編『(改訂版)現代スペイン情報ハンドブック』(共著、三修社、2007年)、「スペインにおける地域ナショナリズムと諸社会層——カタライスモと地主・農民」〔上・下〕(『史学』第71巻第4号、2002・第72巻第1号、2003年)。
鳥居徳敏(とりい とくとし)
神奈川大学経営学部教授。
主要業績:『建築家ガウディ全語録』(中央公論美術出版、2007年)、『ガウディ、かたちの探求』(共著・翻訳・監修、東京都現代美術館ー読売新聞東京本社、2003年)、Gaudi 2002 Miscel
目次
序章 都市空間の変貌 山道佳子
はじめに
1 城塞都市バルセロナの形成
2 成長するバルセロナと市壁の取り壊し
3 近代的大都市へ
第一章 都市拡張の夢
——イルダフォンス・サルダー(1815-76)の理想とバルセロナ 山道佳子
はじめに
1 イルダフォンス・サルダーと都市計画
2 市壁の取り壊し(1854)とバルセロナ拡張計画(1859)
3 サルダー・プランの思想と特徴
4 サルダーと拡張地区造成
5 ユートピアと現実
6 忘れられたサルダー
第二章 インディアーノスとバルセロナの都市化 八嶋由香利
はじめに
1 海港都市バルセロナ
2 地中海からカリブ海へ
3 インディアーノスとバルセロナ
4 アシャンプラ開発とインディアーノス
5 社会的住み分け
6 インディアーノスの家族戦略
第三章 バルセロナ万国博覧会 八嶋由香利
はじめに
1 要塞から公園へ
2 万博開催へ向けて
3 会場建設
4 博覧会開催
5 万博の光と影
第四章 カタルーニャ・ムダルニズマ
——その建築家たちとパトロンの系譜(ガウディとグエイを中心に) 鳥居徳敏
はじめに
1 初代コミーリャス侯爵 アントニオ・ロペス・イ・ロペス
2 グエイ伯爵 アウゼヒ・グエイ・イ・バシガルーピ
3 バルセロナ大聖堂とサグラダ・ファミリア制動
4 バルセロナの建築家
5 バルセロナの建築需要
6 建築家とクライアント
7 インディアーノとムダルニズマ建築
第五章 ラモン・カザスの絵画空間 木下亮
はじめに
1 第1期 カザスの幼少年期から青年期まで
2 第2期 カザスとパリ
3 第3期 社会的なテーマと都市空間
4 第4期 「四匹の猫」と多彩な制作
5 第5期 画家としての成功と評価
第六章 「四匹の猫」
——バルセロナ前衛芸術運動の諸相 木下亮
はじめに
1 「四匹の猫」の開店
2 店の活動
3 常連
4 美術文芸誌の発行
5 拡張する都市空間と芸術
6 閉店
あとがき
註
参考文献
図版一覧
索引