ニコラ・プッサン 絵画的比喩を読む
価格:8,800円 (消費税:800円)
ISBN978-4-7664-1716-6 C3071
奥付の初版発行年月:2010年02月
「物語と、そして絵を読んで下さい」
▼17世紀フランス古典主義の画家ニコラ・プッサンは、「絵画的比喩」を駆使し、絵画にあらゆる「意味」を託した。
▼ニコラ・プッサンの魅力はどこにあるのだろうか——。
「画家・哲学者」と称されたプッサンは「私は何ごともなおざりにしなかった」と明言し、生涯にわたり、カンヴァスの隅々にまで神経を行き届かせた物語画と「理想的風景画」を描き続けた。本書では、プッサンがローマにやって来てから、フランスの顧客に「物語を、そして絵を読んでください」と手紙を書いた1639年に至るまでの、およそ10年間に描いた数枚の絵画を取り上げる。リシュリュー枢機卿の依頼で描いた作品、友人画家に送った作品をつぶさに分析し、野心家プッサンのたくらみを明らかにする快著。カラー口絵8頁。
望月典子 (もちづき のりこ)
2008年慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程修了。博士 (美学)。現在,慶應義塾大学文学部ほか講師。
主要論文: 「ニコラ・プッサンにおける古代美術とラファエッロの受容 --- 画家の戦略の観点から」『美術史』167冊,2009年; 「ニコラ・プッサン作 《バッコスの勝利》と《パンの勝利》--- リシュリュー城「王の陳列室(キャビネ)」の装飾における意味について---」『美術史』160冊,2006年(美術史学会論文賞受賞); 望月典子「ニコラ・プッサンにおける古代美術の受容」『鹿島美術研究』年報第19号別冊,2002年 (第10回鹿島美術財団賞受賞)ほか。
共著,共訳書: 大場秀章,望月典子共著『オールド・ローズ・ブック: バラの美術館』八坂書房,2009年; ミランダ・ブルース=ミッドフォード『サイン・シンボル大図鑑』小林頼子,望月典子監訳,三省堂,2010年; エディ・デ・ヨング『オランダ絵画のイコノロジー』小林頼子監訳,NHK出版,2005年ほか。
目次
序
第1章 プッサンと古代美術
I はじめに
II プッサンと古代美術の関係についての諸見解
III 「マルスとウェヌス」の図章伝統と寓意的意味
IV プッサン作《マルスとウェヌス》の図章分析
V プッサンの「絵画的比喩」と古代美術
VI 本章の結び
第2章 作品生成の意味——《バッコスの勝利》と《パンの勝利》
I はじめに
II 先行研究と問題の所在
III リシュリュー城「王の陳列室」の再構成と部屋の性格
IV マントヴァの作品入手と当初の装飾構想
V プッサン作《バッコスの勝利》の作品分析
VI プッサン作《パンの勝利》の作品分析
VII プッサンの作品とマントヴァの作品の形式的対応
VIII 「王の陳列室」内でのマントヴァの作品群
IX プッサンの作品とマントヴァの作品の対応が生み出す意味とその効果
X 本章の結び
第3章 プッサンとフランス古典主義の形成
I はじめに
II プッサン作《ネプトゥネスの勝利》作品分析
III 《連れ去られるリナルド》と《アイネイアスに武具を指し示すウェヌス》に見る古代美術とラファエッロの受容
IV 本章の結び
おわりに
注
文献目録
フランス語要旨と目次
あとがき
人名索引
事項索引