パネルデータによる政策評価分析3
親子関係と家計行動のダイナミズム 財政危機下の教育・健康・就業
価格:4,400円 (消費税:400円)
ISBN978-4-7664-1947-4 C3333
奥付の初版発行年月:2012年06月 / 発売日:2012年06月下旬
▼教育・医療・社会保障の最新の研究成果。
▼「日本家計パネル調査」(JHPS:Japan Household Panel Survey)に基づいて政策効果を分析するシリーズ第3弾。
▼JHPSでは日本全国約4,000人を対象に、同一個人を追跡的に調査している。第Ⅱ部「教育」では、「慶應子どもパネル調査2011」を用いて、家庭背景と学力へ及ぼす影響などを分析している。第Ⅲ部「健康」では、たばこ税引き上げの効果、母親の就業が子どもの肥満に与える影響についての分析がされている。第Ⅳ部「税社会保障と就業」では、介護と就業、2人親世帯と1人親世帯の比較、景気後退が女性の就業に与える影響など、多様な問題の分析を行っている。現代の日本が抱える、タイムリーな課題が盛り込まれた一冊。
樋口 美雄(ヒグチ ヨシオ)
慶應義塾大学商学部教授。
宮内 環(ミヤウチ タマキ)
慶應義塾大学経済学部准教授。
コリン・マッケンジー(コリン マッケンジー)
慶應義塾大学経済学部教授。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
はしがき
樋口美雄・宮内環・C. R. McKenzie
第1部 JHPSの標本特性
第1章 JHPS2011の概況
石井加代子
第1節 はじめに
第2節 JHPS2011の概要と回答状況
第3節 JHPS2011調査結果の概況
1 就業状況について
2 時間配分について
3 ライフイベントの発生について
4 健康状態や生活習慣について
5 世帯の貯蓄・資産・負債について
6 世帯の所得・支出について
第4節 おわりに
第2部 教育
第2章 子どもの学力と家計――「慶應子どもパネル調査2011」を用いて
赤林英夫/中村亮介/直井道生/山下絢/敷島千鶴/篠ヶ谷圭太
第1節 はじめに
第2節 データセットと学力の指標
1 データセット
2 学力の指標
第3節 子どもの属性と学力
1 性別の影響
2 出生月の影響
3 きょうだい数の影響
4 統計的仮説検定の結果
第4節 家庭背景と学力
1 両親の学歴の影響
2 家計収入の影響
3 統計的仮説検定の結果
第5節 OLSによる推定結果
第6節 おわりに
Appendix:標本の特性
第3章 子どもの社会性・適応感と家庭背景――「慶應子どもパネル調査2011」から
敷島千鶴/山下絢/赤林英夫
第1節 問題と目的
第2節 方法
1 協力者
2 測度
第3節 結果
1 記述統計量と性別・学年との関連
2 次元間相関
3 きょうだい構成との関連
4 親の学歴・親の就業との関連
5 父母年齢・父母メンタルヘルス・世帯年収との関連
6 多変量解析
第4節 知見のまとめと考察
第4章 家庭背景が子どもの学力に与える影響とそのプロセス
――階層的重回帰分析と構造方程式モデリングを用いた検討
篠ヶ谷圭太/赤林英夫
第1節 問題と目的
第2節 分析に利用したデータと変数
1 対象
2 測度
第3節 階層的重回帰分析による結果
第4節 構造方程式モデリングによる分析
第5節 結果の解釈と考察
第6節 本研究の限界点と今後の展望
第3部 健康
第5章 2010年たばこ税引き上げの効果――JHPSによるパネルデータ分析
河井啓希
第1節 分析目的
第2節 2010年たばこ税引き上げのインパクト
1 たばこ需要と喫煙率の変化
2 JHPSでみる属性別喫煙率、喫煙本数の変化
第3節 たばこ需要の価格弾力性の推定
1 たばこ価格と価格弾力性の推定
2 アンケートデータによるConjoint分析との比較
3 喫煙率、喫煙本数の価格弾力性
第4節 価格以外のたばこ需要抑制要因の検討
1 教育、所得
2 職種、労働時間
3 家族
4 喫煙規制
第5節 結論
第6章 母親の就業と子どもの肥満
李青雅
第1節 はじめに
第2節 分析の枠組み
1 先行研究
2 推定モデル
第3節 使用するデータ
1 基本統計量
2 母親の労働時間と肥満の関係
第4節 母親の就業が肥満に与える影響
1 基本モデル
2 男女の違い
3 過去の就業状況と労働時間の変化の影響
第5節 大人になってからの肥満への影響
第6節 おわりに
第4部 税社会保障と就業
第7章 介護の負担と就業行動
大津唯/駒村康平
第1節 はじめに
第2節 先行研究と本稿の位置付け
第3節 データ
第4節 分析の枠組み
第5節 推計結果
1 モデル1
2 モデル2
第6節 おわりに
第8章 世帯主の就業形態と有子現役世帯の貧困の動態分析
――二人親世帯と一人親世帯の比較
馬欣欣
第1節 はじめに
第2節 先行研究のサーベイと本章の特徴
第3節 有子世帯における貧困の状況
1 有子世帯における世帯類型別相対的貧困率の推移
2 有子世帯における世帯主の就業形態別相対的貧困率の推移
第4節 計量分析の枠組み
1 推定モデル
2 用いたデータと変数設定の説明
第5節 計量分析の結果
1 静学的な分析―― 一時的貧困確率に関する分析結果
2 動態的分析――貧困突入確率と貧困脱出確率に関する分析結果
第6節 結論と政策的示唆
第9章 近年の景気後退と有配偶女性の労働力化・非労働力化
――前期労働状態と子ども人数による影響の違い
深堀遼太郎
第1節 問題意識
第2節 マクロ統計に見るファクト・ファインディング
第3節 先行研究
第4節 使用するデータ
第5節 推計
1 分析の目的
2 推計方法
3 分析対象
4 分析上の理論仮説
5 分析に使用する変数
6 推計結果
第6節 むすびにかえて
付録1 調査票
付録2 調査票(慶應子どもパネル調査)
付録3 活動報告