近世から現在まで66名の名句を経営者が鑑賞
「経営寓句」とは、文字通り、経営上の寓意をふくむ句ということである。
江戸時代を通じて「名句」として人びとにもてはやされた句は、そのほとんどがなんらかの人生上のいましめをふくむ寓句であった。一人の「経営者」が日々の所感を、年来親しんできた俳諧や俳句に託して語ったエッセイ集。江戸初期から現代まで、48名の近世俳人、18名の近代俳人の句を鑑賞し、その寓意は企業経営にとどまらず、より広く国家や人生の経営におよんでいる。
高橋潤二郎(たかはし じゅんじろう)
【生年】1936年
【学歴】慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了
【専門分野】数理・計量地理学、地域開発
【職歴】慶應義塾大学経済学部、環境情報学部教授、慶應義塾常任理事。東京大学、東北大学、イリノイ大学兼任講師、ケンブリッジ大学訪問研究員、財団法人地域開発研究所所長。アカデミーヒルズ理事長、現在、慶應義塾大学名誉教授。
【訳・著書】イェーツ『計量地理学序説』、サロー、ハイルブロナー『エコノミック・チャレンジ』、『斜陽都市』、『抽象的地表の原理』他多数。
目次
序にかえて 鳥居泰彦
Ⅰ
貞徳/つかぬ鐘 宗因/白露や 季吟/年の内へ
猿雖/跡々は 西鶴/神力 芭蕉/この道や
路通/いねいねと 尚白/あながちに 去来/振舞や
凡兆/上行くと 嵐雪/黄菊白菊 來山/お奉行の
越人/涼しさは 許六/十団子も 涼莵/それも應
曲翠/おもふ事 気角/我雪と 鬼貫/我むかし
丈草/蚊帳を出て 北枝/焼けにけり 乙由/浮草や
馬光/霰ふる 希因/行く年や 也有/すがた見に
千代/わが風で
Ⅱ
太祗/遅き日を 蕪村/二株の 嘯山/逆ひつ
麦水/秋霜の 寥太/世の中は 大江丸/つながるる
闌更/枯蘆の 召波/傘の上は 樗良/さくら散る
大魯/ふらついて 蝶夢/丈六に 五明/つく迄を
曉台/こころほど 白雄/春のあらし 青羅/燈火の
几董/おちぶれて 士朗/年々に 成美/蝿打て
乙二/死なぬ心 良寛/焚くほどは 抱一/つる引けば
一茶/ともかくも 梅室/愛相に
Ⅲ
鳴雪/更へ更へて 竹冷/付きかけた 鬼城/生きかはり
漱石/玉か石か 虚子/涼しさは 青嵐/震災忌
東洋城/様見えて 亜浪/大北風に 水巴/櫛買えば
蛇笏/暖かく 風生/美しく 清邨/唖蝉も
素十/大榾を 三鬼/枯蓮の 草田男/のぼりゆく
誓子/海に出て 夢道/朝顔の 郁乎/時代より
跋