家族・都市・村落生活の近現代
価格:3,080円 (消費税:280円)
ISBN978-4-7664-1601-5 C3036
奥付の初版発行年月:2009年04月 / 発売日:2009年04月上旬
「生活」の視点から見る日本の近現代。
▼近現代の日本社会における家族・都市・村落それぞれの「生活」に着目し、気鋭の若手研究者がそれぞれの専門領域における現実的な社会学的課題について論を展開する。
平野敏政(ひらの としまさ)
1943年生まれ。慶應義塾大学名誉教授、帝京大学文学部社会学科教授。専門は、家族社会学。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。主要著書・論文に、「生活組織と全体的相互給付関係」(『三田社会学会』2000年所収)、「核家族化再考——三世代世帯選択率について」(『法学研究』2004年所収)などがある。
嘉本伊都子(かもと いつこ)
1966年生まれ。京都女子大学現代社会学部准教授。専門は、国際結婚の歴史社会学。総合研究大学院大学文化科学研究科国際日本研究専攻博士課程修了。博士(学術)。主要著書・論文に『国際結婚の誕生——〈文明国日本〉への道』(新曜社、2001年)、『国際結婚論!?〈歴史編〉』、『国際結婚論!?〈現代編〉』(法律文化社、2008年)などがある。
金森剛(かなもり つよし)
1960年生まれ。相模女子大学人間社会学部准教授。専門は、マーケティング、消費者行動。筑波大学博士後期課程ビジネス科学研究科修了。博士(経営学)。主要著書・論文に、『基本マーケティング用語辞典(新版)』(共著、白桃書房、2004年)、『新版経営学』(共著、実教出版、2006年)、「ネットコミュニティの知覚品質とその構造」(『経営情報学会誌』16-1、2007年所収)などがある。
千葉聡子(ちば あきこ)
1960年生まれ。文教大学教育学部教授。専門は、教育社会学、家族社会学。1984年慶應義塾大学文学部社会学専攻卒業。トヨタ自動車勤務などを経て、1996年日本女子大学大学院文学研究科教育学専攻博士課程後期単位取得満期退学。主要論文に「家族によるしつけを困難にしている要因——社会集団を必要とするしつけ」(『文教大学教育学部紀要第33集』1999年所収)、「対立する家族の二つの機能——データが示す家族機能の変化」(『文教大学教育学部紀要第34集』2000年所収)などがある。
岡田あおい(おかだ あおい)
慶應義塾大学文学部人文社会学科教授。専門は、家族社会学、家族史。慶應義塾大学大学院社会学研究科社会学専攻博士課程単位取得退学。博士(社会学)。主要著書・論文に、「近世農民社会における世帯構成のサイクル——二本松藩2ヵ 村の史料を用いて」(『社会学評論』201(Vol.51, No.1)、2000年所収)、「近世農民家族における家督の継承とその戦略——陸奥国安積郡下守屋村人別改帳を中心として」(『近代移行期の家族と歴史』速水融編著、ミネルヴァ書房、2002年所収)、『近世村落社会の家と世帯継承——家族類型の変動と回帰』(知泉書館、2006年)などがある。
吉野英岐(よしの ひでき)
1960年生まれ。岩手県立大学総合政策学部教授。専門は地域社会学。慶應義塾大学大学院社会学研究科社会学専攻博士課程単位取得退学。主要著作・論文に、「戦後日本の地域政策」(『地域社会学講座3 地域社会の政策とガバナンス』岩崎信彦・矢澤澄子監修、東信堂、2006年所収)、「国際比較で考える地域住民組織の特徴——住民組織と地域社会」(『地域社会へのまなざし』大久保武・中西典子編、文化書房博文社、2006年所収)、「農の経営から地域経営へ」(『むらの資源を研究する』日本村落社会研究学会編、農山漁村文化協会、2007年所収)などがある。
原山浩介(はらやま こうすけ)
1972年生まれ。国立歴史民俗博物館助教。専門は、日本現代史。京都大学大学院農学研究科生物資源経済学専攻博士課程修了。主要著書・論文に、「喪失の歴史としての「有機農業」——逡巡の可能性を考える」(『食の共同体』共著、ナカニシヤ出版、2008年所収)などがある。
目次
はじめに 平野敏政
第Ⅰ部 家族
第1章 核家族化再考——3世代世帯選択率について 平野敏政
1 はじめに
2 戦後の家族変動の認識
3 構造変動としての家族変動
4 核家族化(1)——定常的要件
5 核家族化(2)——定位的要件
6 3世代世帯選択率と核家族化
第2章 家と近代家族の家父長制 平野敏政
1 核家族化と家規範
2 家父長制家族論争
3 フェミニズムの家父長制概念
4 M. ウェーバーの家父長制
5 家父長制批判の2側面
6 家の民族的性格
7 有賀における家の特質
8 生活組織と全体的相互給付関係
第3章 国際結婚と家族・都市・村落 嘉本伊都子
——日本型モダニティへの希求
1 はじめに
2 セクシュアリティの管理と「国際結婚」の誕生
3 大日本帝国におけるモダニティの希求
4 グローバル時代のモダニティの希求
5 おわりに
第Ⅱ部 都市
第4章 ネットコミュニティの影響力 金森剛
1 はじめに
2 ネットコミュニティの特徴
3 ネットコミュニティのブランド態度形成のメカニズム
4 結論
第5章 消費社会の子どもたちが生み出す教育の困難性 千葉聡子
——子どもたちの発する問いに答えることは何をもたらしているのか
1 消費社会と子ども——「なぜ勉強するのか」と問う子どもたちの出現
2 モデルを用いての行動と理解
3 時間を必要とする学習——理由を問うことでは得られないもの
4 役割システムとしての家族の弱さ——小さな家族の限界
5 答えないことの意義——消費社会の教育に求められること
第Ⅲ部 村落
第6章 宗門改帳が語る江戸時代の農民世帯 岡田あおい
——陸奥国安達郡南杉田村の事例を用いて
1 はじめに
2 村の位置と史料
3 人口と世帯
4 世帯の増減とその特徴
5 引越し入り世帯の特徴
6 世帯の継続期間と終了理由
7 結びにかえて
第7章 農村における農家女性活動の継承はいかにして可能か 吉野英岐
——家の継承を支える家産に関する考察
1 女性のグループ活動の継承と家
2 農村女性の地位の向上
3 農村女性起業
4 家産意識とジェンダー
5 家産意識はなぜ強固なのか
6 おわりに——農業のもつ特性と持続性への希求
第8章 農村社会を規定する「多様性」の政治 原山浩介
——「地域活性化」をめぐる議論を念頭に置いて
1 はじめに
2 変化の前兆
3 「地域活性化」という構造変容——多様化への道のり
4 まとめにかえて
索引